北アルプスの紅葉の名所はどこ? 見頃はいつ? エリア別紅葉解説【山と溪谷10月号】

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発売中の『山と溪谷』10月号の特集は、「山小屋主人が案内する 北アルプス絶景紅葉スポット」。「槍穂高・乗鞍」「剱・立山」「白馬・後立山」の3エリアで紅葉の特徴を解説します。山に行く前にエリアの特徴を知ってから、計画を立てて出かけよう! いずれも降雪による遭難に注意です。

目次

3000mの高峰を彩る紅葉の絶景地 槍・穂高・乗鞍エリア

涸沢カールから見た穂高連峰(PIXTA=写真)
涸沢カールから見た穂高連峰(PIXTA=写真)

3000m峰が立ち並ぶエリアで紅葉の訪れは早い。9月中旬から草もみじ、9月20日ごろから森林限付近のダケカンバが色づき、紅葉前線は徐々に高度を下げていく。涸沢(からさわ)や槍沢(やりさわ)上部、位ヶ原(くらいがはら)のナナカマドなどは10月初旬に最盛期を迎え、秋青空の下、錦繡に染まった斜面がよく映える。ミネカエデやイタヤカエデは気温が氷点下に達するとオレンジ色に染まる。10月中旬には紅葉前線が横尾谷や槍沢ロッジまで下がり、カツラ、ミズナラ、ブナなどが色づく。標高が高いので紅葉最盛期に降雪することがある。遭難が多発した例もあり、行動判断は慎重に。

(文・写真=渡辺幸雄)

高山から峡谷へ彩り移ろう紅葉を楽しむ剱・立山エリア

池ノ平へ向かう途上から見る八ツ峰上部とチンネの岩峰
池ノ平へ向かう途上から見る八ツ峰上部とチンネの岩峰

北アルプスのなかでも標高の広がりが大きく、紅葉を長く楽しめるのが特徴だ。紅葉は3000mの高峰から始まり、2000~2400m付近の弥陀ヶ原(みだがはら)、室堂平(むろどうだいら)へ。さらに季節とともに1000m前後の馬場島(ばんばじま)や黒部峡谷へと下っていく。

紅葉するのはダケカンバ、ナナカマド、チングルマなどで、9月中下旬に室堂周辺、10月上中旬に仙人池や池ノ平を彩る。黒部の谷底が彩られるのは10月下旬過ぎである。

広大な高原と、険しい岩壁の紅葉が混在するのも本エリアの特徴。9月下旬以降は高所で降雪の可能性があるので注意が必要だ。

(文・写真=星野秀樹)

ゴンドラやロープウェイで紅葉のなかへ白馬・後立山エリア

遠見尾根から五竜岳を見る
遠見尾根から五竜岳を見る

白馬岳(はくばだけ)から五竜岳(ごりゅうだけ)にかけては長野県側から索道利用でアプローチを大幅に短縮し、いきなり紅葉の真っただ中に入り込むことができるのが特徴だ。紅葉の名所・栂池(つがいけ)自然園にはゴンドラとロープウェイ、八方(はっぽう)尾根と遠見(とおみ)尾根にもゴンドラが架かっている。北アルプス屈指の豪雪地帯なので森林限界が低く、9月下旬には2400m前後でナナカマドやチングルマ、ミネカエデ、ウラシマツツジなどが赤く色づく。10月になると上部で降雪することも多く、条件が合えば新雪との三段紅葉を楽しめる。一方、降雪による大量遭難がたびたび発生するので注意したい。

(文・写真=菊池哲男)

『山と溪谷』2025年10月号より転載)

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プロフィール

山と溪谷編集部

『山と溪谷』2026年1月号の特集は「美しき日本百名山」。百名山が最も輝く季節の写真とともに、名山たる所以を一挙紹介する。別冊付録は「日本百名山地図帳2026」と「山の便利帳2026」。

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雑誌『山と溪谷』特集より

1930年創刊の登山雑誌『山と溪谷』の最新号から、秀逸な特集記事を抜粋してお届けします。

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