登山では標準ズームで風景や花などを撮影。持っていくアクセサリは三脚|登山のカメラに関するアンケート結果②

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山と溪谷オンラインでは、カメラ・写真撮影に関するアンケート調査「登山ではどんなカメラを使っていますか?」を実施しました。回答いただいた253人のカメラの使用状況を分析したところ、「標準ズームレンズ」のユーザーが最も多く、「風景や花」を撮影する人が大多数ということがわかりました。

構成・文=山と溪谷オンライン、写真=PIXTA

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登山で使うレンズは標準ズームが主流。被写体は風景や花

回答者253人の今回のアンケートでは、ミラーレス一眼やデジタル一眼レフなどレンズ交換式のカメラを使用しているとの212の回答があった(複数回答可)。使用レンズについての設問(複数回答可)では、「標準ズームレンズ」が135で最多。次いで「望遠ズームレンズ」が84、「広角ズームレンズ」が67で、近年人気が高まっている「高倍率ズームレンズ」は47だった。フリーコメントでは「明るさ(f値)は少々暗くてももっと軽いレンズが欲しい」(70代以上男性)、「交換レンズは1、2本で済ませたい」(30代男性)との回答があり、登山では機材の重量を少しでも抑えるため、1本でさまざな画角をカバーするズームレンズが重宝されていることが確認できた。また、少数派ながら単焦点レンズを使用している人、マクロレンズのユーザーもいた。

使っているレンズはなんですか?(複数回答可)

登山中に撮影する被写体についての質問(複数回答可)では、「風景」が最多で244。次いで「花・植物」174、「山小屋や道標など」75、「動物」68人、「星」58で、山で出合う自然にレンズを向けていることがわかった。「仲間」49、「自分自身」12と、人物を撮影する人はやや少なめだった。

登山中に最も撮影する被写体は何ですか?(複数回答可)

6割が露出や被写界深度を理解。長時間露光を実践する人も7割超

ミラーレス一眼やデジタル一眼レフでの撮影に必要な露出や被写界深度の理解度についての質問(理解度を1~5で選択)では、「よく理解している」(5)の回答が39%で最多。「おおむね理解している」(4)が24%で、合わせて63%が基礎的な知識をもっていることがわかった。一方で、「どちらともいえない」(3)は25%、「あまり理解していない」(2)が8%、「理解していない」(1)が4%で、37%が理解不足と認識していた。

露出や被写界深度について、どの程度理解していますか?

デジタルカメラの性能向上に伴い、高感度撮影が容易になっている。星空などを撮影する際の長時間露光の撮影経験について聞いたところ、「よく行なう」が14%、「時々行なう」が61%で、75%もの回答者が実践していることがわかった。

長時間露光撮影の経験はありますか?

また、「携行しているカメラ関連のアクセサリはありますか?」(複数回答可)という質問でも、長時間露光に不可欠な「三脚」が155で最多となった。そのほかは「ネックストラップ」137、「フィルター」112、といった標準的な小物が中心で、ザックを背負うからか、「カメラバッグ」は回答者数の半数以下の92にとどまった。

携行しているカメラ関連のアクセサリはありますか?(複数回答可)

写真作品は登山記録やSNSで活用。プリント派は少数

「登山中に撮影した写真をどのように活用していますか?」(複数回答可)という質問では、「登山記録」が158、「SNSに投稿」が142、「写真アルバムに整理(デジタル)」136で、デジタルデータのまま活用している人が回答全体の7割を超えた。「プリントして飾る」は42、「写真アルバムに整理(プリント)」は16で、少数にとどまった。パソコンやスマホといったデジタルデバイスの普及で、写真を活用・鑑賞するメディアは印画紙からモニター画面へと完全に移行していることが見てとれる。

登山中に撮影した写真をどのように活用していますか?(複数回答可)

会心の一枚が撮れたとき、「誰かに見せたい」「見てほしい」と思ったことがあるのではないだろうか。「登山メディアや登山メーカーなどのフォトコンに応募したことがありますか?」という質問では、29%が「ある」と回答。「ない」は71%に上った。山と溪谷オンラインでは、常時季節のテーマでフォトコンテスト「写真投稿企画」を実施し、作品を募集している。ウェブメディアなのでデジタルデータのまま応募できるほか、インスタグラムでの応募も可能なので、よい作品が撮れたときはぜひご応募を。プリント派ならや雑誌『山と溪谷』のフォトコンテストをぜひ検討していただきたい。

登山メディアや登山メーカーなどのフォトコンテストに応募したことがありますか?

