めざせ「現在地がわかるだけ」からの脱却! 読図×登山アプリで「先読み力」を高める【山と溪谷2024年10月号】
登山アプリがあれば、地図が読めなくても問題ない!?……いやいや、そんなことはない。登山に地図読みは必須だし、読図のスキルを身につければ、いろんなメリットがある。雑誌『山と溪谷』2024年10月号の特集「登山アプリと読図の基本」から、「先読み」の重要性を解説したページを紹介しよう。
文=谷山宏典、イラスト=鈴木衣津子
地図が読めれば「先読み」もできるように!
登山アプリを使えば、山の中で自分の現在地がわかるし、目的地までのルートを案内してくれる。そのため、「地図が読めなくても山は登れるし、道に迷うこともない」と感じている人は多いかもしれない。しかし、登山アプリ「ジオグラフィカ」の開発者である松本圭司さんは、「読図の技術は必ず身につけておくべきです」と力説する。

松本圭司(まつもと・けいじ)
登山アプリ「ジオグラフィカ」開発者。アプリ作家、ライターとして活動。(公社)東京都山岳連盟でおくたま登山学校の委員長と理事を務める。猫が好き。
「登山アプリで現在地のポイントやルートを示す線を見ていれば、自分がいる場所や目的地までの道順はわかります。けれども、目的地に着くまでに自分がどんなルートを通過していくのか、地形や植生の変化まではわかりません。山を登るときには地形の変化などを『先読み』して進んでいくことが不可欠であり、そのために必要なのが『地図読み』の技術なんです」
では、なぜルートの「先読み」をしなければならないのか。松本さんによれば、「先読みができれば、準備ができる。それが大事」とのこと。「たとえば、現在地の先で急登が続くことが事前にわかれば、登り始める前に休憩や水分補給をしたり、ジャケットを脱ぐなどの衣類調整ができます。両側が切れ落ちた細い尾根であれば、自分自身の気を引き締めたり、ほかのメンバーに声かけができます。不注意でルートを外れてしまった場合、違う道を進んでいることにすぐに気づけるというメリットもあります」
先のことがわからないとき、人はストレスや不安を強く感じることが多い。それは登山も同じ。逆にこの先のルートで自分がどんなことに遭遇するのかわかっていれば、必要なことを早めに判断し、備えることができる。それが安全・安心・快適な登山につながっていくのだ。
地図を読むとは、地形図に描かれた等高線や地図記号から「自分がどんな地形の場所を通過するのか」「登り下りする標高差はどのぐらいなのか」「傾斜はどのぐらいなのか」などの情報を読み取ること。地図読みができれば、おのずと先読みもできるようになる。
プロフィール
山と溪谷編集部
『山と溪谷』2026年1月号の特集は「美しき日本百名山」。百名山が最も輝く季節の写真とともに、名山たる所以を一挙紹介する。別冊付録は「日本百名山地図帳2026」と「山の便利帳2026」。
雑誌『山と溪谷』特集より
1930年創刊の登山雑誌『山と溪谷』の最新号から、秀逸な特集記事を抜粋してお届けします。
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