黒斑山で浅間山と雲海の絶景を楽しむ

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読者レポーターより登山レポをお届けします。今井良子さんは浅間山(あさまやま)の展望台、黒斑山(くろふやま)へ。

文・写真=今井良子


長野県と群馬県の境にある黒斑山は、浅間山を間近に見られる山として人気の高い山だ。登山口は長野県側にある標高2000m付近の高峰高原ビジターセンターからスタートする。車で上がってくる途中、カラマツが黄色く黄葉して見頃だった。駐車場に着くと平日のためか3割ほど埋まっているだけで余裕があった。

高峰高原ビジターセンター駐車場を出発
高峰高原ビジターセンター駐車場を出発

気温は寒すぎず、晴天で風も穏やかな好条件に気分は上々。活火山の近くのため、万が一の対策としてヘルメットを持っていこうと思って用意しておいたのに家に忘れてきてしまった。熊鈴を鳴らしながら緩い傾斜の樹林帯を登り始めた。

黒斑山までは3つのピークを越えていく。しばらくして第1のピークである車坂山に到着した。展望地になっているが浅間山はまだ見えない。そして少し下り、また上がっていくとシャクナゲの群生地があった。大きめの蕾が付いているが、これはもう咲くのかしら?春はまだですよ。

シャクナゲ
シャクナゲ

シャクナゲ街道を過ぎると見晴らしのいい展望地に出た。長野県の山オールスターズが眺められた。北信五岳、北アルプス、乗鞍岳、八ヶ岳が雲海の上に顔を出している。すばらしい景色だ。今日この日ここに来れたことをうれしく思った。

ちょっとだけ雪化粧した北アルプス
ちょっとだけ雪化粧した北アルプス

先に進むと長い階段が待っていた。歩幅に合い、高さもちょうどいい歩きやすい階段だったが、ヘロヘロになりゆっくりゆっくり進む。気がつくとシェルターがあった。さすが、活火山のお膝元だと思った。ヘルメットを忘れたことが悔やまれる。

シェルター
シェルター

そこから少しがんばるとやっと浅間山が見えた。第2のピークである槍ヶ鞘(やりがさや)に到着。絵を描いているご婦人がいた。なんと優雅な時間の過ごし方だろう、と絵心のない私は羨ましく思った。

槍ヶ鞘から望む浅間山
槍ヶ鞘から望む浅間山

そしてまた少し下り、今度は第3のピークであるトーミの頭に向けて見晴らしのいい登山道を登ってゆく。槍ヶ鞘から見た時はあんなに切れ落ちたところを登れるか不安だったが、行ってみるとなんということはなかった。

トーミの頭への登山道
トーミの頭への登山道

登りきって、トーミの頭からの眺めは最高だった。正面には噴煙をモクモクと上げている浅間山。ダイナミックな外輪山をぐるっと見渡せる。そして雲海が広がる先に八ヶ岳。名前はわからないが群馬県の山々も見えて、とてもいい眺め。

浅間山と外輪山
浅間山と外輪山
トーミの頭からの雲海
トーミの頭からの雲海

ちょっとガスってきたので先を急ごう。また少し下る。次のピークが黒斑山。トーミの頭から20分ほど歩いて到着した。目の前の浅間山はガスってしまった。そんなに広くはない山頂に先客が一組くつろいでいた。ひとまず私たちもランチ休憩に。今日のランチはおにぎりとカップスープ。私はこのモンベルのサーモボトルがお気に入りで4年ほど愛用している。朝お湯を入れて山でカップラーメンなどを作って食べるのが好きで、普段使いもできて気に入っている。

本日のランチ
本日のランチ

雲海を望みながら30分ほど休憩している間、浅間山は霧で晴れたり曇ったりを繰り返していた。

V
黒斑山からの雲海

そろそろ帰ろう。下りではぬかるみや滑りやすい石に注意しながら同じルートを下りた。今日は何度も上ったり下ったりを繰り返し、累積標高が500mとなった。帰路での登り返しが結構きつかったが、なんとかビジターセンターまでたどり着けてホッとした。

2階に行ってみると、ヘルメットレンタル無料と書かれていた。ここで借りられることを初めて知り、それだけ危険と隣り合わせなのだとあらためて感じた。30年ほど前の記憶では、確かのろしくらいの噴煙だったと思う。活火山であることを再認識し、備えが必要だと思った。ソフトクリームと山バッジを購入し本日の山行を終えた。

黒斑山の標高は2404mで紅葉はすでに終わっていたが、ルート上に何カ所も展望地があり楽しめた。そして雲海の絶景に出合えて大満足の日帰り山行だった。

(山行日程=2024年11月11日)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数: 日帰り
コースタイム: 2時間40分
行程:車坂峠・・・車坂山・・・槍ヶ鞘・・・トーミの頭・・・黒斑山・・・トーミの頭・・・槍ヶ鞘・・・車坂山・・・車坂峠
総歩行距離:約5,200m
累積標高差:上り 約532m 下り 約532m
コース定数: 12

関連リンク

今井良子(読者レポーター)

今井良子(読者レポーター)

長野県在住。山の中で育ったせいか森が好き。そして歩くことが好き。ケモノは怖いのでいつもドキドキしながら里山や街道歩きを楽しんでいる。

この記事に登場する山

長野県 群馬県 / 浅間山周辺

黒斑山 標高 2,404m

 三重式火山、浅間山の第一外輪山で、約5万年前には高さ2800~2900mの美しい円錐形をしていた。約3万年前の爆発によって、現在のような半円形の断崖になったといわれる。  第二外輪山の前掛山との間にある火口原が湯ノ平で、ここからの黒斑山の眺めは、コーカサス地方の風景にもたとえられる。  車坂峠から入って黒木の森をくぐり、避難小屋の建つ赤ゾレの頭を過ぎると、浅間山の威容に圧倒される。トーミの頭は、やや東に突き出ているため、Jバンドまで約3.4km続く黒斑山稜や、周辺のすばらしい火山景観が一望で、カモシカを見ることもある。晩秋の新雪のころ、浅間の山肌に白い縦縞が入る。  車坂峠登山口から山頂まで1時間30分。 <火山情報>  浅間山は活火山であり、2009年2月にも噴火活動によって、周辺の山域にも噴火情報が出され、黒斑山周辺でも入山規制が行われることがある。登山を計画する場合は、最新の火山情報を確認すること。

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