富士山を背景に鷹が舞う! 渡良瀬遊水地で初日の出探鳥会
読者レポーター・ケロケロさんの、初日の出と一緒にバードウォッチングをするという「初日の出探鳥会」に参加したレポートです。
文・写真=ケロケロさん
渡良瀬(わたらせ)遊水地は栃木・茨城・群馬・埼玉の4県にまたがる国内最大の遊水地です。広大な葦原と点在する沼、調整池からなる自然豊かな湿地環境には、希少種を含む多くの動植物が生息しています。猛禽類の越冬地として知られ、タカの仲間チュウヒの越冬地としては日本有数の場所になるそうです。
元旦の朝、ここで行なわれる探鳥会に参加してきました。目当てはもちろん、初日の出とチュウヒのねぐら立ち。「渡良瀬遊水地初日の出探鳥会」は日本野鳥の会栃木県支部が毎年行なっていて、誰でも参加することができます。参加費用は一般300円、会員100円(2025年)とリーズナブル。事前連絡なしに直接行ってOKで、双眼鏡の貸し出しもありました。
集合時間は午前6時、日の出前で辺りは真っ暗です。集合場所の栃木市藤岡遊水池会館の駐車場へ着くと、ヘッドランプの明かりで受付をしていました。頭上には北斗七星や冬の大三角形が瞬き、人工衛星らしき光がゆっくりと空を渡っていきました。しかし、寒い! 慌てて車内に戻り、開始時間を待ちました。登山と違ってバードウォッチングではあまり動かずじっとしていることが多く、ダウンジャケットと冬山用インナーを着込んで臨みましたが、風が少し吹くと震える寒さでした。
探鳥会の説明を聞いた後、各々車に乗り込み先導車の後をついて行きます。普通車がギリギリ通れる細いゲートを通過して、葦原の中の道へ。ポイント付近で前の車が順々に路肩へ寄せて止まるのに従って車を止め、日の出を待ちました。
空が徐々にオレンジ色に染まっていくと、葦原から次々と鳥たちが飛び立ちます。黒いシルエットでも、チュウヒの飛び方は特徴的なVの字でわかりやすく、「あがった!」の声で双眼鏡やカメラを覗き込みました。
やがて東の地平線、筑波山の少し右手のほうから御来光となり、初日の出撮影タイム。さえぎるもののなにもない、ただただ広い空と大地が朝日に染まってゆくさまは、何度見ても美しく感動的です。
渡良瀬遊水地は、晴れていれば筑波山(つくばさん)から日光(にっこう)連山、赤城山(あかぎやま)、浅間山(あさまやま)、富士山と関東平野を囲む山々をぐるり見渡すことができます。初めて来た時は富士山しかわからなかったのが、少しずつ自分の足で登った山がわかるようになり、登った山が見えるとつい写真を撮ってしまいます。
飛び立ったチュウヒたちは、やがて葦原の彼方へ消えていきました。ほかにも、おそらくホオジロやカシラダカ、ベニマシコといった小鳥たちが続々とねぐら立ちしていくのですが、チュウヒに忙しくてほかの小鳥を追う余裕がありません。猛禽ではほかにトビとノスリ、大きな魚を魚雷のようにつかんで飛ぶミサゴが見られました。
ちょうど富士山の方向にチュウヒが飛んで行った時には、あと茄子があれば・・・と思いました。それと、もっとちゃんとした望遠レンズ付きカメラがあれば・・・。
最後にコウノトリが横切って行きました。飛ぶ姿はサギに似ていますが、大きさがまったく違います。今年もまた渡良瀬遊水地の巣塔で営巣するでしょうか。
ひとしきりチュウヒが飛び去った後は、道を横切るジョウビタキやアオジなどを見ながら少し歩いてカモの池へ。ヨシガモ、マガモ、ミコアイサ、ホシハジロといった冬のカモたちを観察しました。
探鳥会の最後に、カップのお汁粉と豚汁が振る舞われました。冷え切った体に温かいお汁粉がうれしくて、実は毎年チュウヒと同じくらい楽しみにしているのでした。
(山行日程=2025年1月1日)
立ち寄り情報
渡良瀬遊水地湿地資料館
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ケロケロさん(読者レポーター)
散歩をするように山を歩いて、木々や草花の折々の姿や、生き物との偶然の出会いを楽しみたい。双眼鏡をぶらさげて、関東近郊の山をのんびり歩いています。
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