行程・コース
天候
1日目:曇り時々晴れ 2日目:快晴のちガス
利用した登山口
登山口へのアクセス
バス
その他:
新宿22:55発、飛騨高山行きの夜行バスで平湯温泉に3:25に到着
平湯温泉を朝5時の始発の上高地行きバスで中の湯(釜トンネル入口)
この登山記録の行程
【1日目】
中ノ湯(05:11)・・・中の湯温泉旅館(05:49)・・・焼岳登山口(06:02)・・・中の湯新道分岐(07:16)・・・焼岳北峰(08:34)[休憩 15分]・・・中尾峠(09:28)・・・焼岳小屋(09:44)[休憩 10分]・・・池(11:20)・・・上高地・焼岳分岐(12:37)・・・西穂山荘(12:51)
【2日目】
西穂山荘(04:38)・・・西穂独標(05:38)[休憩 17分]・・・西穂高岳(07:02)[休憩 28分]・・・西穂独標(08:50)[休憩 12分]・・・西穂山荘(09:52)[休憩 31分]・・・上高地・焼岳分岐(10:31)・・・西穂登山口(12:02)[休憩 93分]・・・田代橋(13:36)・・・上高地バスターミナル(14:00)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
ようやく夏空が期待できそうで、順延してきた焼岳〜西穂高岳縦走に出かけてきた。今回はいつも上高地から仰いでいた焼岳と、穂高で最後まで残った西穂高岳に登り、北アルプス南部の稜線をつないできた。で、密かに、西穂高岳の頂上に立った時に奥穂高岳までつなぐ自信が胸中に浮かぶかいなかを見極めようと思っていた。
<中の湯温泉から焼岳へ>
活火山である焼岳は穂高連峰と稜線で結ばれているが、穂高の岩稜とは様相が全く異なる。ヤマケイオンラインの地図では、中の湯温泉から二筋コースがある表記となっているが、昭文社の2015年版「槍ヶ岳・穂高岳」には「新中の湯コース」しか記載がなく、「中の湯コース」は廃道扱いなので注意。飛騨高山行きの夜行バスで平湯温泉に未明に到着、朝5時の始発の上高地行きバスで中の湯(釜トンネル入口)まで向かい、中の湯温泉旅館まで九十九折りの車道を登る。
トリッキーだったのは、「新中の湯コース」の起点が中の湯温泉旅館の軒先であること。道路には目立つ表記もなく、旅館の敷地に入ってもいいものか従業員さんに道を尋ねてようやく登山道を進む。夜行バス利用による睡眠不足か、湿った暖かい大気のためかペースがなかなか上がらない。時に身長ほどの笹やダケカンバ、ナナカマドなどの樹林の急登を終えて広場に出ると、焼岳の姿が広がり、ようやくテンションが上がる。硫黄臭い水蒸気が上がる頂上を目指していけばガスが切れ、火口や周囲の全貌がちょうど見渡せた。だが笠ヶ岳や穂高などの名峰は頂稜部が隠れてしまっている。焼岳山頂も、再びガスに覆われて行く。
<忍耐の道 焼岳小屋ー西穂高山荘>
今回のコースで最も厄介だったのは、意外にも焼岳小屋から西穂山荘に至る泥濘の区間だった。前日の雨のためもあるのだろうが、深いぬかるみ、濡れて滑り易いのたくる木の根に苔むした岩、えぐれて滑り台のようになった粘土、流れてしまった路肩、着実に体力を削るアップダウン、わずかに展望が得られるはずの場所でも今回はガスで肝心の頂稜部が見えず、意気が上がらないこと甚だしい。別に難しいことや危険な箇所があるわけではないのだが、常に足元に気を配らなければならないので、せっかくの周囲の豊かな樹林帯(ちょっと奥秩父の標高の高いところを思わせる)を楽しむ余裕もすり減らされてしまう。精神的にも体力的にも忍耐を強いられる「いやらしい」道だというのが感想だ。わずかにすれ違った人たちが、異口同音に「ああ、やっと人に会えた」と嬉しそうにホッとした表情を見せるのも納得だ。
ようやくの思いで到着した西穂山荘で、有名な西穂ラーメンをいただく。夏山シーズン到来とはいえ平日のためか、布団は一人一枚。美味しいご飯をたくさんいただいて、明日に備える。夕食時には有名な粟沢支配人の天気解説を聞く。朝方は晴れるが、台風5号から流れ込む湿った空気の影響で午後から崩れ雷雨にも注意とのこと。朝食は5時半からだが、弁当に変更して薄暗いうちから出発することを決める。この山荘は新穂高ロープウェイから登ってきたであろう小さなお子さん連れ家族や、奥穂までの最難関コースに挑む上級者まで様々な方々が集っていて面白い。
