壮大すぎる! 「笠雲」「つるし雲」など山に現れる雲の話

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『ときめく雲図鑑』より、雲や空が私たちに教えてくれる様々なことを紹介する、気象予報士菊池真以さんによる連載。第4回は、山の近くに現れやすい不思議な雲たちを紹介します。

山の近くで空を見上げていると、ちょっと変わった形の雲に出合うことがあります。有名なのは山の上にできる笠雲や、山の近くに出現するつるし雲。これらの雲の不思議な形を作るのは、上空の風です。どんな風に吹いているのかな? と想像しながら眺めても面白いですよ。

 

レンズ雲

長く伸びて大きなレンズ雲に。雲のふちは少し彩雲になっています。

レンズのような形が特徴的な雲。さやえんどうの形にも似ていることから「さや雲」とも呼ばれます。レンズ雲は上空の風が強まるときに現れるため「レンズ雲は強風のサイン」とよくいわれます。風が山にぶつかるなどして上下に波打つと、風が上昇するところで雲ができ、下降するところで雲が消えます。

 

笠雲

笠雲が出ると天気下り坂と言われますが、ときどき晴天が続くことがあります。(写真:武田康男)

笠雲はレンズ雲の仲間で、山の頂上付近にできます。風が山に沿って上昇したところに雲の粒ができ、下降するところで消えます。雲の粒は絶えず発生と消滅を繰り返しますが、私たちの目には笠雲が長時間、山頂に出続けているように見えます。笠雲は笠が一つだけの「ひとつ笠」や二つ上下に重なる「にかい笠」など、20もの種類があるとされています。

 

つるし雲

大きなつるし雲。まるで二つのUFO?(写真:武田康男)

つるし雲もレンズ雲の仲間で、山から少し離れたところにできます。山を越えて大きく波打った風が上昇しているところに、さらに山を回り込んだ風がぶつかると現れます。鳥が翼を広げたような形の「つばさ吊るし」や、円盤の形をした「だえん吊るし」といった呼び名もあり、バリエーションがあります。

 

(本記事は『ときめく雲図鑑』からの抜粋です)

 

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全ての雲には名前がある? もっとも身近な自然である雲を、気象予報士の菊池真以さんが解説しました。基本となる10種類の雲「きほんの10種」、ほか「かわいい雲」「きれいな雲」「ふしぎな雲」「すごい雲」「めずらしい雲」、雲と光が作るコラボレーション「光×雲」など、充実した種類の雲を美しい写真とともに紹介。見上げれば必ず目にする雲たちの名前を知ることで、毎日が少しだけ楽しくなるはずです。


『ときめく雲図鑑』
著者:菊池真以
発売日:2020年8月3日
価格:本体価格1600円(税別)
仕様:A5判128ページ

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【著者略歴】
菊池真以(きくち・まい)
気象予報士。気象キャスター。大学在学中に気象予報士の資格を取得。学生時代より気象予報士として活動。2015年4月から2019年3月まで『NHKニュース7』の気象キャスターを務めた。気象関連の講演会など多数開催。空の撮影も趣味の域を超えて行っており、2016年個展「空の写真展IRODORI」 2017年グループ展「めぐる季節 -toki-」を開催。https://www.maisorairo.com/ Twitter Instagram 

プロフィール

菊池真以

気象予報士。気象キャスター。大学在学中に気象予報士の資格を取得。学生時代より気象予報士として活動。2015年4月から2019年3月まで『NHKニュース7』の気象キャスターを務めた。気象関連の講演会など多数開催。空の撮影も趣味の域を超えて行っており、2016年個展「空の写真展IRODORI」 2017年グループ展「めぐる季節 -toki-」を開催。https://www.maisorairo.com/ Twitter Instagram 

知っていると毎日が少しだけ楽しくなる雲と空の話 From『ときめく雲図鑑』

長い梅雨が明け、いよいよ夏本番。晴れた空にゆったりと浮かぶ雲たちは、私たちに様々なことを教えてくれます。雲や空からわかることを、気象予報士の菊池真以さんが発売中の『ときめく雲図鑑』(山と溪谷社)から紹介する連載です。

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