厳冬期の登山では些細な判断ミスが致命的な遭難につながる 島崎三歩の「山岳通信」 第250号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2022年2月3日に配信された第250号では、厳冬期の登山では、些細な準備不足や判断ミスが致命的な遭難につながることを説明。入念な準備を改めて促している。

 

2月3日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第250号では、期間中に起きた3件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 1月28日、八ヶ岳連峰の硫黄岳で、単独で入山した57歳の男性が赤岩の頭から赤岳鉱泉に向けて下山中に道に迷い、行動不能となる山岳遭難が発生。茅野警察署山岳遭難救助隊及び県警ヘリが出動して男性を救助した。

八ヶ岳での遭難現場の様子/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)1月31日付

  • 1月29日、中央アルプスの空木岳で、単独で入山した47歳の男性が池山尾根を登山中に滑落して岩場に入り込み、技量不足により行動不能となる山岳遭難が発生。30日に県警山岳遭難救助隊員及び中央アルプス地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して男性を救助した。

中央アルプス・池上尾根での遭難現場の様子/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)1月31日付

  • 1月30日、下高井郡野沢温泉村の毛無山で、3人パーティでスキー場コース外を滑走中していた59歳の男性が、滑落して負傷し、行動不能となる山岳遭難が発生。飯山警察署員及び志賀高原地区山岳遭難防止対策協会野沢温泉班隊員が出動して男性を救助しました。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

1月5週は3件の山岳遭難が発生しました。県内は強い寒気が流れ込み、標高が高い山域では、積雪量が増加しています。登山ルートでは、降雪によりトレース(足跡)が消えている場合やラッセルを強いられる場合があるほか、転倒などで深い新雪に埋もれた場合には、自己脱出が困難になることもあります。なお、県内の山域では、積雪期の登山ルートと無雪期の登山ルートが異なる山があります。登山をする場合には、GPSや地図アプリの情報を確認するだけでなく、必ず事前に、積雪量やルート情報を調べるようにしましょう。

厳冬期では、些細な準備不足や判断ミスが致命的な遭難につながってしまいます。計画の際には、自身や仲間の体力・技量に見合ったルートを選定するとともに、装備品の点検を入念に行い、気象情報が悪天候の場合には、登山を中止しましょう。

 

長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(1月7日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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