記録的な暖冬・少雪でも雪崩のリスクは同様に対処を! 島崎三歩の「山岳通信」 第181号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2020年3月5日に配信された第181号では、雪崩に巻き込まれての遭難事故の事例について挙げ、少雪のシーズンでも雪崩に対する注意を十分に行うように呼びかけている。

 

3月5日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第181号では、2月26日~29日に起きた4件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 2月26日、中央アルプス空木岳で、単独で入山した32歳の男性が、2月24日から1泊2日の予定で空木岳へ登山に向かったものの、下山予定だった25日になっても連絡が取れず、駒ヶ根警察署山岳遭難救助隊と中央アルプス地区山岳遭難防止対策協会救助隊が捜索。27日に県警ヘリで遭難者の男性を発見して収容したものの、死亡が確認された。

  • 2月26日、北アルプス霞沢岳で、単独で入山した39歳の女性が、登山中にスリップして滑落・負傷、行動不能となる山岳遭難が発生。女性は県警山岳遭難救助隊により救助された。

  • 2月28日、北アルプス栂池高原で、仲間と2人で入山した43歳の男性が、栂池高原天狗原付近をスノーボードで滑走中に雪崩に巻き込まれる山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

栂池高原・天狗原付近の雪崩遭難現場/長野県警察本部ホームページ山岳遭難発生状況(週報)3月2日付

  • 2月29日、北アルプスのフスブリ山で、仲間と9人とバックカントリースキーのため入山した30歳の男性が、体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

2月5週は4件の遭難が発生しました。28日に発生した栂池高原の雪崩遭難はスノーボードで滑走中に、雪崩に巻き込まれたものです。発生当初、遭難者は雪崩に埋没し、同行者や他のパーティの懸命な捜索により発見されました。
この遭難を含め今シーズン、県内では、バックカントリー中の雪崩遭難が3件(死者1名、負傷者2名)発生しています。
記録的な少雪と言われていますが、標高の高い山域では断続的にまとまった降雪が観測されており、今後も入山する際は、雪崩などに十分な注意が必要です。入山に際しては、ビーコン、スコップ、プローブ、雪崩エアバックなどの装備品の携行はもちろんのこと、いざという時に適切に取り出し、使いこなせるよう、行動前、行動中の動作確認を行いましょう。
また、滑走前に積雪状況を注意深く観察し、慎重な行動を心掛けましょう。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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