軽量で防水・防塵性能も高い頼れるヘッドランプ レッドレンザー/HF4R CORE|高橋庄太郎の山MONO語りVol.115
山岳・アウトドアライター、高橋庄太郎さんが、最新山道具を使ってレポートする連載。さまざまな角度からアウトドアグッズを確認し、その使用感と特徴を余すことなくレポート! 今回はレッドレンザー「HF4R CORE」を紹介します。
文・写真=高橋庄太郎、写真=矢島慎一
山岳装備の“必携”品のなかで、唯一どうしても“電気”が必要なのがヘッドランプだ。GPS機能を利用できるスマートフォンもいまや非常に重要な道具ではあるが、“あれば便利”の域を出ているわけではなく、“必携”といえるのはヘッドランプのみである。緊急時には命にすら係わってくる最重要装備だが、電気がなければまったく意味をなさないものでもある。
先端テクノロジーが投入される電子機器のひとつゆえに、ヘッドランプの機能的進化は他の山岳装備の比ではない。パソコンに接続して設定を変えたり、専用アプリを入れれば山中でも遠隔操作ができたりと、ほかの山岳装備とは完全に一線を画するギアなのだ。
だが進化を遂げた結果、機能性が高すぎて使いこなせない、操作が複雑で面倒になったという声も上がり、以前のような直感的にシンプルに使えるものを求める人も多かった。そのために、一時は多くのヘッドランプメーカーがハイテク方向に高機能であることをめざしていたようであったが、現在はシンプルに使える新型モデルも同様に開発されている。
そんななかで登場したのが、ドイツのヘッドランプメーカー、レッドレンザーの「HF」シリーズだ。

上の3つのモデルのうち、ブラックが「HF8R CORE」。ハンズフリーで明るさが自動的に調整される“アダプティブライトビームテクノロジー”などを搭載し、Bluetooth接続でのリモートコントロールも可能、しかも明るさは最高1600lm(ルーメン)で210m先まで照らせるというハイエンドモデルだ。最大使用可能時間は90時間で、重量は194g。手に持つとずっしりと重い。これほどの明るさや機能性を必要とする登山スタイルは限られるが、持ち運ぶ時間が登山よりも短く、重さをあまり気にしないで済む釣りなどのときは絶大な威力を発揮しそうである。
ブルーは手動で照射距離が変えられる「HF6R CORE」で、最高800lm、重量126g。最大使用可能時間は60時間。レッドはシンプルに徹した「HF4R CORE」で、最高500lm、重量72g。最大使用可能時間は35時間。ともに一般的な登山に向いているが、どちらを選ぶのかは、明るさ、重量、使用時間を比較したうえで、あとは使用する人の考え方や登山スタイル次第だ。ちなみに3モデルともに“完全防水”である。
HF4R COREの細部をチェック
さて、このなかで今回ピックアップするのは「HF4R CORE」だ。

照射距離が変えられる「HF6R CORE」の使い勝手のよさにも惹かれるが、ここでは多くの登山者が求める“軽量性”と“シンプル性”を重視した。なお、HF4R COREの重量72gには内蔵電池の重さを含んでいる。明るさや使用可能時間のことを考慮すると相当な軽量性で、ボディのサイズは82×42×32mmである。
スイッチは上側に付いており、頭部に装着したときに人差し指で押しやすい位置だ。

このスイッチは点灯モードを変えるだけではなく、長押しすることでロック機能も発揮し、バックパック内部で間違って点灯するような事態は避けられる。
こちらはHF4R COREをひっくり返した状態。つまり下側だ。

中央の2つの丸は、充電用の金属端子。これについては後ほど詳しく説明する。また、その左側で4つ並んだ点は、バッテリーの残量を示すインジケーターである。
頭(額)に当たる部分にはフォーム材が張られている。薄手だが肌触りがよく、滑りにくい。その左右に延びるヘッドバンドは幅1.5cmと細めだ。

どちらも必要充分な最低限の仕様ともいえるが、こんなところもHF4R COREが超軽量であることに貢献している。
HF4R COREは使用時の角度を無段階で調整できる。

これがなかなか絶妙な加減になっており、それほど力を入れずに角度調整ができるのに、一度調整すればほとんどずれてこない。トレイルランニングのときのように体が大きく上下に動いたとしても、この部分の角度が変わってしまうことはなさそうだ。ただ、それは使い始めの初期の段階で、使用を続けてパーツが摩耗していけば、どうなるのかは現時点ではわかりかねる。
夜の登山道でテスト開始
では早速、夜間ハイクを開始!

