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みかん畑、富士山&駿河湾の展望、旧東海道の町並み――、「静岡らしさ」がぎっしり詰まった浜石岳

今がいい山、棚からひとつかみ
ガイド・記録 2021年01月08日

今の時期は寒いだけではなく、日が短いので行動時間も少ない。雪の上を歩く可能性もある冬は登山はお休み、という人は少なくない。しかし、冬の時期でも、都内近郊でもポカポカとした陽気に包まれた山もある。静岡県にある浜石岳は、冬の時期こそオススメの山だ。

 


静岡の名産といえば、お茶を思い浮かべる方も多いはず。でも実はみかんだって自慢の名産なのです。静岡、和歌山、愛媛の三県は、生産量トップのしのぎを削り、我こそはみかん県だ、と誇りに思っているとかいないとか・・・。

なにはともあれ、みかんがおいしいこの季節に、是非おすすめの山があります。登山道はみかん畑を縫って進み、ふと振り返れば、みかんの木々越しに駿河湾、さらには富士山を大迫力で拝む、おまけに旧東海道の町の雰囲気も感じられる、そんな静岡らしさがぎっしり詰まった山、浜石岳をご紹介します。

みかん畑の中を行く登山道。その先には富士山がそびえる


登山の始まりは、由比駅。ルート上にはしばらくトイレはないので、電車利用の場合は、駅構内でトイレを済ませておきましょう。出発からしばらくは町中歩きですが、標識が整備されているので、不安なく歩けるでしょう。

モデルコース:由比駅から浜石岳を周回

行程:由比駅・・・浜石岳入口・・・浜石野外センター・・・浜石岳・・・但沼分岐・・・立花池入口・・・孟宗竹林・・・薩埵峠・・・由比駅

⇒周辺の地図を確認する

 

広い山頂から富士山の勇姿と駿河湾を俯瞰する

由比駅を離れて、新幹線の線路を越える跨線橋を渡ると、徐々に民家も少なくなり、みかんの木々が目立つようになります。車道はだんだんと細く急になりますが、農作業の車両などの往来もありますので、注意しながら進みましょう。

>登山中は、たわわに実るみかんを楽しみながら進む


収穫期には、農家の方々が作業をしているので、挨拶をしながら歩くと良いと思います。由比の方々はとても気さくに挨拶を返してくれるので、気持ちも弾みます。車道ながらも急な登りに疲れた頃、休憩にぴったりな見晴らしベンチがあるので、ひとやすみ。みかん畑を過ぎ、針葉樹林の森に入ってしばらくすると、水洗トイレが現れますので、利用すると良いでしょう。なお登山道上には、山頂直下にも仮設トイレがあり安心です。

車道を進んでいくと、数十台は停められる、広々とした登山者駐車場に到着。ここからルートは、森の中を歩く三本松ルートに分かれていますが、今回は東海道自然バイパスコースと名付けられた道を行くことにします。山頂直下までは舗装路が続きますが、土の上を歩くのは後半の楽しみに取っておくことにしましょう。

浜石野外活動センターとの分岐を右方向へ。少し下っているように見えますが、こちらで間違いありません。舗装路は、大きな鉄塔、浜石無線中継所まで。そこから標識に従って、2分ほどの登り。急登を登りきると、突然視界が開けて、浜石岳山頂へ到着です。

待ち構えていたのは、圧倒的な存在感で鎮座する富士山、360°の大パノラマ、美しい色合いの駿河湾、その向こうに伊豆半島・・・。なんとも贅沢な眺めの数々です。山頂は広く開けていて、芝地になっているので、好きな場所で腰を下ろして、ゆっくりと存分に眺めを楽しむことができます。

広い山頂からの長めは抜群。富士山をはじめ、南アルプスや、駿河湾を見下ろす景色を堪能
 

こちらは山頂から南アルプスを望む。最も高い場所が北岳、わかりますか?


ちなみに、私はあまりの眺めの良さと居心地の良さに、うっかり長居しすぎてしまいました。最高の景色に、ランチもはかどり、おやつも進み、気が付けばギリギリの時間に。重たいおなかをさすりながら、日没になっちゃったらどうしよう、と心配しながらの下山となってしまいました。もっといたい!という誘惑に打ち勝てる気持ちの強さと、時間管理能力が試される・・・かもしれません。

眺めを堪能したら、薩埵(さった)峠を目指して下ります。ようやく登山らしい道のお出ましです。整備された道で標識もたくさんありますが、細かい分岐がたくさん出てきます。道を間違いないように、都度地図を見て確認しながら下ることを勧めます。とくに、電波塔整備のための小道と何度か合流しますので、間違えないよう注意しましょう。

下山路は一転、針葉樹の林の中を進む。

主要な分岐には標識があるものの、作業道や獣道に迷い込まないよう、地図をよく確認!


また、ところどころ急な下りだったり、木の根が張る道だったり、気を抜くことはできません。下山中に眺望はあまりなく、少し退屈するかもしれませんが、針葉樹林の森が竹林に変わり、農作業小屋の跡など、生活の気配が感じられるようになれば、薩埵(さった)峠まではあと少し。車道に出たら道標に従って、薩埵峠まで進みます。

薩埵峠からは、歌川広重の東海道五捨三次にも描かれた眺めが待っています。駐車場から脇の階段を下り、数分遊歩道を静岡方面に進んだところに展望台があり、そこから同じ構図の眺めを感じることができます。

東海道五捨三次と同じ構図で。東海道線、国道1号線、東名高速道路が並ぶ、現代の眺め


ここからは由比駅へと下っていきます。歩く道は旧東海道。街並みに、かつての時代の名残を感じます。旬の時期には、みかんの無人販売もたくさん。無事に駅まで歩き通したら、由比の名物、桜えび料理も是非頂いてみてください。

おいしそうなみかんが無人販売されている。おみやげにいかが?

駅までは、旧東海道の宿場町として栄えた名残を感じる静かな町並みを楽しもう
日本の山 ガイド
教えてくれた人

藤巻なつ実

静岡県出身。山好きの父親と共に、幼少の頃から登山、アウトドアに親しむ。 長野県白馬村で登山ガイドとしてのキャリアを始め、グリーンシーズンの北アルプスを中心にガイドを行う。
その後、ニュージーランドの様々なトレイルで経験を積み、帰国後、Adore Outdoorを設立。現在は静岡県を拠点に活動中。日本の自然の魅力を、世界に発信しようと日々取り組んでいる。

⇒ Adore Outdoorホームページ

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