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期間限定! 大雪高原温泉沼めぐりから、ヒグマが出没する前だけ通れる三笠新道を使って高根ヶ原・緑岳へ

今がいい山、棚からひとつかみ
ガイド・記録 2019年06月14日

春の訪れの遅い北海道・大雪山系でも、6月に入れば雪融けが進み、入山できるようになる場所も増えてくる。例年、6月10日頃から入山できるようになる大雪高原温泉からは、大雪高原温泉沼めぐりコースを経て、ヒグマの出没しない、この時期限定で三笠新道へと進むことができる。

三笠新道の最後の急斜面。右側が高根ヶ原、左が高原沼群(写真=谷水 亨)


北海道・大雪高原温泉まで延びる町道、高原温泉線は6月10日に開通予定で、開通後は高原温泉まで車で行くことができるようになります。高原温泉から入山する大雪高原温泉沼めぐりコースは、秋の紅葉が綺麗な場所として知られていますが、開通して間もないこの時期も見逃せません。

高原沼巡りの残雪時期の風景が楽しめるうえに、大雪山の中でも高山植物が豊富な場所として知られる高根ヶ原に通じる「三笠新道」が利用できるからです。そこで、高根ヶ原に6月下旬から開花する春の花を求めて、この三笠新道を歩くコースを紹介します。

大雪高原温泉沼めぐりコースと高根ヶ原という2つの名所を結ぶ三笠新道は、クマが頻繁に出没するため、1年のほとんどが通行禁止になってしまいます。町道高原温泉線開通から三笠新道に残雪が残る一ヶ月半あまりが安定して通行が出来るため、季節限定のルートとなります。

大雪高原温泉沼、滝見沼の湖面に浮かぶ残雪(写真=谷水 亨)


ただし、このルートは広大な雪田の中を歩くため、悪天候・地図読みには十分注意が必要で、十分な経験とスキルが必要になります。

 

モデルコース:大雪高原温泉から三笠新道、緑岳へ

コース行程
大雪高原温泉・・・大雪高原温泉沼めぐりコース・・・三笠新道・・・高根ヶ原・・・白雲岳避難小屋・・・板垣新道・・・緑岳(松浦岳)・・・大雪高原温泉(約8時間)

⇒コースタイム付き地図を見る

 

期間限定! クマ情報のレクチャーを受け三笠新道へ

2017年6月30日、ヒグマ情報センターで登山届と最新のクマ情報のレクチャーを受け高原沼めぐりから歩き出しました。

沼めぐりコースの樹林帯の登山道は雪解け水で悪路と化してますが、周りには水芭蕉やエゾノリュウキンカが咲いており、新緑と併せて心が癒やされます。また所々に残雪もあり、その上を歩くのはとても快適で、すがすがしい気分になりました。滝見沼や緑沼では沼に残る残雪が湖面に映し出され、とても綺麗です。秋の紅葉時期とは違った風景を楽しむことが出来ました。

式部沼・大学沼・高原沼は完全に雪に埋まっており、ここから伸びる三笠新道は広大な雪田地帯となっているためルートを直線的に進みます。高根ヶ原尾根の取り付きは標高差180mほど、急斜面となるため、気温によってはアイゼンが必要になることもあります。

広大な雪田が広がる三笠新道(写真=谷水 亨)


やがて高根ヶ原へと登り詰めると、そこは大地一面にお花畑が広がります。ホソバウルップソウ、メアカンキンバイ、ミヤマキンバイ、エゾオヤマノエンドウ、キバナシャクナゲ、ジンヨウキスミレなどが登山道沿いにびっしりと咲いていました。

左/高根ヶ原から望むチングルマと東大雪の山々、右/高根ヶ原に咲くホソバウルップソウ(写真=谷水 亨)


後ろを振り返るとお花の向こうには大雪山縦走路とトムラウシ山が見えています。高山植物を写真に収めながら進むと前方には白雲岳、左前方には旭岳が見えました。やがて白雲岳避難小屋にたどり着きます。小屋は、1階の出入り口が堅く閉ざされており非常用の2階の出入り口からの利用でした。

ここから小泉岳と緑岳を結ぶ稜線に向かって、雪に埋めれている板垣新道を進みます。稜線から緑岳までは雪はなくミヤマキンバイの群生とエゾオヤマエンドウの群生が綺麗でした。緑岳の下りもエイコの沢まで夏道を快適に下ります。

緑岳から望むミヤマキンバイと白雲岳(写真=谷水 亨)


しかしここから第1花園までの約1.2kmは、広大な雪田地帯が続きます。悪天候時や地図とコンパスがなければ下る方向を失ってしまいそうですが、今回は目印の竹竿が50m~100mおきに立っていましたので、安心して辿りながら歩きました。

大雪田が広がる緑岳第2花園。目印の竹竿が50m~100mおきに立っていました(写真=谷水 亨)


コースの終盤、緑岳の樹林帯には、キバナノコマノツメ、ミヤマスミレ、タイセツヒナオトギリなどが咲いており、このコースの最後を飾ってくれました。

※大雪高原温泉沼めぐりコースはヒグマの生息地のため、入山するにはヒグマ情報センター内で最新のヒグマの観察状況や利用のルールに関するレクチャーを受ける必要があります。

 

教えてくれた人

谷水 亨

北海道富良野市生まれの富良野育ち。サラリーマン生活の傍ら、登山ガイド・海外添乗員・列車運転士等の資格を持つ異色の登山家。

子育てが終わった頃から休暇の大半を利用して春夏秋冬を問わず北海道の山々を年間50座ほど登って楽しんでいる。

最近は、近場の日高山脈を楽しむ他、大雪山国立公園パークボランティアに所属し公園内の自然保護活動にも活動の範囲を広げている。

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