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梅雨に活躍間違いなし! 後方が延びる軽量傘、ユーロシルム「スウィングバックパック」を雨のフィールドでテスト!

高橋庄太郎の山MONO語り
道具・装備 2020年06月30日

 

今月のPICK UP ユーロシルム(EuroSCHIRM)/スウィングバックパック

価格:価格:7,800円(税別)
重量:350g
サイズ:長さ76cm
カラー:3色
※同シリーズのシルバーメタリック、リフレクトブラックの2色は、8,800円(税別)

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今年も日本列島の大部分は梅雨に入った。新型コロナウィルスによるさまざまな「自粛」も緩やかになり、天気が多少悪くても再び山へ向かう人が増えてきたようだ。

こんな季節に活躍する山道具が「傘」である。

一昔前の登山入門書などでは“必携品”扱いされていたほどの道具だが、近年はレインウェアの透湿性や防水性などの機能性が高まったこともあり、出番は少なくなっている。狭い道では他の登山者とのすれ違いや追い抜きのときに邪魔になり、また登山中に推奨されている“両手を空ける”ことが難しくなるのもひとつの問題だからだろう。

だが、遊歩道のように広い登山道やテント場などでは、体にまとわりついて蒸し暑さが避けられないレインウェアよりも快適で、状況によっては非常に有用だ。実際、現在のアウトドア用には、タウン向けよりも軽量かつ丈夫で、悪天候でも使いやすいものが増えている。

今回ピックアップするのはドイツのメーカー、ユーロシルムの「スウィングバッグパック」。なぜ、傘なのにモデル名に「バックパック」という言葉が入っているの? それは、バックパックを背負ったときに使いやすいように開発されているからだ。

 

「後ろ側が長い傘」の秘密は? まずは構造のチェックから

その最大の特徴は、ズバリ、「後ろ側が長い」という形状。一般的な傘のように丸い形状ではないのである。

上の写真はスウィングバックパックを真上から見た状態で、使用時に前方になるのが右上方向。後方になる左下は骨を一本増やし、20cm近く伸長させてある。

サイドから見ると以下のようになり、後方は左側だ。

傘の布地が2重になって、後方に伸長している様子がわかるだろう。

2重になっている部分はスリットのようになっており、わずかに隙間が空いている。

強風を受けたときは、この部分から風圧が逃げていく。その結果、傘としての面積が広くても、風には強い構造になっているのだ。

空に掲げて透かして見ると、生地と骨組みの関係性がよりわかりやすい。

ちなみに、広げたときの大きさは直径100cm(前後方向)で、収納時の長さは76cm。これだけの大きさがありながら重量は350gに抑えてあり、誰もが持った途端、「軽い!」と驚くに違いない。

また、布地(キャノピー部分)にはDuPontテフロン加工ポリエステル、骨組み(フレーム)には高密度ファイバーグラスが使われている。

特筆すべきはこのファイバーグラスの強靭さ。めったなことでは傷まず、たとえ野球のバットのように振り回し、周囲の岩などへ思いっきり振り下ろしても、よほどのことでは折れないくらいだ。

今回は、試しに木の幹に思いっきり押し当ててみたが、これほどまでに曲がった状態にしても、折れる気配はほとんどない。

これ以上の耐久性のテストは、省略しよう。防水性などのテストをする前に、間違って壊してしまっては仕方ないのである。

ハンドルはクッション性が高い、高密度EVAハードフォーム。硬めのスポンジといった感触だ。

末端にはコードストッパー付きのコードが取り付けてあり、強風時は手に巻き付けておけば、風で飛ばされる心配が少なくなる。

ハンドルは手の形状に合わせて凹凸がつけられている。

軽い力で握るだけで手から外れにくくなるばかりか、手の握りが固定されるので、使用時の傘の前後方向が自然に整えられる。要するに、普通に握るだけで傘の延長された部分がちょうど後ろ側になるということだ。

傘の先端も高密度EVAハードフォーム。

柔らかいので、間違って周囲の木の幹や根にぶつかっても、植物を傷めることはない。

 

開いて閉じて…。さらにバックパックを背負ってみての状態もチェック!

ケースが付属しているのもうれしい点だ。

いくらか余裕があるサイズ感なので、傘の布地をきっちりと巻かなくても傘をケース内に押し込められる。急いでいるときには便利だ。

ケースにはメッシュ素材が使われ、傘に付着していた雨水は自然に流しだされる。また、傘が湿っていても乾燥が早い。

しかし、メッシュ製のケースということは、傘についている水分はいつも半ば露出し、周囲のものを濡らす可能性もあるということだ。ケースが付いていない一般的な傘はどれもそうだともいえるが、クルマに乗せるときなどには注意したほうがいいかもしれない。

ケースには長いストラップがつけられており、肩にかけることもできる。傘を使わないときは両手がフリーになるのでとても便利だ。

バックパックのサイドポケットに差しこむこともできなくはないが、全長76cmの傘はどうしても上に飛び出てしまう。やはり肩にかけたほうが行動しやすい。

この傘はボタンを押すだけで自動的に開閉するタイプではなく、一回ごとに中央のポールにつけられたシルバーのボタンを押しながら自力で広げたり、閉じたりする一般的な方式である。

