武甲山だけじゃもったいない! 大持山・小持山から紅葉の稜線を周回【紅葉レポート】

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読者レポーターより登山レポをお届けします。奥武蔵・秩父エリアはよく歩くというケロケロさん。今回は武甲山(ぶこうさん、1304m)へ大持山(おおもちやま、1294m)、小持山(こもちやま、1273m)から時計回りに周回しました。稜線からの絶景と紅葉を満喫できる、歩きごたえのある日帰り山行です。

文・写真=ケロケロさん

目次

MAP&DATA

高低図
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最適日数:日帰り
コースタイム: 6時間20分
行程:生川登山口(一の鳥居)・・・妻坂峠・・・大持山・・・小持山・・・シラジクボ・・・武甲山・・・大杉の広場・・・登山道入口・・・生川登山口(一の鳥居)
総歩行距離:約9,700m
累積標高差:上り 約1,234m 下り 約1,234m
コース定数:27

一の鳥居から出発。急坂から紅葉の尾根へ

休日に晴れるのは久しぶりで、これはぜひとも雨乞岩(あまごいいわ)からの絶景を見なければ!と、歩き慣れた奥武蔵へ向かいました。この日は大持山、小持山、武甲山と時計回りに一周しました。

紅葉の見頃には少し早いと思っていましたが、行ってみると山はすでに色づいていました。登山口である一の鳥居には黄色に輝くカツラの木。駐車場は満車で、徒歩5分ほど下った武甲山登山駐車場へ止めました。

一の鳥居
一の鳥居。登山ポスト、トイレ、靴洗い場がある

熊鈴がにぎやかな一の鳥居を背にして、妻坂(つまさか)峠へ向かう登山道へ。歩きやすくよく整備されているけれど、表参道と違って人けの少ない静かな山道です。

妻坂峠からはふくらはぎがつりそうな急坂を登ります。傾斜が緩んでホッとするあたりから、美しい紅葉の尾根道が始まりました。

たおやかな尾根に広がる自然林
たおやかな尾根に広がる自然林

カジカエデ、ヒトツバカエデ、ウリハダカエデ、ハウチワカエデ……カエデだけでも何種類あるのでしょう。毎年、今年こそはと思うのですがなかなか覚えられません。

この尾根は午後には日陰となってしまうので、午前中に日が差す時間帯がおすすめです。

大持山から小持山の区間はヤセ尾根で、岩場や足元の切れ落ちた箇所もあるので慎重に歩きます。

通称“メタボ岩”
岩の間を挟まるようにして通り抜ける。通称“メタボ岩”

稜線上の紅葉絶景

雨乞岩と呼ばれる絶景ポイントは大持山と小持山の中間あたりにあります。登山道のちょっと脇、木の裏側(東側)で、登山道上に案内板などはありませんが、景色を撮っている間にも次々とハイカーが現われる人気スポットです。

期待通りの色彩と連なる山並みに大満足でした。来てよかった……!

雨乞岩から
雨乞岩から
カラフルに染まる山肌
カラフルに染まる山肌

大持山、小持山ともに山頂の展望はありませんが、途中いくつか開けたポイントがあり、この日は西に両神山(りょうかみさん)、東に筑波山(つくばさん)を遠望することができました。

稜線上の紅葉も美しく、小持山付近ではアカヤシオやドウダンツツジが真っ赤に染まっていました。

美しいブナのグラデーション
ブナのグラデーションも美しい
鮮やかな色のドウダンツツジ
鮮やかな色のドウダンツツジ

武甲山山頂で休憩して、表参道から下山

小持山からは大きく下ります。下りきったところがシラジクボで、同じくらい登り返して武甲山へ。なかなかつらい登りですが、黄金色のカラマツ林や色とりどりのカエデに励まされました。足元にはシロヨメナの花も。お花はそろそろ終わりですね。

武甲山の緑豊かな後ろ姿
武甲山の緑豊かな後ろ姿。小持山の途中から

武甲山の山頂付近、御嶽神社奥宮のある広場では、いつものようにたくさんの人が休憩していました。私も適当な倒木に腰掛けて、おにぎりと煮卵でお昼休憩にしました。座っているとやや寒く、薄手のダウンを羽織りました。

お腹を満たした後で山頂の展望台へ行くと、眼下に秩父市街が一望できました。遠くに浅間山が半分雲に隠れてうっすらと見えました。

狼の狛犬
狼の狛犬。神社の周りは紅葉が美しい
武甲山山頂からの秩父市街
武甲山山頂の展望台から秩父市街を望む

帰りは大杉の広場、不動滝を通って表参道を下山しました。紅葉の稜線と絶景を楽しんで、いい一日となりました。来週あたりは紅葉がさらに進んで見頃になりそうです。

(山行日程=2025年11月2日)

目次

この記事に登場する山

埼玉県 / 関東山地

武甲山 標高 1,304m

 秩父の名山は年々形が崩されていく。東京から見ても、山頂部の変化が分かるようになってしまった。山名を武光山、秩父岳ともいう。山頂に日本武尊を祭る御岳神社がある。  武甲山のある地域は県立武甲自然公園に指定され、山の斜面は「武甲山石灰岩地特殊植物群落」に指定されていたが、今はこの地帯も完膚なきまでに破壊されてしまった。  現在は表参道の生川(うぶかわ)から登るしか方法はない。生川は畠山重忠の生誕地といわれている。表参道だけに道もしっかりしているが、山頂に近づくにつれて様相は一変する。御岳神社の裏手の展望台に立ってみると、山頂の石灰岩採掘の規模に目を見張る。下山は長者屋敷ノ頭を経て橋立に下るか、山稜を南下し大持山(おおもちやま)から鳥首峠へ下るとよい。  西武秩父駅を起点に生川から表参道を経て山頂に至り、橋立寺まで約5時間30分。  山頂の標高は三角点では1295mだが、最高点の標高は1304mとなる。

プロフィール

ケロケロさん(読者レポーター)

散歩をするように山を歩いて、木々や草花の折々の姿や、生き物との偶然の出会いを楽しみたい。双眼鏡をぶらさげて、関東近郊の山をのんびり歩いています。

山と溪谷オンライン読者レポーター

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