霧ヶ峰でニッコウキスゲを愛で、下諏訪温泉ぎん月で信州の夏の味覚を味わいつくす

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ひとり気ままに山と温泉を楽しむ温泉登山。登山前後に泊まりたい至福の温泉宿を紹介します。第6回はニッコウキスゲ咲く霧ヶ峰と下諏訪温泉へ。

写真・文=月山もも

長野県の霧ヶ峰は、中央線の茅野駅・上諏訪駅からバスが運行していて交通の便が良いことから、首都圏からも日帰りで気軽に足を運べる山です。

バス停のある「車山肩」からまずは最高峰の「車山」に登り、それから「蝶々深山」「八島湿原」などを時間の許す限り歩いて、なだらかに広がる稜線や咲き乱れる高山植物を眺めて楽しみます。

車山の山頂は広く、気象レーダー観測所が設置されています。観測所の屋根に設置された丸いドームは遠くからもよく見え、丸いドームがだんだん大きくなってくると「霧ヶ峰に今年も来れてよかった!」という気持ちが盛り上がってきます。

登山道もよく整備されていて歩きやすく、どの季節に来ても楽しい山ですが、やはり一番はニッコウキスゲが黄色い絨毯のように咲き乱れる7月ではないでしょうか。

この日も周回コースを歩いて車山肩に戻ってくると、バスを待つ間ニッコウキスゲのお花畑を眺めて過ごしました。お花畑まではバス停からそれほど歩かずにたどり着くことができるため、登山をしない人にとっても楽しみの多い、懐の広い山だなといつも思います。

下山後はバスを上諏訪駅で降り、電車で隣の下諏訪駅へ。甲州街道と中山道が分岐する宿場町として古くから栄えた下諏訪は、そこかしこに歴史の面影が残る街です。本日宿泊する下諏訪温泉「ぎん月」さんは下諏訪駅から徒歩10分ほどのところにある、かつては料理割烹だったという、料理が自慢の温泉宿。

案内していただいたお部屋は最上階にあり、縁側が広くて日当たりがよく、部屋の中に外の涼しい風が入ってきました。お風呂からあがったら縁側でビールを飲もう!と心に決めて浴室へ向かうことにします。

ぎん月には内湯と露天風呂があり、いずれも1階にあるものの脱衣所は別々なため、1度服を着てから移動することになります。露天風呂には洗い場がないので、まずは内湯へ。

石造りの清潔な浴室で、シャンプーやコンディショナーなどのアメニティもしっかり揃っていました。体を洗ってから浴槽に身を沈め、きりっと熱めの下諏訪温泉のお湯で体を温めます。

そのあとは中庭にある露天風呂へ向かうことに。浴槽は小さめですが、幸いにも独り占めして入ることができました。すだれ越しに見える木々の緑が湯面に映るのも美しく、爽やかな風を感じながらかけ流しのお湯をのんびりと楽しみ、山を歩いた疲れもすっかりほぐれたようです。

露天風呂は、夕食後の20時から23時までの時間帯は、空いていれば別料金ですが貸切で利用することができます。

部屋に戻った後は、縁側のテーブルで缶ビールを。風呂上がりに、外の風を感じながら縁側で飲むビール、最高すぎました。

諏訪大社下社秋宮がすぐ近くにあるので、窓を開けていると太鼓の音が聞こえてきます。ビールを飲んだら諏訪大社に散歩に行くのもいいな、なんて考えていたのですが、畳でごろごろしているうちに夕食の時間が近づいてきました。

夕食はお部屋に用意していただきます。ドリンクメニューから諏訪の地酒「高天」の純米吟醸を注文して、色とりどりの前菜をつまみに……まずは一杯……ああ、染みる!

続いて供されたお椀は「帆立の真丈、高原レタス巻き」お刺身は「さより、鯛、すずき」と、夏らしい食材を使った、見た目にも爽やかな料理が並びました。

メインの肉料理「信州牛の石焼き」では、ししとうなど火の通りにくい野菜にあらかじめ油通ししてあり、食べやすくなっていた工夫に驚きます。

焼き物の「和風味噌グラタン」は「アスパラ、丸茄子、帆立、海老、よもぎ麩、信州サーモン」が入った豪華なグラタンです。味噌とチーズが合わさって濃厚な味わいになり、日本酒にもよく合いました。

最後のデザートも自家製で、小豆と高原牛乳の二層の寒天寄せです。

食後はあっという間に眠りに落ちてしまいました。

翌朝の朝食は、1階の食事処で。栄養バランスがよく考えられた、品数豊富な朝食です。サラダの上にのっているのはトマトの寒天で、生のトマトより味も濃く、自家製のドレッシングによく合って印象に残りました。寒天も長野県の特産品なんですね。

昨年料理長が替わられたとのことで、現在は食事の雰囲気がこのときと少し変わったかも、とのことでしたが、新しいぎん月さんの料理を味わいに、また近々伺いたいなと思っています。

(取材日=2018年6月上旬)

*掲載情報は、取材時の内容です。

信州しもすわ温泉 ぎん月

料金:1泊2食付き/1室1名18000円~、1室2名15000円~
住所:〒990-2301 長野県諏訪郡下諏訪町立町3306
電話:0266-27-5011
HP:http://www.gingetsu.com/

 

プロフィール

月山もも

山と温泉を愛する女一人旅ブロガー。山麓の温泉宿を一人で巡るうちに「歩いてしか行けない温泉宿」に憧れを抱き、2011年から登山を始める。ゆるハイクから雪山登山まで、テントも一人で担ぐ単独登山女子。 ブログ「山と温泉のきろく」https://www.yamaonsen.com/に、温泉と登山のすばらしさについて綴っている。山と温泉に魅せられる人を増やすことが、人生のよろこび。著書に『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』(KADOKAWA)。

ひとり温泉登山

山と温泉を愛する月山ももさんによる月1連載。登山前後に入りたい極上の温泉宿をご紹介します。

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