いつも両手が使えるとは限らない山中では、自動開閉式のほうが便利であることは間違いないが、複雑すぎる構造にすると壊れやすくなるという考えなのかもしれない。

さて、この「後方の生地と骨組みが二重になった」傘は、どんな風に開くのだろうか? ボタンを押しながら一気に開いたときの状況が、以下の写真だ。

後方に延びる部分がきれいにスライドし、とくに引っかかるような感触もない。よくできているものだ。

実際にバックパックを背負ったままで、この傘を差してみる。

このときのバックパックは容量32Lの小型サイズ。僕の背中側は完全に隠れ、傘から滴り落ちる雨粒でバックパックが濡れることはなさそうだ。しかし、もともと大型の傘ということもあり、後方の伸長部分がない普通の形状でも、このような小型パックであればカバーできただろう。

だが、普通の形状であれば、バックパックの上部には雨がかからなくても、下部にはかかるかもしれない。

後方の延長部分があるからこそ、バックパックのボトムまで雨が当たりにくくなる。風さえ強くなければ、これだけでバックパックにカバーをかける必要はなさそうである。

バックパックを大型のものに背負い直し、改めて傘を差してみる。今度の容量は65Lだ。

このバックパックは少し後ろに膨らんだ形状ということもあり、傘を垂直に立てていると、はみ出してしまった。バックパックにカバーをかけないと、いずれ浸水してくるに違いない。

しかし、傘を後ろ側に倒すと、バックパックが傘の内側へきれいに収まる。ちょうど雨蓋部分が傘に引っかかるのもいい。意図していないことだったが、傘とバックパックが固定されたような感じになって、ますます雨が当たりにくくなりそうなのである。

ただし、こうなると反対に体の前方は濡れやすくなる。このスウィングバックパックのサイズ感は「小型バックパックには充分」「大型バックパックにはギリギリ」といったところなのである。

 

雨の日に再びチェック! 背負って歩いて、その効果を実感!

ところで、ここまでに使用した写真を見て、なにか気付いた方はいらっしゃるだろうか?

今回のテスト、新型コロナウィルスに関連するさまざまな活動自粛が緩んだ後、梅雨のさなかにせっかく山へ行って行おうとしたのに、曇り空で白いガスは出てきたものの、雨はぜんぜん降らなかったのだ……。

もう一度、山へテストしに行く時間はないので、前回に引き続き、今回も最終テストは自宅近くの公園で行なった。幸いなことに、この公園は樹木が生い茂り、地面にはある程度の起伏もあって、一般的な公園よりは山らしさが残っている。

さて、この傘の実際の実力がどうだったのか? わざわざ山中と同じウェアとバックパック、シューズを用意し、かなり長い時間と距離を歩いてみた。

僕はいつもかなり大股で歩いているが、このときは傘を使用していることを意識して、小股気味に。大股で歩いていると前方に踏み出した足と、後方に蹴り出した足が傘の外に出て、嫌でも濡れてしまうからである。傘をさしていると、歩き方まで変わってしまうのがおもしろい。

いくらか風のある日だったが、僕が背負っていた小型パックは傘の下に隠れ、ボトムに水滴が多少ついた程度で、ほとんど濡れないことがわかった。

もう少し風が強いほうが、生地と骨組みの耐久性や風を受け流す性能を確かめられたのだが、そうそう都合よく悪天候に遭遇するわけではない。今回は許してほしい。

長い時間歩いていて気付いたのは、傘の重みをあまり感じないことだ。もともと軽量なうえに、重量バランスがよいのであろう。

雨が止んだ後、肩にかけて歩いたときも体へかかる負担は少なさそうだ。

撥水性も上々である。しかし、どんな傘でも初期性能としての撥水性が高いものだ。この撥水性がどれだけ長く続くのかは、もっと長く使ってみないとわからない。

もっとも、傘というものはメンテナンスが非常に大事だ。とくにアウトドアで使用するものは、念入りに撥水スプレーなどを散布しながら使いたい。

2重になった後部の部分は生地がきれいに重なり、雨が逆流して流れ込むこともなかった。

ただ、生地と生地が水滴で張り付くと、開閉するときにいくぶん力を入れなければならない。しかし、とくに大きな問題ではない。

 

まとめ: 低山や裏山の散策には快適! 手元に置いておきたい一本だ

今年の梅雨はいつまで続くのだろうか? 早いところ夏がきて、できればコロナウィルスの問題も収束し、自由に山を歩けるようになるといいのだが……。しかし、このように山で使いやすい快適な傘を差しながら、雨のなかを歩くのも悪くない。

とはいえ、風の影響を受けやすい傘は、強風が吹き荒れる可能性がある高山にはやはり向かない。だが登山道が広い低山や、裏山の散策にはとても便利だ。レインウェアを着込むよりも、解放感は段違いだ。僕も手元に一本置いておきたくなってしまった。

 

今回紹介した山道具はこちら

 

雨具
教えてくれた人

高橋 庄太郎

宮城県仙台市出身。山岳・アウトドアライター。 山、海、川を旅し、山岳・アウトドア専門誌で執筆。特に好きなのは、ソロで行う長距離&長期間の山の縦走、海や川のカヤック・ツーリングなど。こだわりは「できるだけ日帰りではなく、一泊だけでもテントで眠る」。『山登りABC テント泊登山の基本』(山と溪谷社)、『トレッキング実践学 改訂版』(枻出版)ほか著書多数。

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