県内は引き続き登山自粛、この機会に登山知識の向上を 島崎三歩の「山岳通信」第187号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2020年5月14日に配信された187号では、県内は引き続き登山自粛となっているため、入山を控えるように呼びかけている。

 

5月14日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第187号では、5月3日~9日に起きた3件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 5月3日、下伊那郡天龍村の八嶽山で、5月2日から単独で入山していた71歳の男性が、下山中に道に迷い行動ができなくなる山岳遭難が発生。男性は3日に県警ヘリで救助された。

下伊那郡天龍村・八嶽山の遭難現場/長野県警察本部ホームページ山岳遭難発生状況(週報)5月8日付

  • 5月7日、北アルプス長塀山で、男性(年齢不明)が何らかの原因で行動不能となっているのが発見され、死亡が確認された。

  • 5月9日、北アルプス焼岳で、単独で入山した58歳の男性が、下山中に道に迷い行動がで きなくなる山岳遭難が発生。男性は県警ヘリで救助された。

北アルプス焼岳の遭難現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)5月11日付..

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

大型連休後半には、県内で1件の山岳遭難が発生しました。引き続き長野県では、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から「登山の自粛」を呼びかけています。入山者が少なく、日帰りができる山域で、単独登山をお考えの方もいるかと思います。しかし、入山者が少ないルートでは、踏み跡が不明瞭であったり、県内は春から夏にかけて、雪が残る場合があります。
また単独登山は、万が一トラブルがあった際には、一人で判断や対応を行わなければならないリスクがあります。今一度、ご自身の行動が正しいのか否かを考えた行動をお願いします。

春の山菜採りシーズンとなりましたが、「近くの山だから」といって決して甘く見てはいけません。過去には「山菜採りに夢中になり過ぎて、道に迷ってしまった」「急な斜面に無理をして入り、滑落してしまった」などの遭難が発生しています。入山する際には、

  • 1. 家族や友人に行き先を告げる 
  • 2. 携帯電話や非常食、ヘッドライトを持つ 
  • 3. 急斜面などの危険な箇所に近づかない 
  • 4. 一人での入山は避ける 
  • 5. 鈴やラジオで野生動物を避ける 

以上5点に注意しましょう。

大型連休後は、県内で2件の山岳遭難が発生し、いずれも単独登山と思われます。引き続き長野県では、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から「登山の自粛」を呼びかけています。日帰りができる山域で、入山者が少ない山への、単独登山をお考えの方もいるかと思いますが、今一度、単独登山のリスクを考えてみましょう。

さて、「登山自粛」の中ではありますが、自宅などで登山知識の向上に努めてみませんか。皆さんは、紙の地図とコンパスを使いこなせる自信はありますか。最近は地図アプリやGPSなどが普及し、手軽に自分の現在地や行動軌跡を確認することができ、とても便利になりました。
しかし、スマートフォンなどはバッテリーの残量を気にしたり、雨や落下による故障、あるいはGPS信号をうまく受信できないこともあります。紙の地図とコンパスは、そのような心配はありませんが、苦手意識をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
周囲の景色や地図から地形を読み、コンパスを使う「読図」は練習と慣れが必要ですが、「読図」ができるようになると、分岐点などを特に注意するようになり、道迷い遭難のリスクが減るばかりか、周囲の景色の見え方も変わり、登山がより楽しいものになるはずです。
皆さんも、今だからできる登山知識のステップアップを始め、「読図」の習得に挑戦してみましょう。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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