南アルプスや富士五湖周辺・・・山梨の山に行くと「ほうとう」スイッチが入る

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下山後に味わいたい粋な料理を紹介するライター西野 淑子さんの「下山メシ」。15回目は、山梨の山に行った際に食べたい郷土料理「ほうとう」をご紹介する。

 

ほうとうに「はずれ」はない・・・気がする

下山後でも、観光でも、山梨に訪れたら食べたいと思うのが、ほうとう。

太く平たい、存在感たっぷりの麺と、かぼちゃ、いも、大根、人参、ねぎ、白菜などの野菜を、味噌ベースのつゆで煮込んだ、山梨県の郷土料理。もっちりとした麺は食べごたえがあり、野菜もたっぷり入っているので、なんとなく「健康的にお腹がいっぱいになった」気になるのが嬉しい。一人用の鉄鍋に、できたてアツアツの状態で供されるので、肌寒くなってきた秋から冬、そして春先に食べるのがいい。・・・とはいえ、真夏に汗をかきながらほうとうを食べるのも、実は嫌いではない。

南アルプス・仙丈ヶ岳にて


南アルプスや富士五湖周辺、奥秩父・・・、山梨の山に行くと「下山後はほうとうかなあ・・・」とスイッチが入る。幸いなことに、県内各地にほうとうが食べられる店はある。電車・バス利用なら駅前に、クルマ利用なら大通り沿いに。ほうとう専門店もあるし、和食を出すお店の多くは、ほうとうがメニューにある。そしてほうとうは「はずれ」がない。どの店のほうとうも美味しい・・・気がする。

(画像=ほしさんの登山記録「乾徳山」より)


昨秋、乾徳山登山の帰り、地元の方に勧めていただいた塩山駅前の小料理屋に立ち寄った。ビールで乾杯し、馬刺や刺身こんにゃくなどを味わい、締めはやっぱりほうとう。雨に降られ強風に煽られ、山頂には立てなかったけど、厳しくも楽しかった山行を振り返りながら味わうアツアツのほうとうが身体にも心にもしみた。

山中湖花の都公園のレストランで味わったほうとう

 

山梨はまもなく桃の花が見頃。お花見が楽しめる山はどこだろう

よく訪れるのが、山梨県内に店舗を構えるほうとう専門のチェーン店「小作」。

JR甲府駅前のお店が駅から近くて便利なのだ。また、河口湖の湖畔にもお店がある。一番人気のかぼちゃのほうとうをはじめ、豚肉ほうとうやら猪肉ほうとうやら、ほうとうだけでも10種類近くあるのが楽しい。季節限定のほうとうもある。ただ、たいがいオーダーするのはかぼちゃほうとうか豚肉ほうとう。山帰りでお腹を空かせているときは、冒険しなくていい。確実に、おいしいもので、お腹をいっぱいにしたいではないか。

「小作」はヤマケイオンラインユーザーにも人気
(画像=アブラムシさんの登山記録「白根三山縦走~初冬というかは晩秋~」より)


1人ずつの鉄鍋で供される、くつくつと煮えているほうとう。味噌のいい匂いが漂う。

ずっしりとした麺をまず一口。もちもちとして美味しい。甘みたっぷりのかぼちゃ、ホクホクのじゃがいもや里芋、たっぷりとつゆを吸ってくたくたに煮えている白菜やねぎ。まろやかな味噌仕立てのつゆとの相性が申し分ない。体が温まってじわりと汗をかく。

鍋は思ったより大きく、熱さのせいもあって食べても食べてもなかなかなくならない。しかし具の多くは野菜なので、食べ終わるといい感じにお腹がふくれていることに気付く。体がぽかぽかに温まって満腹、なんて幸せ。電車に乗ったらすぐに爆睡できそうだ。

・・・ほうとうのことを書いていたら、無性に食べたくなってしまった。

近いうちに行かなくては。山梨はまもなく桃の花が見頃だろう。お花見が楽しめる山はどこだろう。

(画像=KHKN さんの登山記録「桃の花見ハイキング」より)

 

プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

下山メシのよろこび

登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。

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