実は入道雲にも種類がある! 夏に出合う入道雲たち

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『ときめく雲図鑑』より、雲や空が私たちに教えてくれる様々なことを紹介する、気象予報士菊池真以さんによる連載。第1回は、夏の雲の代表格である入道雲について紹介します。

 

夏は、強い日射しによって雲が成長し、立派な入道雲がよく現れます。雲の王様ともいえる入道雲の寿命は1時間くらいで、厚さは10km以上あることも。成長から衰退の過程で様々な姿を私達に見せてくれるこの雲には、実は様々なタイプが存在します。ここでは特にオススメしたい入道雲たちを紹介します。


夏に出合う入道雲3選

まるでベレー帽 【頭巾雲(ずきんぐも)】

頭のてっぺんに帽子のようなものをのせた雲を頭巾雲といいます。頭巾雲は、雲が上へと成長しようとする力が強くなった時に現れます。頭巾雲が現れた雲はさらにパワーアップし、激しい雨や落雷、雹などをもたらすおそれがあります。

よく見ると、左右に二つの頭巾雲。8月PM4:40大阪府

 

大きなパワーで成長中 【無毛雲(むもううん)】

入道雲のなかでも、雲のてっぺんに丸みがありはっきりとした輪郭をもつものを無毛雲 といいます。無毛雲は、まだ入道雲の成長途中の段階です。さらにパワーを蓄えて、大きくなる可能性があります。

真ん中が無毛雲。夕日が当たり、雲のふちが明るく輝きました。6月PM6:12東京都

 

これが入道雲!? 【多毛雲(たもううん)】

多毛雲は、無毛雲とは反対に、雲のてっぺんが繊維状になり毛羽立っているように見えるのが特徴です。入道雲は、成長して激しい雨を降らせると次第に形が崩れていきますが、多毛雲はその入道雲の最盛期から衰退期の姿です。

左右に恐ろしく大きく広がった多毛雲。8月PM6:51東京都

 

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入道雲は近くに来ると恐ろしい雲ですが、遠くの空で生き物のように成長していく入道雲の観察は、私たちに自然の壮大さを教えてくれるはずです。

(本記事は『ときめく雲図鑑』からの抜粋です)

 

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全ての雲には名前がある? もっとも身近な自然である雲を、気象予報士の菊池真以さんが解説しました。基本となる10種類の雲「きほんの10種」、ほか「かわいい雲」「きれいな雲」「ふしぎな雲」「すごい雲」「めずらしい雲」、雲と光が作るコラボレーション「光×雲」など、充実した種類の雲を美しい写真とともに紹介。見上げれば必ず目にする雲たちの名前を知ることで、毎日が少しだけ楽しくなるはずです。


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著者:菊池真以
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【著者略歴】
菊池真以(きくち・まい)
気象予報士。気象キャスター。大学在学中に気象予報士の資格を取得。学生時代より気象予報士として活動。2015年4月から2019年3月まで『NHKニュース7』の気象キャスターを務めた。気象関連の講演会など多数開催。空の撮影も趣味の域を超えて行っており、2016年個展「空の写真展IRODORI」 2017年グループ展「めぐる季節 -toki-」を開催。https://www.maisorairo.com/ Twitter Instagram 

プロフィール

菊池真以

気象予報士。気象キャスター。大学在学中に気象予報士の資格を取得。学生時代より気象予報士として活動。2015年4月から2019年3月まで『NHKニュース7』の気象キャスターを務めた。気象関連の講演会など多数開催。空の撮影も趣味の域を超えて行っており、2016年個展「空の写真展IRODORI」 2017年グループ展「めぐる季節 -toki-」を開催。https://www.maisorairo.com/ Twitter Instagram 

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長い梅雨が明け、いよいよ夏本番。晴れた空にゆったりと浮かぶ雲たちは、私たちに様々なことを教えてくれます。雲や空からわかることを、気象予報士の菊池真以さんが発売中の『ときめく雲図鑑』(山と溪谷社)から紹介する連載です。

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