【動画あり】雪山では些細なミスが遭難に直結、万が一の備えを万全にしておくこと。 島崎三歩の「山岳通信」 第106号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2018年3月29日に配信された第106号では、雪山での遭難とその救助の実際を動画を交えて紹介、注意喚起を行っている。

 

3月29日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第106号では、2月27日~3月11日に起きた7件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 2月27日、野沢温泉付近毛無山で、51歳の男性がバックカントリースノーボ中に滝にはまり、行動不能となる山岳遭難が発生。無事、救出された。

毛無山での遭難救助の様子(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)3月8日付)

 

  • 3月4日、北アルプス白馬乗鞍岳で、58歳の男性がバックカントリースキーに向かったまま何らかの原因により帰宅せず、行方不明となる事件が発生。男性の特徴は、身長168cm、中肉、色不明のスキーウエア、黒色ズボン、黒字に赤色系グラデーション模様のショートスキーという情報が提供されている。

  • 3月3日、中央アルプス宝剣岳で、45歳の男性が宝剣岳山頂付近を登山中に何らかの原因により滑落、心肺停止となる山岳遭難が発生。県警ヘリと県警山岳遭難救助隊が現場に向かい、天候の回復を待って救助を再開した3月7日に木曽署に収容され、死亡が確認された。

  • 3月9日、中央アルプス宝剣岳で、48歳の男性が宝剣岳山頂から下山中に、天候不良(ガス)のため道に迷い行動不能となり、救助要請の連絡を受理。翌10日に県警山岳遭難救助隊及び県警ヘリで捜索し、県警ヘリで遭難者を無事発見し救助した。

中央アルプス・宝剣岳での遭難救助場所の様子(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)3月15日付)

発生の実際の救助の様子。遭難が発生すれば隊員も危険を冒して活動していることを確認してほしい

 

  • 3月10日、浅間連峰黒斑山で、51歳の男性が黒斑山から下山中に、バランスを崩して転倒し足を負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリにより救助され、病院へ搬送された。

  • 3月11日、中央アルプス中岳で、26歳の女性が下山中に体調不良による疲労のため、歩行困難となり救助要請。県警山岳遭難救助隊及び遭対協が出動したものの、遭難者は他のパーティーの支援を受けて自力でロープウェイ千畳敷まで下山した。

  • 3月11日、八ヶ岳連峰横岳で、32歳の女性が稜線付近を登山中にバランスを崩し約100m滑落して負傷する山岳遭難が発生。同日、県警ヘリにより救助され、病院へ搬送された。

 

山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

3月1週は、バックカントリー中の遭難が2件発生しました。冬山登山やバックカントリーは確かに夏山にはない魅力がありますが、ささいなミスが遭難に直結し、最悪の場合は死亡遭難や行方不明遭難となってしいます。
警察本部や警察署には「登山に行った家族と連絡がとれない」「友達が山に行ったまま帰ってこない」などの問い合わせが寄せられます。入山に際しては、計画書を家族や友人に託す、保険に入る、通信手段を確保するなど、万が一の備えを万全にして山に登りましょう。

また3月2週は、週末を中心に5件の遭難が発生しました。うち中央アルプスでは3件の遭難が発生しています。3月は春の陽気の到来に伴い、山中でも寒暖差が大きくなることから、稜線付近は岩と氷雪が混在したコンディションとなります。そのような山域での登山では、アイゼンやピッケルを駆使した確実な雪上技術が求められます。危険個所の通過には積極的にロープを使用するなど、安全を第一に慎重な行動を心がけましょう。

 

春の山火事予防特別強化中!(平成30年3月12日(月)~4月11日(水))

春先は、特に空気が乾燥し、強い風が吹くことから、山火事が起こりやすい時期です。長野県では、昨年度の県消防防災ヘリコプターの事故を受け、上空からの消火が必要な火災などに対応するため、ヘリコプターの運航再開に向けた訓練に取り組んでいるところですが、「山火事を発生させない!」ため、登山者の皆様も例年以上に火の取り扱いにご注意いただくようお願いします。

万が一、火災が発生しているのを見つけた場合は、ただちに119番に通報してください。また、火や煙に巻かれないように身の安全を確保してください。

 

山菜取りや登山、ハイキングなどの野山に出かける際には、タバコやたき火などの火は確実に始末し、火の取り扱いにはくれぐれも気を付けてください。

次のことに十分気を付けてください ※火の取り扱い不注意から山火事多発中!

  • 枯れ草など燃えやすいものがあるところでは、たき火をしないこと
  • たき火など火を使用しているときは、その場を離れず、使用後は完全に消化すること
  • 風が強い日や乾燥している日は、たき火はしないこと
  • たばこは指定された場所で喫煙し、吸いがらは必ず消すとともに、投げ捨てないこと

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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