陣馬山の帰りで高尾駅解散なら――、「一言堂」でホッと一息(東京都八王子市)
きなこクリームをつかった人気ベーカリーや有機野菜の本格派カレー、山の帰りは誘惑がいっぱい。登山の帰りに味わいたい粋な料理を紹介する西野 淑子さんの「下山メシ」。今回は、高尾駅北口で解散したら立ち寄りたいほっこりカフェ「一言堂」をご紹介。
木のぬくもり感じる店内、ついつい長居をしてしまう
滋味が体にしみわたる野菜カレー。
その店は、JR中央線高尾駅北口改札を出た左側にある。
店を入ってすぐのスペースがベーカリー、その奥がカフェになっている。高尾駅北口で待ち合わせをしたりバスに乗ったりする場合は電車を下りてすぐベーカリーでパンを買い、山から下りてきて高尾駅北口で解散となる場合は、帰りの電車の時間を確認してカフェに入る。電車の時間は必ず確認しなくてはならない。居心地がよくてついつい長居をしてしまうからだ。
木のぬくもりが感じられる店内。とてもおしゃれなしつらえではあるのだが、山帰りに入るのをためらうような敷居の高さはない。誰かと一緒ならテーブル席で、ひとりなら外を眺められるカウンター席でのんびりと時間を過ごす。 たいがい山を下りてくるのは昼過ぎ、あるいは夕方なので、コーヒーやケーキを味わうことが多い。コーヒーを飲み、今日の山のことをぼんやりと考えながら電車が来るのを待つ。
このカレー、かわいいだけじゃない…!
有機栽培の野菜など素材にこだわったフードメニューも評判がいい。なかでも人気メニューは平日限定の野菜カレー。朝ご飯のセットメニューなどもあり、いつも心惹かれていたが、いつか食べたいと思っていたチャンスが、とうとう先日訪れた。思ったより早く下山でき、昼過ぎに高尾駅に到着した。他のフードメニューも美味しそうでちょっと悩んで、でもやっぱり初志貫徹と野菜カレーをオーダーした。
カレーの海にご飯が浮かび、ご飯を囲むように茹でた野菜が盛りつけられている。じゃがいも、いんげん、里芋、ニンジン…なんと彩りがよく美しい。たしかにこういうの、女子は好きかもしれない。ふんわりとカレーのいい匂いがしてニヤニヤしてしまう。盛りつけを崩すのがもったいないと思いつつ、いただきます。
カレーを口にすると、独特のスパイスの香りが広がる。やさしい味わいだけど、しっかりとカレーの辛さも感じられる。野菜はどれもその野菜の食感や風味が感じられる。里芋のほっくり感。いんげんのサックリ感、さつまいものやわらかな甘み。味わうほどに体に染み渡り、じわじわと体が温まってくる。見栄えがいい、かわいいだけじゃない、なかなかやるな、このカレー。
人気の「きなこクリームパン」は売り切れにご注意
食後にケーキもと思ったけど、さすがにお腹いっぱい。ケーキはまた今度のお楽しみに。
ちなみにベーカリーのパンのおすすめは、きなこクリームパン。きなこクリームをサンドしたパンなのだが、パンの風味と味わい、シャリシャリした食感のきなこクリームが絶妙な組み合わせ。駅から出ることなくホームに面した売店スペースで買うこともできるのだが、人気商品ゆえ遅い時間に訪れると売り切れていることが多く、なかなか食べられない一品。こんどはいつ食べられるだろうか。
今日のお店「一言堂(Ichigendo)」
東京都八王子市高尾町1201-2JR高尾駅北口改札横
Tel 042-669-4701
プロフィール
西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)
初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。
下山メシのよろこび
登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。