北八ヶ岳の天然温泉4選【山と溪谷8月号】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

発売中の『山と溪谷』2025年8月号の特集は、「八ヶ岳」。日本一標高の高い野点風呂でおなじみの雲上の湯・本沢温泉(ほんざわおんせん)をはじめ、4つの温泉を雑誌から紹介します。最後に、温泉を巡る登山コースガイドつきです。目的地を温泉にして、登山をしてみませんか?

文=飯出敏夫・上田 剛 写真=飯出敏夫

目次

北八ヶ岳の登山拠点として親しまれている温泉は、小海町(こうみまち)・南牧村(みなみまきむら)側に稲子湯温泉(いなごゆおんせん)と本沢温泉、茅野市側に奥蓼科温泉郷の渋御殿湯(しぶごてんゆ)と唐沢鉱泉(からさわこうせん)、それと別項で紹介されている夏沢鉱泉(なつざわこうせん)も含めると5カ所ある。この中で、別格的存在なのが硫黄岳(いおうだけ)を間近に仰ぎ見る標高2150ⅿに位置する本沢温泉で、この山域では唯一の高温の湯が湧出する渋御殿湯は27~31℃、ほかはいずれも25℃未満の冷鉱泉だが、登山客を心身ともに癒やしてくれる個性豊かな霊泉ぞろいである。

1.湯元本沢温泉

八ヶ岳では唯一。高温泉の極上湯

名物の野天風呂は標高2150ⅿ、通年営業としては日本一の高所にある。湯浴み着の着用可なので、女性客も満喫している。内湯は泉質の異なる別源泉で、こちらも極上湯。相部屋基本の本館、個室仕様の新館がある。

湯元本沢温泉

温泉データ

野天風呂

泉質:酸性・含硫黄-カルシウム・マグネシウム‒硫酸塩温泉
源泉温度:40.8℃

内湯

泉質:ナトリウム・カルシウム‒ 硫酸塩・炭酸水素塩温泉
源泉温度:53.1℃
ヤマタイムで周辺の地図を見る

2.稲子湯旅館

北八ヶ岳の玄関口に自噴する名湯

旅館の前までバスが停まり、タクシーでもアクセスできる手軽さが魅力。自然湧出の源泉は希少な泉質で、炭酸泉特有の泡付きもよく、下山後の入浴はクールダウンに絶好の湯だ。湯船は内湯だけだが、清涼感あふれる飲泉も楽しみ。

稲子湯旅館
飲泉可の源泉はまるでサイダーのような清涼感

温泉データ

泉質:含硫黄・二酸化炭素-単純冷鉱泉
源泉温度:8.1℃
ヤマタイムで周辺の地図を見る

3.唐沢鉱泉

豪壮な造りの湯船で楽しむ炭酸泉

開湯は約400年前、武田信玄の隠し湯と呼ばれた古湯。湯船は豪壮な木造りで、適温とぬる湯の2つの湯船と源泉打たせ湯が楽しめる。北八ヶ岳山麓では最も施設の整った観光客向きの温泉宿で、名物の猪鍋が人気だ。

唐沢鉱泉
湯船は適温とぬる湯。源泉の打たせ湯もある

温泉データ

泉質:単純二酸化炭素冷鉱泉
源泉温度:10.2℃
ヤマタイムで周辺の地図を見る

4.渋御殿湯

渋長寿湯と渋御殿湯の名湯2源泉

783(延暦2)年の発見と伝わり、武田信玄の隠し湯、諏訪歴代藩主愛用の「御殿湯」と呼ばれた古湯である。風呂は本館と新館にあり、本館の男湯(写真)だけにある宿泊・部屋休憩客専用の足元湧出泉「渋長寿湯」が人気。

渋御殿湯
左が足元湧出の渋長寿湯、右奥が渋御殿湯

温泉データ

渋長寿湯

泉質:単純酸性硫黄温泉
源泉温度:31.0℃

渋御殿湯

泉質:単純酸性硫黄温泉
源泉温度:27.0℃
ヤマタイムで周辺の地図を見る

温泉を巡る八ヶ岳横断コース

稲子湯旅館→中山峠分岐→みどり池分岐→湯元 本沢温泉(泊)→白砂新道→根石岳→天狗岳→唐沢鉱泉/1泊2日

天狗岳は黒百合ヒュッテ、唐沢鉱泉からの登山者が多いが、根石岳側からのゆったりした姿もすばらしい。白砂新道は名前のとおり、稜線付近に白い石が多いことも隠れた魅力だ。西天狗からは大きな岩が多い急な下りとなるので、注意しながら下ろう。途中の第二、第一展望台からは八ヶ岳を横から見るような展望が楽しめる。

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:1泊2日
コースタイム:【1日目】約3時間25分
【2日目】約4時間25分
総歩行距離:約11,700m
累積標高差:上り 約1,458m 下り 約1,085m
コース定数:33

山と溪谷2025年8月号より転載)

目次

プロフィール

山と溪谷編集部

『山と溪谷』2026年1月号の特集は「美しき日本百名山」。百名山が最も輝く季節の写真とともに、名山たる所以を一挙紹介する。別冊付録は「日本百名山地図帳2026」と「山の便利帳2026」。

Amazonで見る
楽天で見る

雑誌『山と溪谷』特集より

1930年創刊の登山雑誌『山と溪谷』の最新号から、秀逸な特集記事を抜粋してお届けします。

編集部おすすめ記事