アジサイの山・六甲山で「幻の花・シチダンカ」を楽しむハイキング。神戸市森林植物園から摩耶山へ
六甲山は「アジサイの山」といわれている。雨が少ない瀬戸内式気候のエリアにありながら、海が近くて急峻な斜面は上昇気流が発生しやすく、特にアジサイが開花する季節は、霧が発生することも多い。また花崗岩を母岩とする地質は、水はけがいい。六甲は、気候的にも土壌の面でもアジサイの仲間にとっては生育しやすい環境なのである。また弱酸性土壌のため、アジサイは美しい青色に発色し、その花色は「六甲ブルー」と呼ばれている。
文・写真=根岸真理、トップ写真=色とりどりのアジサイ
桜谷から摩耶山へ
ここから桜谷道で摩耶山に向かう。
石段を登り、生田川支流の桜谷に沿ってダイレクトに摩耶山へ向かう。谷の上部は摩耶自然観察園として整備されており、たくさんのアジサイが植えられている。 筆者が6月2日に訪れたときは、アジサイはまだまだつぼみで、池の上の木の枝にはモリアオガエルが産んだ卵塊がぶら下がっていた。
自然観察園のすぐ上が、ゴールの摩耶山掬星台(きくせいだい)だ。「手で星を掬(すく)えるようなゴージャスな夜景が楽しめる」ことから名づけられたという、六甲山でも屈指の夜景ビュースポットだ。
「まやビューライン」のロープウェイ山頂駅の駅舎2階には「まやビューテラス カフェ702」があり、絶景を眺めながらケーキや軽食がいただける。夜景も美しいので、時間が許すならゆっくりと過ごしてほしい(ビューラインの最終便の時刻に注意)。山上での時間を満喫したら、ロープウェイとケーブルで下ろう。
なお掬星台から徒歩15分の所には、摩耶山の名の元にもなった摩耶山天上寺(てんじょうじ)がある。日本で唯一、お釈迦様の生母である摩耶夫人(まやぶにん)を祭る寺で、境内にはさまざまな花が植えられ、梅雨の頃には、はかなく美しい一日花(いちにちばな、朝咲いて夕方には散ってしまう)・シャラの花が咲く。
ちなみに天上寺では、10月ごろには境内のあちこちにフジバカマが咲き、その花を目当てにたくさんのアサギマダラがやってくる。そのころにもまた訪れてみてほしい。
プロフィール
根岸真理(ねぎし・まり)
六甲山西端の神戸市須磨区生まれ。現在は六甲山東端の宝塚市在住。アウトドア系を得意とするフリーライター。親に連れられ、歩き始めると同時に須磨の山に登っていたため六甲登山歴60年。アルパイン歴は約30年。 神戸新聞「青空主義」欄で月に1回六甲山の情報(六甲山大学)を発信中。主な著書に『六甲山を歩こう!』『六甲山シーズンガイド春夏』『六甲山シーズンガイド秋冬』など。兵庫県立六甲山ガイドハウスで「山の案内人」ボランティア活動中。
今がいい山、棚からひとつかみ
山はいつ訪れてもいいものですが、できるなら「旬」な時期に訪れたいもの。山の魅力を知り尽くした案内人が、今おすすめな山を本棚から探してお見せします。
こちらの連載もおすすめ
編集部おすすめ記事

- 道具・装備
- はじめての登山装備
【初心者向け】チェーンスパイクの基礎知識。軽アイゼンとの違いは? 雪山にはどこまで使える?

- 道具・装備
「ただのインナーとは違う」圧倒的な温かさと品質! 冬の低山・雪山で大活躍の最強ベースレイヤー13選

- コースガイド
- 下山メシのよろこび
丹沢・シダンゴ山でのんびり低山歩き。昭和レトロな食堂で「ザクッ、じゅわー」な定食を味わう

- コースガイド
- 読者レポート
初冬の高尾山を独り占め。のんびり低山ハイクを楽しむ

- その他
山仲間にグルメを贈ろう! 2025年のおすすめプレゼント&ギフト5選

- その他