熊本・阿蘇の展望が広がる秋の鞍岳。岩場を越え広々した尾根を歩く

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爽やかな阿蘇の展望が広がる秋の鞍岳へ。広々と気持ちよい尾根と途中ではスリリングな岩場もあり、魅力の詰まった山歩きです。

360度のパノラマが広がる鞍岳

 

秋を告げるススキの穂が膨らみ始める9月。空気が澄んできたので展望がいい山に登りたくなり阿蘇外輪山の鞍岳登山を計画しました。

鞍岳とツームシ山は、阿蘇北外輪山の西側に位置しています。山容が馬の鞍に似ている事が山名の由来とされ、北東にあるツームシ山までは緩やかで伸びやかな稜線でつながっています。

山頂からの展望は雄大、春はアセビの白い花が雪を思わせ、初夏はミヤマキリシマ、秋はススキや紅葉がきれいです。

いくつかの登山口があり、手軽に山頂に立てるファミリー向けのコースや岩場がある経験者向きのコースなど選ぶことができるのも人気の一つかもしれません。

今回は、森林コース途中からスリリングな岩が現れる女岳直登コースを取り鞍岳とツームシ山を目指します。

 

モデルコース:森林コース登山口~女岳~鞍岳~ツームシ山~馬頭観音~森林コース登山口

 

コースタイム:約3時間35分

⇒鞍岳周辺の地図

 

登山基地となる四季の里旭志の駐車場は、施設のご厚意で登山者の駐車が可能です。四季の里本館の後ろには鞍岳の山頂部が見えています。

四季の里旭志から見る鞍岳

本館の左側を通り、コインランドリーを右に曲がってキャンプ場を抜けると森林コース登山口につきます。

登山口から植林帯の中を登っていくと。一旦、コンクリートの作業道に合流します。

ここで、右へ曲がるとすぐに登山道の入り口があります。そのままコンクリートの道を進んでも後で合流するのでどちらでも構いません。

赤いソーセージのような実をつけたツチアケビや栗の実が落ちていて秋を感じながら進んでいると、すぐに、森林コースと女岳コースの分岐が現れます。

ツチアケビもあった

道の脇にはクリ

左の森林コースが一般的ですが、急坂と岩場がある右の女岳コースを進みます。

踏み跡はしっかりと付いています。急がずに一歩一歩登っていくと、短いロープがある岩場のあと、しばらく岩場が続きます。

通常は左から山頂へ行くが、スリリングな女岳直登コースを選ぶ

この岩場を越えると傾斜は緩んで楽になる

三点支持を保って慎重に越え展望が良い露岩にでると、核心部は終わり緩やかな道に変わります。

「北回り・南回り」の分岐は、展望が良い南回りを選んで女岳へ進みます。

ススキの原の先には、なだらかな女岳山頂が広がり、広大な草原の奥にどっしりとした阿蘇山の展望が素晴らしく、足元にはマツムシソウなど秋の花が揺れていました。

草の上に腰を下ろしのんびりしたくなる場所です。

草原が広がる女岳 奥には阿蘇山

マツムシソウやリンドウなど秋の花々がたくさん

鞍岳山頂へはひと登りです。菊池平野・阿蘇平野と九重連山、阿蘇山、遠くは長崎・雲仙岳まで遮るもののない大展望が広がっていました。

360度のパノラマが広がる鞍岳 奥には阿蘇山

鞍岳から女岳

展望を楽しんだら今度は、北東にあるツームシ山までの稜線歩きです。

ツームシと言う変わった山名は、熊本の方言で「コガネムシなどの甲虫」のことを言うそうですが、定かではないようです。

鞍岳から北東へ伸びた尾根をツームシ山へ ここも展望が良い

アセビが茂る尾根を下って鞍部から登り返すとツームシ山頂です。

狭い山頂ですが、こちらも大展望が楽しめます。鞍岳に立つ人の姿も見えます。

来た道を鞍岳山頂直下まで戻り、「鞍岳馬頭観音」の案内に従って行くと三差路になり左に曲がるとすぐにレンガ作りの祠の中に馬頭観音が祀られています。

鞍岳まで戻り森林コースの入り口にある馬頭観音

ここからも、ロープが設置された岩場と急坂が続きます。慎重に下りましょう。涸れた谷を横切ると植林の中に入り傾斜も緩み往路に合流して森林コース登山口へと戻ります。

※森林コースを登った場合、途中に北尾根への分岐があります。ここは必ず左の森林コースを進んでください。

 

プロフィール

池田浩伸

佐賀県佐賀市在住。8年間NPOで登山ガイドや登山教室講師を務めた後、2019年くじゅうネイチャーガイドクラブに所属し、阿蘇くじゅう国立公園をメインに登山ガイドや自然保護活動を行なう。著書に『九州百名山地図帳』『分県ガイド 佐賀県の山』(山と溪谷社・共著)がある。

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