【ルポ】埼玉・坂戸に「グランドキャニオン」と都電!?城跡の崖と森をめぐる里山ハイキング
「キワ」や「端」、「境目」には、なにかおもしろい発見がある気がする。今回取り上げるのは、埼玉県坂戸市の西の端あたり。地図を見ると坂戸市西端の境界線がまるでパズルのようにぽっこりと出っ張っている場所がある。市街地と里山の混ざり合うエリアの、ちょっとニッチな自然探索。
写真・文=中島タツヤ
多和目城跡と城山の森
さて、城山橋から岩口神社の鳥居脇に延びる急な舗装路を上がると、住宅地の裏手に城山山頂部への入り口がある。付近にあった案内板によるとこの城山、中世の多和目(たわめ)城跡ということだが、誰がいつ作ったか詳細は不明だそうだ。
イノシシに関する看板もあったので恐る恐る上がっていくと、水道施設に出た。横には古びた「多和目城跡」の標識があり、あっけないことにここが頂上部なのだ。先ほどの案内板によると土塁や縄文時代の住居跡も発見されたらしいが、草木が生い茂っているため、そういった雰囲気は感じられなかった。太古の昔は見晴らしがよかったかもしれないが、残念ながら展望はない。
多和目城跡からさらに奥の森へ、蜘蛛の巣を気にしつつ前進。一部通行止め箇所で方向を変え、開けた場所に出た。住宅地にほど近い高台で、運動場越しに西坂戸の町並みが見下ろせた。ここは坂戸市の西の端なのだが、傾斜地に広がる町並みの雰囲気は、多摩丘陵の絹の道付近にある北野台の町並みを思い起こさせる。
→北野台の位置をヤマタイムで見る
案内図によると、城山山頂部から北西に広がる森は「城山の森」という名称で、森の中には散策路もあるようだ。さっそく探索してみたところ、静かな森には散歩にもってこいの歩きやすいトレイルが延びていた。
ただし場所によっては、苔に覆われていたり草がかぶり気味だったり、あまり歩かれていないような箇所や道もあった。季節や道を選んだほうがよいだろう。ちなみにこの日、雨上がりということもあってか、森の中では誰にも会わなかった。
ちなみに城山の森西側には、JR八高線が走っている。八高線沿いの森といえば、加治丘陵のみどりのトラスト保全地を歩いたことがあるが、こちらはその縮小版という感じだ。どちらも、八高線沿いの森に共通するノスタルジックな雰囲気がある。
城山の森探索を終え、やや疲れを感じつつ森の北西に抜けると、のどかな田園風景が待っていた。木々や茂みに囲まれた閉ざされた空間から脱出し、開放感がとても心地よい。
この記事に登場する山
都市近郊の自然探索ハイキング
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