高山は冬山と同じ状況、冬山未経験者や初心者の入山は困難 島崎三歩の「山岳通信」 第133号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2018年11月2日に配信された第133号では、北アルプス周辺で起きている遭難事故が、積雪・気象状況の判断ミスや技量不足に起因する遭難であることに言及している。

 

11月2日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第133号では、10月23日~28日に起きた6件の山岳遭難事例について説明している。以下に抜粋・掲載する。

  • 10月23日、南アルプス荒川岳で、単独で荒川岳に登山するために入山した47歳の男性が行方不明となっていることが確認された。男性は10月19日に家族に南アルプス荒川岳に登山する旨を伝えて出掛けたままで、現在も警察で捜索している。

  • 10月23日、北アルプス奥穂高岳で、単独で入山した69歳の男性が白出のコルから涸沢に向けて下山中に転倒して肋骨骨折などの重症を負う山岳遭難が発生。県警ヘリで救助された。

  • 10月25日、木曽郡木曽町開田高原西野地籍の山林内で、単独で椎茸栽培用の原木を探すために入山した67歳の男性が、山中で道迷いのため下山できなくなる山岳遭難が発生。警察などによる捜索で無事発見された。

  • 10月27日、千曲市大字倉科地籍の山林内で、キノコ採りのために単独で入山した73歳の男性が帰宅しないとの届出があり、警察などで捜索。山中で男性を発見したものの死亡が確認された。男性は入山中に滑落した模様。

  • 10月27日、北アルプス槍ヶ岳で、19歳の男性が北鎌尾根を槍ヶ岳に向けて登山中に疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。翌28日に大町警察署山岳遭難救助隊、および北アルプス南部地区遭対協隊員により救助され、山小屋に収容された。

槍ヶ岳・北鎌尾根での山岳遭難の様子(長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)10月30日付)
  • 10月28日、恵那山で、68歳の男性が恵那山に向けて登山中に体調不良により倒れる山岳遭難が発生。静岡県防災ヘリで救助されたものの死亡が確認された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

10月4週は6件の遭難が発生し、2名の方が亡くなり、1名の方が行方不明となっています。また、6件中4件が単独登山中の遭難です。単独での登山は、万一の際に、救助要請をすることが出来ないこともあり、全ての判断を一人でしなければならないため、相応の知識・技術を伴います。なるべく単独登山は避けるとともに、単独登山を行う場合は、入念な準備と登山行程の詳細を家族や友人に必ず伝えるようにしてください。

北アルプス周辺では2週続けて、積雪、気象状況の判断ミスや技量不足に起因する遭難が発生しています。北アルプス等の高山は既に積雪があり、荒天時は吹雪となる等、冬山と同じ状況です。冬山未経験者や初心者の入山は控えてください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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