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約3割がカメラの故障を経験。「あれば便利な機能」は防水・防塵

天候の急変や険しい地形、厳しい寒さなど、カメラにとっては過酷な条件がそろう登山。「登山中にカメラを故障させた経験はありますか?」という質問では、28%の人が「ある」と回答。その原因を聞いたところ、「落下の衝撃」が40で最多、続いて「水に濡れたたため」が28で、この二つが全体の6割以上を占めた。ほかには「経年劣化」13、「低温(雪山など)の影響」12、「砂などの混入」4などの回答があった。

登山中にカメラを故障させた経験はありますか?

故障の原因は?(複数回答可)

「カメラの機能で、登山中にあれば便利なものはありますか?」という質問では、故障に関する回答を裏付けるように「防水(防滴)機能」が191、「防塵機能」が140とトップ2を占めた。登山中の雨や霧、雪は珍しくない。こうしたシーンで故障を心配しながら撮影している登山者のイメージが浮かび上がった。レンズ固定式のコンデジ派を中心に「ズーム機能」も93、手ぶれ防止の「防振機能」が84、撮影地を記録できるGPS機能が79と続く。

カメラの機能で、登山中にあれば便利なものはありますか?

最後に、「登山に特化したカメラで欲しい機能は?」というフリーコメントの質問に寄せられた回答を見てみよう。

画質について

  • 高感度モノクロ(60代男性)
  • 高感度で星景撮影したときに黒い暗いところにノイズを出さない機能(50代男性)
  • 軽量コンパクトでスマホ以上の画質と操作性=マイクロフォーサーズ機で必要充分です(50代男性)

耐久性について

  • 防水防塵、センサーのホコリ付着防止(50代男性)
  • 防水、防塵、軽量、低温耐性、保持性(ホルスター等)、手袋での操作性(60代男性)

レンズについて

  • マクロ機能をもつ望遠ズームレンズ(60代男性)
  • 明るさ(f値)は少々暗くてももっと軽いレンズが欲しい(70代以上男性)
  • 野鳥を撮影するので、高倍率でも軽量(60代男性)
  • 取り外せないシャッタータイプのレンズキャップ(40代男性)
  • 薄型レンズ(40代男性)
  • 超広角域から標準域が1本でまかなえるレンズ、フルサイズ換算で15mm〜70mm、かつマクロ (60代男性)
  • レンズのズームは35mm換算で最低24~200mm、f値は開放2.0から36ぐらいまでキッチリ絞れる。そんなコンデジ(60代男性)

撮影機能について

  • 星のトレーサー(50代男性)
  • 登頂記念写真をきれいに撮れる機能(逆光でも顔と山、道標がすべてキレイに撮れる機能)(60代男性)
  • 一瞬の景色を逃さない起動速度の速さ(50代男性)

位置情報について

  • 地形図がモニターで見られる(30代男性)
  • ルート記録(60代男性)
  • ナビゲーション機能(30代男性)
  • 自動で山の名前が入る(60代女性)
  • コンパス機能。どっちを向いて撮ったのかを知りたい。GPSと連携して後で地図に重ねたい(50代男性)

バッテリーについて

  • 電池切れでも(最低限)動くもの(50代男性)
  • モバイルバッテリーとしても使えるといいと思います(50代女性)
  • 3日間充電なしで使えるカメラとか(50代男性)
  • 小型軽量で長時間使用できるバッテリー(50代男性)

携行性について

  • 出したままの移動でも邪魔にならないよう身体に密着するが、使用する際はすぐに引き出せる(50代男性)
  • 登山しながらすぐにカメラを持って撮影できるような機能、その際に汗が落ちない場所、草木に当たらない場所、登山の身体の動きに邪魔にならない場所で身体に取り付ける機能(50代男性)

その他

  • 標高、気圧、気温など気象情報に関する機能(70代以上男性)
  • 中判センサー、レンズ固定式でなるべくコンパクトなカメラ(40代男性)
  • 出っ張りが少なくパッキングしやすい形状で、雨の中でも下げたまま行動できるアクションカム並みの防水性、サングラスでも見やすいEVF、バッテリーの持ち。できればソーラーなどで充電可能、(40代男性)
  • 手袋を着用した状態でスムーズにタッチ画面やダイヤル操作ができる機能(50代男性)
  • レンズ交換不要な、高倍率ズームを擁した、大型センサーのカメラが欲しいです(40代男性)
  • マクロ・広角・ズーム20倍・防水・軽量でiPhone以上の画質と多重露光ができるコンデジ(60代男性)
  • ビューファインダー部が曇りにくい(30代男性)

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登山者アンケート

山と溪谷オンラインで実施した登山者へのさまざまなテーマのアンケートの結果をご紹介。

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