長雨の影響により岩稜帯は落石に注意、落とさないことも大切。 島崎三歩の「山岳通信」第195号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2020年8月6日に配信された195号では、長雨の影響により、岩稜帯の登山道の状況について言及。自然落石および落石を発生させるリスクについて説明している。

 

8月6日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第195号では、期間中に起きた4件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 7月30日、北アルプス後立山連峰・白岳で、単独で入山した66歳の男性が、遠見尾根・白岳付近の登山道上に意識のない状態で倒れているのを発見された。大町警察署山岳遭難救助隊員などが救助に向かい、8月2日に県警ヘリで収容したものの死亡が確認された。男性は遠見尾根を登山中に何らかの原因により行動不能となったものと思われる。

  • 8月2日、北アルプス前穂高岳で、仲間と2人で入山した52歳の女性が、北尾根4峰付近を登山中に滑落する山岳遭難が発生。女性は県警ヘリで救助されたものの死亡が確認された。
    同行者の56歳の男性も、技量不足で行動不能となり県警ヘリで救助された。

  • 8月2日、北アルプス槍ヶ岳で、2人で入山した74歳の男性と56歳の女性は、槍ヶ岳・小槍付近をクライミング中に負傷する山岳遭難が発生。2人は県警山岳遭難救助隊員により救助された。

北アルプス槍ヶ岳での遭難救助の様子/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)8月4日付

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

7月5週は4件の山岳遭難の発生があり、2名の方が亡くなっています。
長野県は、先週梅雨明けとなりましたが、長雨の影響により、岩稜帯は岩が脆くなっていたり、浮石となっていたりする場合があります。この時期は、登山道でも自然落石に注意するとともに、自身の手や足を置いた岩が、剥がれ落ちて滑落したり、落石を発生させてしまう恐れがあるため、ルートをしっかりと確認し、注意して行動しましょう。

また、バリエーションルートを考えている方は、豪雨の影響などにより、岩場の状況が大きく変化している場合があります。支点などをよく確認するとともに、グループ内の技量に見合ったルート選びと、無理のない行動をお願いします。

長野県では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため「長野県内入山注意報」と「登山者への5つお願い」を発表しています。登山者の皆さんは、自身の体力や技量より、レベルを落とした山域を選び、感染防止対策にご協力をお願いします。

 

長野県内入山注意報発表中

長野県では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため「入山注意報」を発表しています。 6月以降、これまでの登山シーズンとの大きな違いは――

  • ①山岳における救助活動は、必要に応じて感染防止対策を講じた上で出動するため、通常より救助に向かう時間を要する。
  • ②多くの山小屋が例年より営業開始時期を遅らせているため、相談・休憩・避難・環境維持としての機能が低下する。

となっています。

また、以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

「登山者への5つのお願い」は以下の動画もご参照下さい。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

⇒バックナンバーはコチラ!

島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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