山岳遭難の背景には疲労による筋力や集中力の低下が関係している可能性 島崎三歩の「山岳通信」 第125号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2018年9月11日に配信された第125号では、7件の遭難事例について説明。運動不足・体力不足が原因の可能性が高い山岳遭難が多いことについて注意を促している。

 

9月11日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第125号では、8月27日~9月2日に起きた7件の山岳遭難事例について説明している。以下に抜粋・掲載する。

  • 8月27日、御嶽山で、68歳の女性が御嶽山から田の原へ向けて下山中に、王滝口登山道八合目付近で階段を踏み外して左足を骨折する山岳遭難が発生。消防により救助されたのちに病院に収容された。

  • 8月28日、八ヶ岳連峰蓼科山で、65歳の女性が山頂から下山中にバランスを崩し転倒、右足を負傷して行動不能となる山岳遭難が発生。佐久警察署員により救助された。

  • 8月28日、北アルプス餓鬼岳で、64歳の女性が白沢登山口に向けて下山中に滑落し、鎖骨骨折の重傷を負う山岳遭難が発生。大町警察署山岳救助隊により救助された。

  • 8月28日、八ヶ岳連峰横岳で、75歳の男性が横岳から赤岳に向けて縦走中に、三叉峰付近で足を滑らせ滑落し、左足を負傷する山岳遭難が発生。翌29日に茅野警察署員及び諏訪地区遭対協隊員により収容されたが、死亡が確認された。

  • 8月28日、北アルプス小蓮華山で、59歳の男性が白馬乗鞍岳から小蓮華山に向けて縦走中に疲労のため行動不能となる山岳遭難が発生。北アルプス北部地区遭対協により救助された。

  • 8月31日、北アルプス唐松岳で、67歳の女性が山頂に向けて登山中に疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。大町署山岳遭難救助隊などにより救助された。

  • 9月2日、北アルプス奥穂高岳で、55歳の男性が奥穂高岳から涸沢に向けて下山中、ザイテングラード付近でバランスを崩して転倒、足に重傷を負う山岳遭難が発生。県警ヘリにより救助された。

 

山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

8月5週は7件の山岳遭難が発生しました。転倒・滑落や疲労により行動不能となる遭難が後を絶ちません。滑落・転倒のほとんどは、下山時に発生しています。原因としては、バランスを崩したり、石につまずいたり、登山道上で足を滑らせたことによるもので、その背景には疲労による筋力や集中力の低下が関係していると思われます。日頃からトレーニングを継続して、長時間の行動に耐えることができる体力を養うとともに、登山計画は、遅くとも目的地に午後3時までには到着するように計画しましょう。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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