酷暑の丹沢で沢登り。バスを待つ間のちょいと一杯の幸せと、空腹を直撃する刺激的な一皿
夏山の楽しみのひとつが沢登り。丹沢・葛葉川本谷で清流と緑を満喫し、バス停すぐそばのレストハウスで一息。そこで出会ったのは空腹を直撃する刺激的な一皿だった。
写真・文=西野淑子
沢で涼をとったのも束の間。汗だくのツメと下山
とにかく暑い。そうだ、沢へ行こうと思い立った。
向かった先は丹沢、葛葉川本谷(くずはがわほんだに)。沢登りの入門コースとして知られる沢。遡行時間はそれほど長くなく、小滝が多く、適度に水量があり、詰め上がれば歩きやすい登山道に出られる、私にとっては「ちょうどよく楽しめる、好きな沢」のひとつだ。夏の丹沢はヤマビルが心配ではあるのだが、幸運なことにこの沢を楽しんでヒルにやられたことがほとんどない。清流に足を浸けながら歩き、わざと水を浴びながら小滝を登る。なんて気持ちいいんだろう、やっぱり夏は沢だな。
……と思ったのは沢の中にいたときだけだった。詰め上がり、登山道に出たところですでに暑く、汗だくになりながら三ノ塔尾根を下る。毎度のことながら長い下り道だ。心を無にして足を動かし続けた。
MAP&DATA
辛さとうまみが染みる焼きチーズカレー
大倉バス停に到着。きれいな公衆トイレで着替えてやっと落ち着いた。
大倉で登山を終了するときは、バスを待ちながらバス停前のレストハウス「Yama cafe丹沢」で一息つくのが定番コースだ。今回も迷わず店内に入る。ガラス張りで明るい店内、テーブル席とカウンターがある。今日はテーブル席に腰掛ける。まずはがんばった自分にごほうび。
「すみません、生ビールのレギュラーひとつ、焼き鳥もお願いします」
生ビールは大、中、レギュラーの3サイズ。今日は暑くてだいぶ消耗しているし、大を一気飲みしたら一気に酔いが回って行動不能になるかもしれないよ。ちょっと悩んで、今回はレギュラーにした(弱気か……)。
生ビールがすぐに出てきた。うれしいなあ。今日もおつかれさま、かんぱあい。
……ああ、染み渡る。やっぱり夏はビールですなぁ。レギュラーではやっぱり足りなかっただろうか。
ちょっと落ち着いたらお腹がすいてきた。以前山仲間と来たときにおでんを頼んだのだが、おいしくて余計にビールを飲んでしまったのを思い出す。今日はなにを食べようかな、おすすめは「焼きチーズカレー」だって。いいじゃないか。
「すみません、焼きチーズカレーお願いします」
料理を待ちながら、あらためてメニューを見る。 へえ、プロテインドリンクがあるよ。それにしてもお酒の種類が多いぞ。丹沢山塊の日本酒? 「丹沢馬鹿尾根」、この店限定のお酒もあるんだね。利き酒セットもあるのか! それは惹かれるな……。
待っているうちに焼き鳥到着。2本で150円、アルコール類をオーダーすると、2本で100円となる。塩とタレが選べるが、今回は塩にした。
焼き鳥を一口、ビールを一口。はぁぁ、おいしい。下山後にちょこっと飲むためのおつまみとして、この店の「焼き鳥2本」は絶妙な量だといつも思う。……ああ、ビールなくなっちゃうな、どうしようかな。
「お待たせしました、焼きチーズカレーです」
グラタン皿に盛りつけられた、アツアツのカレーとご飯をまず一口。ちょうどいい辛さとうまみ。これまた染み渡るわね。熱くてじわっと汗をかくけど、それが心地よい。続いてとろけるチーズのかかった部分を一口。やっぱりカレーとチーズって相性がいいよねえ……というか、この焼きチーズカレー、ビールにも合うよね。
「すみません、ビールください」
到着したビールを一口。ほらやっぱり、この辛さと濃さがビールに合わないわけがないんだよ。幸せな気持ちでカレーを食べ進め、ビールを飲む。
…はぁ、お腹いっぱい、ごちそうさまでした。
バス停の前に、居心地がよいすてきなお店があるのは安心で心強い。今まではバス待ちの時間にちょこっと立ち寄る感じだったけど、次に来るときはもう少しゆっくり、食べ物とお酒を楽しんでもいいよねえ。
Yama cafe 丹沢
大倉バス停の前に立つレストハウス。うどんやカレー、ピザなどの軽食のほか、デザート、ドリンクも豊富にそろう。アウトドアグッズなども販売。
| 住所 | 神奈川県秦野市堀山下1487-1 |
|---|---|
| TEL | 0463-71-6767 |
プロフィール
西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)
初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きから沢登り、雪山登山まで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。
下山メシのよろこび
登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。
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