残雪や天候の急変など春の山特有のコンディションに注視を 島崎三歩の「山岳通信」 第220号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2021年4月15日に配信された第220号では、春山シーズンの長野県の山のコンディションについて説明、残雪や天候の急変などのリスクに対して、対応・回避できる知識や技術の習得を促している。

 

4月15日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第220号では、期間中に起きた6件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 4月5日、八ヶ岳連峰の蓼科山で、入山した4人パーティ(54歳女性、56歳男性、40歳男性、12歳男性)が、下山中に下山方向を誤って道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。佐久警察署員らが捜索をして、6日に県警ヘリが4人を救助した。

  • 4月6日、北アルプス後立山連峰の唐松岳で、単独で入山した56歳の男性が唐松岳山頂から八方尾根を下山中に道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。男性は県警ヘリにより救助された。

  • 4月7日、下水内郡栄村の毛無山東方の山林内で、2月中旬以降に行方不明となっていた31歳の男性が遺体で発見された。

  • 4月8日、下伊那郡天龍村の山林内で、渓流釣りのために3人パーティで入山して別々に渓流釣りをしている中、70歳の男性が道に迷う山岳遭難が発生。男性は県警ヘリにより救助された。

下伊那郡天龍村での遭難現場の状況/長野県警察本部ホームページ山岳遭難発生状況(週報)4月12日付
  • 4月10日、北アルプスの乗鞍岳で、6人パーティで入山した35歳の男性が、剣ヶ峰から下山中に滑落して負傷し行動不能となる山岳遭難が発生。男性は県警ヘリにより救助された。

北アルプスの乗鞍岳での遭難現場の状況/長野県警察本部ホームページ山岳遭難発生状況(週報)4月12日付
  • 4月10日、下水内郡栄村の苗場山で、バックカントリー滑走のために単独で入山した45歳の男性が、滑走中に転倒して負傷し、行動不能となる山岳遭難が発生。男性は消防防災ヘリにより救助された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

4月2週は6件の山岳遭難がありました。コロナ禍により、野外スポーツやキャンプなどの人気から、登山を始めた方も多くいると思います。登山は自然を感じることができる素晴らしいスポーツですが、危険が伴うことも認識することが大切です。特に春山シーズンは、残雪による体力の消耗や道迷い、滑落のリスクがあるほか、荒天時には、雨から吹雪に変わることもあります。登山を始める際には、これらのリスクを回避・対応できる技術や知識を身に付け、必要な装備を準備しましょう。そして、自身や仲間の体力や技量に見合った山域を選び、少しずつステップアップしていきましょう。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、登山を考えている方は地域ごとの最新情報を確認し、慎重な計画と行動をお願いします。
長野県では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、昨年から「長野県内入山注意報」を継続し、「登山者への5つお願い」を発表しています。登山者の皆さんは、十分にレベルを落とした山域を選び、感染防止対策にご協力をお願いします。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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