春の息吹を求めてカタクリ群落地へ。栃木県・古賀志山

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3月下旬はカタクリの季節。岩場があり、クライマーにも人気の栃木県・古賀志山は、花の山という可憐な一面も。お花畑と岩場の難ルートを歩くコースです。

 

開花し始めた中尾根のカタクリの群落。1週間後には一面を埋め尽くす開花が見られるだろう(写真=奥谷 晶)

 

栃木県・古賀志山は低山ながら厳しい岩稜や断崖を持つ山で、岩場を登下降するバリエーションルートが多く人気の山ですが、実は植生豊かな花の山でもあります。

3月下旬からカタクリが開花する群生地も秘かに知られています。同じく栃木県にあり、カタクリの大規模群落で有名な三毳(みかも)山から少し遅れて満開となります。比較的訪れる人が少なく静かな花散策を楽しめます。今回はバリエーションルートを含む難ルート紹介します。

 

モデルコース:森林公園駐車場~中尾根~クマ尾根~西尾根~古賀志山~東稜~森林公園駐車場

コースタイム:
【日帰り】約6時間 ※北登山道下山の場合は約5時間

 

カタクリのお花畑がある難ルートへ

2017年4月4日、晴れ。三毳山のカタクリが満開だという情報を得て、古賀志山の群落もそろそろかと、かなり期待して古賀志山に向かいます。森林公園駐車場から赤川ダム沿いに北登山道の入り口を左手に見て、そのまま道沿いに直進し、東屋の手前から左手の斜面の踏み跡から中尾根に向かいます。しばらく登ると尾根に出る手前の斜面に通称「お花畑」と呼ばれるカタクリの群生地があります。

 

花弁を反り返らせて春の妖精が踊るようなカタクリの立ち姿(写真=奥谷 晶)

 

週末まで気温が低い数日が続いたせいか、やはり開花は遅れているようです。二分から三分咲き程度でしょうか。それでも、春の妖精が踊る様に花弁を大きく広げたカタクリの花はみずみずしく、陽光を求めて勢いよく咲き出していました。

 

標高582mの古賀志山山頂。樹林にさえぎられて眺望はあまりないが、昼時には休憩スペースが賑わっている(写真=奥谷 晶)

 

この日は、中尾根からは、バリエーションルートの探索の目的で、クマ尾根を下降し、西尾根を登り返して御嶽山と古賀志山頂上を経て東稜見晴から東稜のクサリ場を下降して下山しました。クマ尾根は踏み跡も薄く、クサリやロープがない岩の急斜面を下降しなければならないところが数ヶ所出てきます。東稜も垂直に近い岩場で連続してクサリ場の下降が続きます。

 

東稜の岩場。斜度は強いが、ここはクサリが整備されている(写真=奥谷 晶)

 

岩場に慣れていない方は、富士見峠から古賀志山山頂をピストンして北登山道を経て森林公園に戻る正規の登山ルートがおすすめです。

古賀志山のバリエーションルートは派生したトレースが多数あり、ルートファインディング能力、岩場を登下降する技術、そして慎重な行動が要求されます。よく読図講習会が開かれる所でもあります。岩場に不慣れな登山初心者、初級者だけでバリエーションルートには入らないように注意してください。

なお、今年は暖冬のためカタクリの開花も早まる見込みです。

プロフィール

奥谷晶

30代から40代にかけてアルパイン中心の社会人山岳会で本格的登山を学び、山と溪谷社などの山岳ガイドブックの装丁や地図製作にたずさわるとともに、しばらく遠ざかっていた本格的登山を60代から再開。青春時代に残した課題、剱岳源次郎尾根登攀・長治郎谷下降など広い分野で主にソロでの登山活動を続けている。2013年から2019年、週刊ヤマケイの表紙写真などを担当。2019年日本山岳写真協会公募展入選。現在、日本山岳写真協会会員。

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