ハクサンイチゲが咲き誇る花の稜線を満喫。南蔵王・不忘山の天空散歩

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蔵王連峰の南端、不忘山。美しい裾野を持つ山は、ハクサンイチゲの群生をはじめとして、高山植物の宝庫としても知られています。

ハクサンイチゲ花盛りの不忘山から屏風岳稜線

 

蔵王連峰の南端にあって、高山植物の宝庫として知られる不忘山(ふぼうさん)。東北地方の山域でも雪解けとともに最も早く高山植物の開花情報がもたらされる山の一つです。梅雨入り前の晴れ間をねらって登ります。

 

モデルコース:美し森~真教寺尾根~赤岳~横岳~杣添尾根~横岳登山口

 

コースタイム:日帰り約4時間15分

⇒不忘山周辺のコースタイム付き登山地図

スタートは白石スキー場登山口。ゲレンデの入口にはトイレもあります。ゲレンデの草地の横を登って登山口に至ります。しばらくは樹林帯の中のゆるやかな登り。早くもタニウツギやサラサドウダン、ムラサキヤシオなどのあざやかな花々がお出迎えです。

サラサドウダン

 

次第に傾斜が強くなり本格的な登りに入ると、足下にはイワカガミ、目の前にはシラネアオイもちらほら、樹間には赤紫のムラサキヤシオ、と登山者の目を楽しませてくれます。

シラネアオイも点在

 

弘法清水を経てさらに高度を上げていくと、樹木は消えて灌木から草地に変わり、一気に展望が開けていきます。不忘山から、ところどころ残雪の残る南屏風岳、屏風岳への稜線がくっきり見えます。

ハクサンチドリ

 

ハクサンイチゲ

 

ハクサンチドリや、今回の一番のお目当てのハクサンイチゲも顔を出し始めました。カエル岩や不忘の碑を経てまもなく不忘山頂上です。

不忘山山頂

 

頂上から南屏風岳方面へ稜線を進みます。一転して狭い岩稜地帯の下りになりますので慎重に進みます。この尾根の岩稜から谷間に向かってハクサンイチゲの群落が随所に見られます。真っ白な、まだ傷一つない生き生きした花びらを輝かせて咲き誇っています。

稜線から谷間へと広がるハクサンイチゲの群落

 

岩陰にはユキワリコザクラの可憐な姿もしっかり残っていました。ミヤマオダマキの群落も美しいブルーの花が誇らしげです。たっぷり、花を楽しんだのち、不忘山頂上へ戻り、往路を戻りました。

岩陰に咲くユキワリコザクラ

 

ブルーが美しいミヤマオダマキ

 

健脚であれば、南屏風岳から水引入道コースを経て沢沿いに白石スキー場に戻る周回コースをとることもできます。こちらは雪渓を横断する箇所もありますので注意が必要です。

プロフィール

奥谷晶

30代から40代にかけてアルパイン中心の社会人山岳会で本格的登山を学び、山と溪谷社などの山岳ガイドブックの装丁や地図製作にたずさわるとともに、しばらく遠ざかっていた本格的登山を60代から再開。青春時代に残した課題、剱岳源次郎尾根登攀・長治郎谷下降など広い分野で主にソロでの登山活動を続けている。2013年から2019年、週刊ヤマケイの表紙写真などを担当。2019年日本山岳写真協会公募展入選。現在、日本山岳写真協会会員。

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