積雪を考慮した余裕のある登山計画を心掛けましょう 島崎三歩の「山岳通信」 第172号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2019年12月16日に配信された第172号では、県内の山では降雪が観測されて冬山登山となっている山が日毎に増えていることに言及、余裕を持った計画を立てることを促している。

 

12月16日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第172号では、11月21日~12月6日に起きた3件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 11月21日、中央アルプス仙涯嶺で、43歳と42歳の男性人は下山時に登山道から外れて沢を下降中、行動不能となる山岳遭難が発生。遭難者2名は県警ヘリで救助された。

中央アルプス仙涯嶺での遭難現場の様子/長野県警察本部ホームページ山岳遭難発生状況(週報)11月26日付

  • 11月22日、八ヶ岳連峰天狗岳で、家族と2人で入山した60歳の女性が、下山中に足を滑らせて転倒、負傷する山岳遭難が発生。女性は諏訪広域消防本部により救助された。

  • 12月6日、川上村川端下地籍・廻目平付近で、仲間とロッククライミングのために入山した46歳の女性が、ロッククライミング中に転落して負傷する山岳遭難が発生。女性は佐久広域消防により救助された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

11月21日発生した中央アルプス仙涯嶺における道迷い遭難は、当初の予定のコースを踏破するのに計画よりも時間がかかったため、途中から登山道ではない沢を下降したことにより、道に迷い行動不能となったものです。この遭難の直接の原因は下降に沢を選択したことにありますが、そのような選択をせざるを得なくなった背景には、余裕のない登山計画があります。

12月6日には廻目平でクライミング中の転落遭難が発生しました。同様の遭難はこれで10月から4件発生しています。いずれも下肢や体幹部の骨折を伴う重傷遭難です。屋外の岩場でクライミングを行うには、安全が管理された屋内のクライミングジムとは異なり、単純な「登る」以外の様々なスキルが要求されます。

県内は北アルプスなどの高山だけでなく、標高約1000メートル付近でも広範囲に渡り降雪が観測されました。今後、年末に向けて各山域でさらに積雪が増える可能性があります。積雪は冬山登山において行動時間に大きく影響します。計画段階から、積雪を考慮した余裕のある日程と積雪に対応できる装備品の携行を心がけましょう。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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