行程・コース
天候
1日目:快晴、2日目:晴れ
利用した登山口
登山口へのアクセス
バス
その他:
(行き)東京より上高地BTまで「さわやか信州号」5:20着
(帰り)上高地BTから新宿まで「さわやか信州号」
この登山記録の行程
【1日目】歩行7時間20分
上高地バスターミナル(05:40)・・・河童橋(05:45)・・・明神(06:28)・・・徳沢[休憩 21分](07:11)・・・横尾[休憩 20分](08:23)・・・槍見台(09:08)・・・横尾分岐[休憩 10分](11:52)・・・蝶ヶ岳三角点[休憩 20分](12:20)・・・横尾分岐(12:54)・・・蝶ヶ岳(13:09)
【2日目】歩行3時間42分
蝶ヶ岳(06:40)・・・妖精ノ池・・・長塀山(07:37)・・・2000mの平・・・徳沢[休憩 20分](09:19)・・・明神(10:22)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
GWの谷間、高気圧がはり出すタイミングを狙って蝶ヶ岳に登ってきた。日程をずらしたことでこの時期にしては人も少なく、槍穂高連峰の雪景色を満喫した。
当初は4月29日に出発する予定だったのだが、天気図を睨んでもどうにも自信が持てず、順延。狙いは当たって快晴・微風という登山日和を引き当てることができた。連休の谷間になったことで、登山道も山小屋も空いていて静かで快適な登山を楽しめた。下山日の5月3日は大勢の方が登ってきていたから、1日でもずらすことができれば効能は大きい。帰りのバスも、下りの渋滞を尻目にスイスイ。逆に言えば、祝日をたくさん作ってみんなで一斉に休むよりも、きちんと有給休暇取得すればいいと、海外駐在が長かった出戻り登山者は強く思うのだ。
上高地バスターミナルから横尾までは除雪がされていて、所々わずかに雪が残っている程度。横尾から先は雪道となっている。今回は横尾から蝶ヶ岳に直登するため、ここでスパッツと12本爪アイゼンを装着した。雪面にはトレースがあり、木々にも所々マーク、あるいはテープがあるので、まずコースを外すことはないだろう。しばらく本格的な登山をしていなかったせいもあろうが、樹林帯の3時間あまりの急登はきつく、逆ハの字歩行を心がけないとふくらはぎがパンパンになる。標高2500mくらいで傾斜もようやく緩み、稜線に飛び出すと残雪をまとった槍穂高連峰がどーんと広がる。雪が少なかった昨年と比較して、今年は多め。
少々悩ましかったのは、装備の選択とアイゼン着脱のタイミングだ。今回は好天が期待できたので、手袋は通常の防風性のあるものと念のためにウールのものを持参した。結果的には防風性のある薄手で十分だった。ピッケルも悩んだが、残雪期に登るのは初めての山域だし雪面の状況もわからないので、これも念のため持参したのだが、結局出番なし。しかし、状況が悪くなった時に装備不足では進退極まってしまうので、必要なコストだと考える。
アイゼンは12本爪とチェーンスパイクを用意した。横尾からの登りはすぐに雪の急登なので出だしからアイゼンを装着。稜線に出ると風で雪が飛ばされていてほぼ夏道なので、アイゼンを外した。下りの長塀尾根も出だしから急斜面で雪もたっぷりついているので、こちらも迷わず最初から装着。問題は、標高がかなり下がったところで雪が所々なくなり始めた箇所だ。木の根をアイゼンで踏みつけるのは避けたいし、かといってしばらく下るとまた雪が現れる。標高が下がってきているので、一度溶けた雪が再び凍っていたりして、むしろアイゼンが欲しくなる場面でもある。今回は、途中でチェーンスパイクに換装したが、程なくして完全に夏道になった。
ルート定数50.1
さて下山した翌朝のことをひとくさり。あれだけ森の香気を吸い、急登に喘ぎ、絶景に感嘆の声を漏らし、冷たい雪に触れ、清流に疲れた顔を洗ったのに・・・。こうしていつもの自分の部屋で目をさますと、もうなんだか手のひらに落ちた淡雪のように、頼りない印象しか残っていない。
吉野弘の「雪の日に」と題された詩があるのだが、こんな感じのものだった。
誰もが信じる雪の白さ、信じられている雪はせつない。けれどどこに純白の雪などあろう。だから、雪は降り続けるのだという。
ならば、私も登り続けるしかないのだろうか。
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