冬山装備は正しい使い方を学び、しっかりとした訓練を積みましょう 島崎三歩の「山岳通信」 第371号
12月11日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第371号では、期間中に起きた山岳遭難の件数は0件となり、2週連続で山岳遭難事故は発生しなかった。
長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス
冬山に向けて準備は順調に進んでいますか? 冬山の特徴的な装備といえば、雪崩対策の三種の神器「ビーコン」「プローブ」「ショベル」です。
雪崩対策の装備として、自分や仲間の命を守るための必携装備ですが、遭難者の方に聞くと「持っていません」「使えません」という声を聞きます。それぞれの装備について簡単に説明します。
【ビーコン】
▽電波を発信する器具(周波数は世界共通)
▽1人1つ必ず身に着け、雪崩で自身や仲間が埋没した際に、電波を手掛かりに救助します
【プローブ】
▽ビーコンで絞り込んだ場所を詳細に特定していく棒状の器具
▽ビーコンを携帯していない遭難者の場合は、広大な雪面をプローブのみで探します
【ショベル】
▽プローブで探し当てた遭難者を、雪の中から掘り起こします
▽効率的な掘り起こし方、素早く掘り起こすための体力が必要です
この3つを「持っていない」「使えない」という方は、「入山してはいけません」と言いたいほど重要な装備です。冬山に入山する前に講習などで正しい取り扱い方を習得しましょう。
また、持っている、使えるという方もビーコンの電池を新しいものに交換するなど、しっかりメンテナンスをして、いざというときに使えるように準備をお願いします。
続いて、「アイゼン(クランポン)」と「ピッケル」について簡単に説明します。
【アイゼン・クランポン】
▽登山靴の靴底に装着する、金属製の爪が付いた器具
▽爪の数は6本、10本、12本などさまざまありますが、長野県内の高山に挑戦する場合は、12本爪を推奨
▽摩耗すると爪が丸くなり、堅い氷には刺さりづらくなってしまうため、使用頻度に応じたメンテナンスが必要
【ピッケル】
▽雪面状態やピッケルの形状、強度など用途に応じて使い分けができるよう種類が豊富
▽急斜面での歩行や体勢の補助などに使用
▽見た目は単純な道具ですが、持ち方、雪面への刺し方などの習得が必要
例年、アイゼンをズボンの裾に引っかけて、転倒したり、バランスを崩して滑落したりする事例が発生しています。原因は、小さな気の緩みや、そもそもアイゼンを装着した歩行に慣れていないケースも見られます。
また、ピッケルを持っていながら、正しい使い方を知らない、という方もパトロール中に見かけます。
アイゼンとピッケルは、「購入したから大丈夫」という道具ではありません。正しい使い方を学び、しっかりとした訓練を積む必要があります。初心者の方は、講習会やガイド登山などで正しい取り扱い方法を習得しましょう。
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島崎三歩の「山岳通信」
信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。
島崎三歩の「山岳通信」
長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。
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