奥多摩の名山に登り、自転車で青梅街道を快走!道草を楽しむハイク&バイク旅【ルポ・チャリ登】

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これぞチャリ登の醍醐味!道草しながら青梅街道を走る

帰りの自転車ルート
帰りの自転車ルート(地図は「ヤマタイム」山岳地図データベースより二次利用して作成)

奥多摩駅への分岐まで来ると、少しだけ霧雨が弱くなっていました。さて、飯でもと思い、ふと辺りを見渡します。ちょうど真後ろにあったのが「奥多摩フードコート」。テレビドラマ版「下山メシ」で紹介されたという「ビビカレー」があったのでした。いやいや、これじゃ「下山メシ」を楽しんで帰るという“二番煎じ”になってしまいます。今回はチャリ登でもあり、奥多摩駅から青梅までは道路がゆっくりと下り基調になります。霧雨も弱くなっていたし、ちょっと下ってみるかと自転車を走らせました。

「ビビカレー」
おっ、うまそう……でも行きませんよ

駅を出て青梅街道を進むと、トンネルの前に氷川隧道の分岐が現われます。氷川隧道に入り自転車を走らせると、数分で「もえぎの湯」に到着します。

もえぎの湯(足湯)
もえぎの湯(足湯)

風を受けながら自転車で下ってきたので、汗で濡れたTシャツも多少乾き始めていました。しかし、温泉に入っても青梅街道をこれから下っていくとすぐに汗をかいちゃうなと思って入ったのが足湯でした。駐車場のすぐ脇にあり、入浴料はなんと100円。入館料が1,050円ですので、お得ですよね。貸し切り状態の足湯で疲れた足を癒やします。なんと心地よいのでしょう。もえぎの湯は源泉100%で、「メタほう酸・ふっ素」の効能は神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじきなど。登山帰りに入るには最適な泉質です。

20分ほど浸かり、足が軽くなったところで出発。再び青梅街道を下り、途中都道45号を経由して、再び青梅街道に入ります。多摩川沿いの道はところどころ遊歩道もあるようですし、自転車でも気持ちいい道のりです。

十数体のコスプレしたマネキン
夜に見たらきっとホラーです
自動販売機
買える?のかな?

青梅線に合流し、古里駅方面に進んでいくと「山のぱ〜ん屋 森のダンス」という、一見何屋さんかわからないお店があります。営業しているかもわからない感じだったのでスルーしようと思いましたが、自動販売機でなにか売っているようでした。ちょっと見てみるかと自転車を止めると……止めた自転車のすぐ脇に十数体のコスプレしたマネキンが密集していました……。これ、夜見たらきっとホラーですよね。山のぱ〜ん屋さんは、現在人手不足で営業していない様子ですが、自動販売機は利用できそうな感じでした。調べてみると、ネット購入ができたりするそうです。TVでも紹介されるほどのベーカリーだそうですので、興味のある方はぜひ! 私は霧雨が少し強まってきたので先を急ぎます。どこまで行けるかな……。

青梅街道を進むと、地方都市の県道を走っているような感じで、ローカルなお店がポツポツとあります。御岳駅あたりまで来るとお店も増え、山道具屋さんなんかもあります。ここで終わるのもなあ……。空を見上げ、もう少し行けそうかなと自転車を走らせます。ちょっと霧雨が強くなり始めたころ、大きな酒造が見えてきました。なんと、あの有名な「澤乃井」を作っている小澤酒造でした。

澤乃井
澤乃井だ!
澤乃井
お酒も肴も好みを聞いておすすめしてくれます

1702年(元禄15年)創業の老舗で清酒「澤乃井」の醸造元です。酒銘「澤乃井」は、豊かな水が沢となって流れる様子からつけられた「沢井」という地名に由来しているそうです。そんなこともあり、沢井駅からすぐの位置にあります。蔵では酒造見学もできますし、蔵の向かいには清流ガーデン澤乃井園があり、料亭の「澤乃井ままごと屋」、お酒と豆腐を味わう「豆らく」、仕込み水を使った「CAFE雫」、多摩川沿いでBBQを楽しめる「煉瓦堂朱とんぼ」があります。清流ガーデン澤乃井園では、軽食のほか、酒の肴や、好みに応じたおすすめのお酒を提案してくれたりします。いや、川苔山に行ったら直でここに来ればよかった。次回は、ここ目的で山に登ろうと心に誓うのでした。

こうしてきてみると、サイクリングが長いチャリ登もいいですね。チャリ登じゃなければ、こんなふうに奥多摩エリアをゆっくり見ることもなかったと思います。チャリの移動距離と登山の行動時間によってはかなりの運動量になりますので、その辺の計画はしっかり立てた方がいいかもしれません。

(山行日=2025年7月11日)

チャリ登グッズ

今回の装備は、川沿いということを考慮し、防虫素材「スコーロン」の長袖とサイクルパンツの7分丈をチョイス。前回はサイクル用のソックスでしたが、今回は七分丈のパンツの露出部分を隠せるようにダーンタフのハイソックスをチョイス。虫は少なかったものの、岩場も急登もあったので、この組み合わせで正解でした。そのほか、歩行時間も自転車の時間も長いので、フォックスファイヤーのキャップを。念のため、雨用にサイクル用ポンチョを持っていきました。

登山とサイクルウェアのいいとこ取りをしつつ、山の難易度や自転車の歩行距離などに合わせてチョイスするので、今までより道具選びの幅も広がり楽しみが増えた感じもします。今回はブロンプトンも泥だらけになってしまいましたのでしっかり掃除します。

自転車関連

ウェア・バックパック

関連リンク

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この記事に登場する山

東京都 / 関東山地

川苔山 標高 1,363m

 国土地理院の図中には川乗山と表示されているが、川苔山が正しい。  日原行きのバスを川乗橋で下車し、川苔川に沿って歩き、細倉橋から登山道に入る。川苔川を左右に渡り返して百尋ノ滝への分岐に出たら右に火打石谷に沿った登山道をたどる。百尋ノ滝は約40mほどの滝である。  川苔山へは登山道が火打石谷を渡る地点で二分する。左は火打石谷の源流に沿って曲ガ谷北峰との鞍部に達した後、また、右はウスバ尾根を登ってから頂上に登っていける。  山頂からは雲取山、天祖山、蕎麦粒山がよく見える。山頂から下った東の肩から舟井戸を経て大ダワ、大根ノ山ノ神を経て鳩ノ巣駅に下る。または曲ガ谷北峰へ登り、赤杭(あかぐな)尾根を下るコースもある。  奥多摩駅から川乗橋、百尋ノ滝から川苔山に達し、赤杭尾根から古里(こり)駅まで約6時間。

プロフィール

斉藤正史(さいとうまさふみ)

1973年、山形県新庄市出身。ロングトレイルハイカー。
2005年に、アパラチアン・トレイル(AT)を踏破。2012年にパシフィック・クレスト・トレイル(PCT)を踏破。2013年にコンチネンタル・ディバイド・トレイル(CDT)踏破し、ロングトレイルの「トリプルクラウン」を達成した。日本国内でロングトレイル文化の普及に努め、地元山形県にロングトレイルを整備するための活動も行なっている。

自転車 × 登山

自転車と登山を組み合わせると、クルマや公共交通機関とはひと味違った風景が見えてきます。自転車のサドルにまたがって、あの山めざしてペダルを踏めば、新しい楽しみに出合えます。

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