シーズン前の必須メンテナンス。ビンディングの動作チェックとワックスだけは塗っておこう

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スキーシーズンを前に、必ずやっておきたいのがギアのチェックとメンテナンス。怠ると思わぬトラブルに発展しかねないうえ、快適な滑りを楽しめなくなってしまう。

文・写真=中橋秀和 トップ写真=PIXTA


滑走用具のメンテナンスは、ショップでチューンナップを行なったら、あとは1シーズンそのまま使い倒すというスキーヤーも少なくないだろう。チューンナップも行なわず、購入したときから一切メンテナンスしてないという強者も少なくない。

ただ、ビンディングは、滑る前にブーツをちゃんとセットできるか、またビスなどに緩みがないかチェックして、問題があれば購入したショップに相談して直しておいてほしい。ゲレンデを滑るにしろ、山に入るにしろ、滑走現場で不具合がわかっても対応できないケースもあり、大きなトラブルにつながる可能性が高いからだ。ゲレンデ上部や山中でビンディングが故障した場合、最悪は徒歩で斜面を降りなければならなくなる。片方のみの故障の場合は片足スキーという手もあるが、片足で滑れるほどのスキルがあるなら、そもそもビンディングのチェックを忘れていることはないだろう。

スキー用具のチェック
滑りに行く前に用具のチェックはしておこう

また、滑走面は滑走回数や時間の経過とともに確実に滑走性が落ちてくる。経験の少ないスキーヤーは滑らないくらいのほうがよいと考えがちだが、滑らないスキーほどターンが難しく、コントロールが利かなくなり、滑るのが難しくなってくる。

そのため、ワックスは必ず塗っておいてほしい。イージーワックスと言われるスプレータイプのワックスでも、塗らないのとはまったく違う。さらにアイロンでワックスを溶かして塗るホットワックスなら、正しい手順で塗りさえすればその効果は驚くほど大きい。

実はワックスがけはそれだけで本が1冊かけるほど奥の深い世界だが、ポイントは「ワックスをかけたスキーは快適」ということ。ホットワックスの場合、ワックスをアイロンでのばしながらスキーに塗布し、その後スクレーパーではぎ取る。さらにスクレーパーで取りきれなかったワックスをブラシで削ぎ落とすという作業が必要で、その際使用するワックス、スクレーパーの厚さ、ブラシの種類、さらには作業室の室温などによって効果が変わると言われている。突き詰めていくにはたくさんの経験も必要になるが、確実に言えるのは、イージーワックスにしろホットワックスにしろ、ワクシングをしたスキーは、しないスキーとは違うということ。さらにワクシングの回数も多ければ多いほどよい。

スキーのワックスのアイロンがけの様子
ワックスがけはするとしないで大きな違いが出る。写真はワックスのアイロンがけの様子

ここではビンディングとワックスについて紹介したが、スキーのように用具が介在するスポーツは、事前の用具のチェックは重要だ。スキー、ビンディングだけでなく、ブーツやストック、ヘルメットやゴーグルなどもしっかりチェックをしておこう。

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プロフィール

中橋秀和(なかはし・ひでかず)

競技スキー専門誌の編集長を経て山と溪谷社に入社。高校時代はスキー部に所属し、その後大学までは競技スキーを行なう。以後、さまざまなスタイルのスキーを楽しんでおり、山と溪谷社入社以降は山スキーがメインになっている。火打山(新潟県)に初めて登って滑ったのは中学生のとき。元skier編集人。『山スキールート212』(山と溪谷社)共同執筆。

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