続く物価高、登山用具はセールで。登山者の8割が節約を実践|物価高と登山に関するアンケート結果①
終わりの見えない物価高のなか、登山者もやりくりしながら山行を重ねている。このほど、山と溪谷オンラインでは物価高と登山についてのアンケート調査を実施。幅広い年代の426人から回答が寄せられた。実に8割の回答者が節約を実践しており、物価高対策として最も多かったのは「登山用具はセールを待って買う」(47.8%)、次いで「交通費を節約するため近い山を選ぶ」(46.4%)となった。
構成=山と溪谷オンライン 写真=PIXTA
基本データ
募集期間:2025年5月6日~2025年5月30日(オンラインアンケート)
総回答数:426
性別:男性275、女性141、回答しない10
年代
426件の回答
登山歴
426件の回答
登山頻度
426件の回答
最大の悩みは交通費。「登山に物価の高騰を痛感するのはどんなときですか?」
「登山に物価の高騰を痛感するのはどんなときですか?」という質問で登山者の悩みのありかを探ったところ、最も多かった回答が「交通費(公共交通・ガソリン代など)の値上がり」(回答数296、69.5%)だった。交通費の値上がりは登山の行き先や内容にかかわらず、すべての登山者にのしかかるコストだけあって、回答数も多かった。
次いで多かったのは、「宿泊費の値上がり」(回答数286、67.1%)、第3位は「登山用具の値上がり」(回答数280、65.7%)、第4位「食料品の値上がり」(回答数210、49.3%)、第5位「登山ツアー等の値上がり」(回答数50、11.7%)と続いた。わずかながら「物価高騰を感じない」(回答数8、1.9%)との回答もあり、登山者の懐具合の多様さを感じさせる結果となった。
【質問1】登山に物価の高騰を痛感するのはどんなときですか?
426件の回答(複数回答)
「その他」で寄せられた回答は次の通り。
- リフト券などの値上がり
- テント場料金の値上がり
- 登山アプリや捜索用端末の利用料の値上がり
- 土産物の値上がり
- 駐車料金の値上がり
- 登山後の入浴料の値上がり
- 各地の入山料制度の導入
「登山用具はセールで」「登山は近い山で」……8割が節約を実践。「収入を増やす」という回答も
「物価高騰で登山の際に節約を心がけていますか?」という質問では、82.9%が「はい」と回答。「いいえ」と回答したのは17.1%にとどまった。続く「物価高対策として実施していることはなんですか?」という質問に対しては、「登山用具はセールを待って買う」(回答数171、47.8%)が最多となった。「登山用具の購入を控える」(回答数135、37.7%)も第3位に上がっており、「中古の登山用具を買う」(回答数51、14.2%)という回答も少なくなかった。もともと高価な登山用具にかける費用をいかに抑制するかが関心事となっていることが見てとれる。
第2位は「交通費を節約するため近い山を選ぶ」(回答数166、46.4%)、第4位は「宿泊費を抑えるため日帰りで登る」(回答数128、35.8%)と、登山計画段階から節約志向となっていることがわかった。「宿泊費を抑えるためテント泊を選ぶ」(回答数97、27.1%)と体力でカバーする派の回答も第7位に浮上。第8位は「宿泊費を抑えるため山小屋泊登山の頻度を落とす」(回答数66、18.4%)で、「登山の頻度を下げる」(回答数37、10.3%)という回答も少なくなかった。
交通費や宿泊費以外にも節約する方法はある。第5位「行動食や昼食を自分で作る」(回答数113、31.6%)、第6位「土産物は買わない」(回答数111、31%)といった回答からは、山小屋や売店、山麓の飲食店、土産物店などでの食事、買い物を控える登山者の行動パターンが見えてくる。「登山中・登山前後の飲食を控える」(回答数53、14.8%)という“絶食派”もおり、「下山メシ」ブームの一方で、「山の味覚」を存分に楽しめない姿がやるせなさを感じさせる。また、「下山後の温泉を控える」(回答数59、16.5%)という回答も多かった。各地で山開きシーズンを迎えているが、登山者の消費行動の鈍化が、登山エリアの経済に影響を与える懸念も出てきそうだ。
一方で、社員に副業を許可する企業も増え、シルバー世代の雇用機会も増加していることもあってか、「アルバイトや副業などで収入を増やす」(回答数26、7.3%)というアグレッシブな登山者も。物価高をはねのけて山に行こうという気迫も感じられる。
【質問2】物価高騰で登山の際に節約を心がけていますか?
426件の回答
【質問3】質問2で「はい」と答えた方にお聞きします。物価高対策として実施していることはなんですか?
358件の回答(複数回答)
物価高対策で「その他」として寄せられた回答は次の通り。
- 山の近くに引っ越した
- 作業服ブランドなど、100円ショップなどの廉価商品を利用する
- 普段のお酒や食費を抑える
- 登山アプリのサブスク利用見送り
- 深夜割引や下道移動
- 手持ちの装備で行ける山に登る
- 費用のかさむ山、時期を避ける
- ネットで割引チケットを購入
- 前泊は車中泊にする
- 飲み物や食品はスーパーで事前に購入し、自販機やコンビニは使わない
- リフト、ロープウェイなどは使わない
- 用具をメンテナンスして長持ちさせる
- 見切り品のパンが補給食
- 登山用品を普段から使い、ものを増やさない
- 切符は金券ショップで株主優待券を買う
- ソロ登山ではなくグループで交通費を割り勘に
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