あのニーモからバックパックが登場! ニーモ/リゾルブ25|高橋庄太郎の山MONO語りVol.111
収納力をチェック。コード使いの斬新なシステム
ここまでは主にフィッティングに関する話だったが、ここからは収納力について見ていく。小型バックパックはもともと重い荷物を背負うものではないため、フィッティング以上に荷物の収納性を重視している人は多いはずだ。
収納力に関するパーツといえば、リゾルブには斬新なコード使いのシステムが加えられている。それが“モジュラーコンプレッションストラップ”だ。

購入時点ではバックパック内部のループに2本取り付けられている状態になっている。
だが、このコード状のストラップは簡単に取り外すことができ、リゾルブ25の外側など、さまざまな場所に移動可能だ。

このストラップは一端にフックが取り付けられた伸縮性の素材である。
余談ではあるが、モジュラーコンプレッションストラップがつけられていた部分のメッシュポケットの片側にはマチがとられており、見た目よりもモノが入る。

ちょっとした工夫だが、なかなか使いやすい。
話をモジュラーコンプレッションストラップの使い方に戻そう。

このストラップを取り付けるためのループは、外側に7カ所、内側に4カ所。このなかでどのループを使うのか、どのループとどのループを組み合わせるのか、それは使う人のアイデア次第である。
僕がまず試してみたのは、単純にフロント部分へ平行に2本つけた状態。

オレンジのストラップが加わったことで、当初の外観よりもカッコよく感じるのは副産物的なメリットだ。
こうすれば一般的なバンジーコードのように、脱いだウェアなどが簡単に外付けできる。

リゾルブ25のフロント部分のパネルは張りがあって硬く、丈夫な素材が使われている。だから、冬はウェアではなく、軽アイゼンやチェーンスパイク程度の鋭利過ぎない爪を持つ雪山用装備も取り付けられるだろう。
こちらはモジュラーコンプレッションストラップをバックパック下部に移動した状態。

便宜的にここでもウェアを取り付けてみたが、休憩中に使う小型マットなどを固定してもよさそうだ。
ここでいったん話をモジュラーコンプレッションストラップからあえて遠ざける。次の写真はサイドポケットだ。

リゾルブ25のこの部分には蛇腹状にスリットが入り、見た目以上に膨らむようになっている。
そのため1Lのボトルも楽に収められる。

ただ、そのポケットを引き絞るコードが短く、あまりガッチリとは固定できない。
試しに下の写真の左のように、1Lボトルよりも細い小型三脚をサイドポケットに入れてみると、まったくコンプレッションが効かない。このままではどこかで落としてしまうそうだ。

しかし、右のようにモジュラーコンプレッションストラップはサイドポケットの上に配置させることもでき、入れたものをしっかりとキープ可能。まるでモジュラーコンプレッションストラップありきで設計されているような使い心地なのであった。ただ思うのは、2本だけでは足りないのではないかということ。せめて4本、できれば4~8本程度付属していると、リゾルブ25はもっと使いやすくなるだろう。
ところで、最近のバックパックの一大潮流は、ショルダーハーネスに付けられた胸元のポケット。背負ったままで使いやすい大型のポケットが多い。

ベスト状にショルダーハーネスの幅を広げたバックパックも多数発売されており、山道具の店でも目立つ存在になりつつある。
リゾルブ25のショルダーハーネスはベスト状にはなっていないが、それでも現在的バックパックらしく、少し太めだ。

その部分にはスナップボタンを外せば大型化するポケットが左右に設けられている。
それほど大きいポケットではないが、僕がよく持参する道具のなかでジャストサイズだったのは、細身のクマスプレー。

手を伸ばしやすい場所に位置し、いつでもすぐに取り出せるのがありがたい。
下の写真は少々わかりにくいが、そのポケットにスマートフォンを収納した様子だ。

僕が使用しているスマートフォンはさほど大きいものではないが、なんとか入れられるサイズ感。多くのスマートフォンは入らないだろう。もう少し大きくてもよかった気がする。
次はバックパック最上部にある大型ポケットだ。

まるで隠されているように幅が広いフラップ上のパネルで覆われているのがユニークである。

しかし、このような形状のためにパネルをめくりあげてからファスナーを引かねばならず、ひと手間かかる。

だが、このパネルがあるからこそ荷物が外部に落ちにくく、紛失防止につながっている。
ポケット内部には樹脂製のフック。

見た目よりも引っ掛けたものが外れにくく、小さなパーツだが、よくできている。
少し気になったのは、このポケットがあまりにも上を向きすぎていることだ。

雨が降ってくると、ちょうど水を受けるような位置に開口部があり、水が溜まりやすいと思われる。降雨時は早めにレインカバーをかけたほうがよいだろう。ニーモはまだレインカバーを発売していないため、別メーカーのものを組み合わせたい。
水には少し弱そうな形状とはいえ、表面素材の撥水性はなかなかのものだ。裏側は防水処理されており、たとえ水が浸透していっても浸水することはない。

この表面生地にもリサイクルしやすい素材が使われている。
最後に言及したいパーツは、バックパック本体を開閉するためのファスナーの引き手だ。

じつはこのふたつの引き手は絡みやすい。とくにフラップで覆われているときはどちらを引けば開くのかも判別できず、大きなストレスとなった。より太いコードを使えば絡みにくくなるだろうし、色分けしてどちらを引けば左右に開くのかわかりやすくする方法もある。ぜひ改善してほしい点だ。
プロフィール
高橋庄太郎の山MONO語り
山岳・アウトドアライター、高橋庄太郎さんが、最新山道具を使ってレポートする連載。さまざまな角度からアウトドアグッズを確認し、その使用感と特徴を余すことなくレポート!
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