栃木県・仙人ヶ岳 アカヤシオ咲くヤセ尾根と岩稜をたどる

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栃木県の仙人ヶ岳では、3月下旬からアカヤシオが咲き始めます。低山ながらクサリ場やヤセ尾根などスリルのある山歩きと一緒に可憐な花を楽しめます。

 

アカヤシオは別名「ヒトツバナ」とよばれ、枝先に一輪だけ花をつけるのが特徴です。春の訪れとともに、葉よりも先に愛らしいピンクの花を一斉につけるので、高山に春を告げる花として、登山者に親しまれています。

標高1000m以上の山地に多く分布し、西上州や日光のアカヤシオで名高い山々では4月〜5月にかけてピークを迎えます。
栃木県足利市の仙人ヶ岳は標高663mながら、それらの山々に先駆けて3月下旬から開花の便りが届きます。

今シーズンも後半は暖かい冬でしたので、3月下旬から咲き始めることが期待されます。

それぞれの枝先に一輪の花をつけるアカヤシオ。ヒトツバナとよばれる由縁だ

 

モデルコース:猪子トンネル登山口~犬帰り~仙人ヶ岳~岩切登山口~猪子トンネル登山口

コースタイム:約5時間20分

⇒仙人ヶ岳周辺の登山地図を見る

まずは猪子トンネル手前の岩切登山口より、猪子峠を目指しました。現在は通行不可になっているので、猪子トンネル登山口から猪子峠へと向かいましょう。やはりこのあたりはもうアカヤシオは終盤を迎えているようです。もう山ツツジが元気に咲いていました。

猪子峠から熊の分岐に至る稜線は、ところどころ露岩が混じる、ザレた狭い尾根のアップダウンが続きますが、なかなか高度感がある気持ちのいい稜線です。

途中の犬帰りのクサリ場は垂直に近い10mほどの岩場で、慎重を期す必要があります。巻き道も用意されています。

犬帰りのクサリ場は一番の難所。垂直に近いので慎重に

仙人ヶ岳山頂に近づくにつれ、まだまだ元気なアカヤシオが点在し、彩りを添えてくれます。頂上付近には今盛りのアカヤシオが何本もありました。

稜線上のアカヤシオはまだまだ元気だった

ミツバツツジもチラホラと咲き出し、赤紫のつぼみを一斉に空へ突き出し、次の主役を任せろと言わんばかりでした。

低山ながら高度感のあるヤセ尾根にはアカヤシオが点在する

仙人ヶ岳頂上

頂上からは熊の分岐より岩切登山口を目指し、沢沿いを下ります。このルートは、岩場や沢沿いなど危険箇所が続くため、下り通行、健脚向きが推奨されています。(取材日=2017年4月22日)

 

プロフィール

奥谷晶

30代から40代にかけてアルパイン中心の社会人山岳会で本格的登山を学び、山と溪谷社などの山岳ガイドブックの装丁や地図製作にたずさわるとともに、しばらく遠ざかっていた本格的登山を60代から再開。青春時代に残した課題、剱岳源次郎尾根登攀・長治郎谷下降など広い分野で主にソロでの登山活動を続けている。2013年から2019年、週刊ヤマケイの表紙写真などを担当。2019年日本山岳写真協会公募展入選。現在、日本山岳写真協会会員。

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