HFシリーズのなかでは明るさが控えめなHF4R COREだが、どんなものだろうか?
HF4R COREの明るさは3段階で変更できる。まずはいちばん低い“ロー”モードの20lmだ。

照射距離は15mで、35時間使用できる。なお、2つ並んだLEDのうち、この写真で点灯している左側は狭い場所を集中して照らすスポットライトで、右側は広範囲を照らすフラッドライトだ。つまり、20lmの状態ではスポットライトしか使っていない。
森のなかで杉の人工林に光を当てると、このような感じになる。

写真ではなかなか説明しがたいのだが、たしかに15m先くらいまでは目視できる。
次に“ミッド”モードで、一気に120lmへアップ。

スポットとフラッドの両方のLEDが点灯し、照射距離は60mで、5時間使用できる。
相当遠くまで照らせているのだが、50mまで光が届いているか少しわかりにくい。20lmのときと、さほど変わらないようにも思える。

撮影した場所がよくなかったか・・・。しかし、山中でまっすぐ遠くまで照らせる場所は少なく、お許しいただきたい。
最後に“パワー”モードで、300lm。

照射距離は100mで、2時間使用できる。120lmの点灯状態のままでパワーアップしている。
おお、さすが300lm!

奥のほうの杉の木が120lmのときよりもかなり明るく見えている。
以下は、3つのレベルの照射距離と範囲をイメージできるように、HF4R COREを地面において撮影したカットだ。左から、20lm、120lm、300lmである。

たんなる数値の上では、300lmは20lmの15倍に当たる。もちろん地面に置いているときと頭に付けているときでは光の拡散の仕方が大きく異なるのだが、この画像ではそこまでの差には見えないのがおもしろい。
ここで改めて、明るさと使用可能時間の関係を整理すると「20lmのときは35時間」、「120lmのときは5時間」、「300lmのときは2.5時間」となる。近距離だけ照らせればいいテント場や山小屋内では常に20lmで済み、充電しないで数日間使える。

ただ、山というものはまだ明るくない早朝から歩き始めることが珍しくはなく、トラブルなどで明るいうちに目的地に到着できなかったり、夜間行動を強いられたりする可能性もある。そんなときは20lmで行動するのは心もとない。
明るさレベル別、登山道はどう見える?
次からは、登山道を照らしながら歩いたときのイメージ写真だ。
こちらは“ロー”の20lm。照射距離は15mのはずだが、うすぼんやりとしていて、10m先でどのように登山道が続いているのかわかりにくい。

だが、目を凝らせばなんとなくは把握できる。歩けないことはないが、常に前方を凝視して集中しなければならない。
“ミドル”の120lmのときは、このような感じに見える。10mほど先で、登山道が右に曲がっていくことがよくわかる。

ある程度の安全性を確保し、夜間歩行を可能にする現実的な明るさだ。使用可能時間は5時間なので、一晩使いっぱなしというわけにはいかないが、行動開始時間からヘッドランプが不要になる日の出くらいまでの時間、または日が暮れてから下山口までたどり着くほどの時間であればなんとかなると思われる。
そして“パワー”の300lm。このときは地面にうっすらと雪が積もっていたこともあり、光を反射してとても明るい。

いうまでもなく120lmのときよりもよく見え、遠くにある道標なども見つけやすい。この明るさで歩くのが最も安全ではあるが、2.5時間しか使えないのは心配だ。道がわかりにくい場所にきたときに短時間だけこの明るさにして周囲を確認し、あとは120lmに落として使う・・・などという使い方にすればバッテリーが無駄にならないはずだ。
ところで、HF4R COREには“ブースト”と呼ばれるモードもあり、短時間ながら500lmで130m先まで光が届くようにもでき、緊急時に遠くを照らしたいときには有効だ。

バッテリーの消費は激しいが、ほかのモードと違ってボタンの押し方を変えなければこのモードにはならないため、少なくとも誤作動での消耗は避けられる。
さらにもうひとつ、HF4R COREには赤色光モードも搭載されている。

白色よりも刺激が少ない赤色の光は、人が多い山小屋などでは周囲の人に迷惑をかけず、とても有用だ。

僕は今回のテスト時はひとりでテントに泊まっていたので、赤い色の光は必要ではなかったが、点灯すれば妙にムーディで楽しかったことはお伝えしておこう。
その後、僕は山中をうろうろしながらHF4R COREのテストを繰り返した。時間にして2~3時間といったところだろうか。

その結果、再認識したのは、やはり20lmで行動するのは厳しいということ。ゆっくりと注意しながら歩けなくはないのだが、前方と足元を常に注意しなければならず、心身ともにかなり疲れる。しかし、120lmであれば安心だ。300lmは周囲の確認には便利だが、登山道を歩く程度であれば、ここまで明るい必要はない。HRシリーズにはもっと明るい1600lm、800lmのものも用意されているわけだが、一般的な登山用途に関していえば、このHF4R COREのように通常は20lmか120lmで使用し、いざというときは最大300lmにできるというスペックがあれば、必要にして充分なのではないだろうか。
ただ、僕個人としては緊急時の夜間行動を考えると、120lmで5時間というのは少し心配だ。あと2~3時間でもプラスされるとうれしいように思う。だがHFシリーズは充電方法が簡単で、こまめに充電するのは苦ではない。常にバッテリーをフルにしておけばいつでも5時間は使えるのである。
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