<快晴の西穂高岳へ>
翌早朝は快晴。しかし、天候は下り坂なので早々に行動するのが肝要。予定を前倒しして4時半過ぎに出発。なお、西穂山荘を起点に西穂高岳を往復する場合は、屋外の棚を使えるので不要な荷物をデポして軽量化できるので、ぜひ活用したい。丸山までは岩混じりの土の道、独標手前からガレ、さらには険しい岩稜と登るにつれて様相が大きく変わっていく。独標で弁当を半分だけ食べて展望を楽しむが、独標から先の西穂高岳への稜線は容易ならざる雰囲気で、「本当に行けるのかな」と少々怖気付いてしまった。前日に泥だらけのコースを歩いたためか岩稜で靴底のグリップが得られずひやりとしたこと、今期初の本格的岩稜であること、ロープやハーネスを装備した物々しいパーティーが周囲にいたことや、この先には西穂ー奥穂の区間が控えているとの意識などが緊張を高めたのかもしれない。山のグレーディングでE難度のコース(本コースはD難度)も何度か歩いてきたのに、自分のビビリようを怪しく思った。ともあれせっかくここまできたのだし、ヘルメットを着用して気を取り直して西穂高岳山頂を目指して進む。
切り立った痩せ尾根のアップダウンを繰り返して、午前7時に西穂高岳に登頂。振り返ってみると独標(11峰)ーピラミッドピーク(8峰)間が核心部で、西穂高岳山頂直下の手がかりが少ない一枚岩が緊張する箇所だろうか。独標から眺めた時には少々怖気付いたが、着実に行けばなんとかなるといういつもの感想。山頂に立つと、奥穂高岳に至る険悪なナイフエッジが続き、吊尾根を経て前穂高岳、遠方に槍ヶ岳などの大展望が広がり、十分に報われる。まだ7時過ぎだというのに、早くもガスが上がってくる。帰りはコースを忠実に戻るが、やはり独標までは気が抜けない。
西穂山荘でアイスクリームを食べて大休止を取った後、上高地に下る。土の道でぬかるみもあるが、木道などが設けられ歩くやすくなっている。上高地温泉までは西穂高登山口から数分なので、上高地温泉ホテルで一風呂(800円)浴びてから帰りのバスに乗り込む。
ルート定数63.4、長野県山のグレーディングD。
フォトギャラリー:48枚
今回、一番ルートファインディングで苦労した(?)中の湯温泉旅館脇の登山口
広場から望む霧けぶる焼岳
登り進めるとガスが切れ始め、噴煙をあげる焼岳北峰が見え始めた
硫黄臭い水蒸気をあげる焼岳北峰
焼岳から上高地方面。明神岳がわずかに雲間から見えている
北峰から火口湖と南峰を望む
これから進む焼岳小屋の緑色の屋根が鞍部に見える
焼岳方向に振り返る 鮮やかな緑のカーペット
素朴なつくりの焼岳小屋
泥濘とのたくる木の根、滑る岩に難儀しながら黙々と進む
池
西穂山荘にようやく到着
二日目はガスも切れて快晴!再びガスがかかる前に出発
丸山から昨日は全く見えなかった飛騨の名峰、笠ヶ岳
焼岳、奥に乗鞍岳
イワツメクサにリンドウ
抜戸岳の向こうは黒部五郎岳だろうか
遠く南アルプスや富士山も見えている
独標への登り。この辺りから岩稜歩きに大きく様相が変わる。顕著なピークはピラミッドピーク
独標(11峰)から笠ヶ岳ー抜戸岳
これから進む西穂高岳への稜線
独標(11峰)からピラミッドピーク(8峰)間は、険しい難路で本コースの核心部だと感じた
ピラミッドピーク(8峰)から西穂高岳(1峰)間も険しい岩稜のアップダウンの連続。ただし、山頂直下を除けば高度感や難易度は下がる。
越えてきたピーク群を振り返る。西穂山荘の赤い屋根、焼岳、はるかに乗鞍岳
西穂頂上から奥穂高への険しい稜線。左端に槍ヶ岳
奥穂高への道筋を少しだけ歩いてみた。いい記念になるかも・・・あるいはこれより先には足を踏み入れない言い訳?
奥穂高から前穂高への吊尾根
絶景を楽しんでから下にかかる。頂上直下も鎖が欲しい注意を要する箇所がある。ロープを出して登るパーティー
4峰(チャンピオンピーク)とそれに連なるピーク群
ピラミッドピークから西穂高、奥穂高方向を振り返る
早くもガスが湧き始め、穂高の峰々を隠す。予定を前倒しして正解
右から台形状の独標、ピラミッドピーク、左端が西穂高岳
夏雲覆われる焼岳
西穂山荘まで戻って大休止。暑くてとにかく喉が乾く
今日は大正池もよく見える
西穂山荘から上高地への道も泥だが、木道なども整備され歩き易い
西穂登山口に到着。上高地温泉で汗を流す
上高地からいつも眺めていた焼岳、今回ようやく登れた




