池塘を眺めつつ火打山に登り、赤倉温泉ほてる千家の湯と食事で疲れを癒やす

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ひとり気ままに山と温泉を楽しむ温泉登山。登山前後に泊まりたい至福の温泉宿を紹介します。第42回は秋の気配漂う火打山に登り、下山後は赤倉温泉へ。

写真・文=月山もも

ほてる千家

新潟県の糸魚川市と妙高市にまたがる標高2462mの火打山は、お隣の妙高山と共に日本百名山に選ばれており、山中に宿泊して1度に2座の登頂をめざす方が多い山です。

当初は2座登ることを考えていましたが、2日目の天気予報があまりよくなかったので、ゆったりと火打山のみ登頂する計画に変更しました。

高谷池ヒュッテにテントを張り、火打山へ

しなの鉄道の妙高高原駅からバスに乗り、登山口となる笹ヶ峰から登山開始。

歩き始めて1時間ほどで「黒沢橋」という橋がかかった沢に出ますが、ここは飲用可能な水場です。

高谷池ヒュッテにテントを張り、火打山へ

テントを張る予定の高谷池ヒュッテの水場は要煮沸なため、ここで飲用水を汲んでおきます。

黒沢橋から1時間30分ほど急坂を登っていくと富士見平分岐に出ました。

高谷池ヒュッテにテントを張り、火打山へ

左の道は宿泊予定の高谷池ヒュッテにつながり、右は妙高山に近い黒沢池ヒュッテに向かう道です。

高谷池ヒュッテにテントを張り、火打山へ

分岐から高谷池ヒュッテまでは傾斜も緩やかになり、視界の開けた歩きやすい道です。1時間弱で三角の屋根が特徴的な高谷池ヒュッテに着き、テント泊の受付をします。

高谷池ヒュッテにテントを張り、火打山へ
高谷池ヒュッテにテントを張り、火打山へ

高谷池のほとりにある平らで快適な幕営地にテントを設営し、荷物が軽くなったところで火打山の山頂をめざします。

高谷池ヒュッテにテントを張り、火打山へ

ヒュッテから15分ほどで「天狗の庭」と呼ばれる湿原に出ます。池に火打山の姿が映り、たくさんの池塘を眺めることができる美しい場所でした。

湿原を抜けるまでは木道歩きが続きます。

高谷池ヒュッテにテントを張り、火打山へ

進行方向には火打山が見えます。時折雲に包まれますが、厚い雲に覆われてしまわないうちになんとか山頂に着きたいものです。

山頂に向けて高度を上げていく途中では、雲海を眺めることができました。

高谷池ヒュッテにテントを張り、火打山へ

高谷池ヒュッテから1時間30分ほどで火打山の山頂に着きました。

焼山や妙高山などの周囲の山々は雲がかかって見えなかったものの、青空の下登頂することができたのでホッとしました。

山頂で少し休んでから、元来た道を戻ります。

高谷池ヒュッテにテントを張り、火打山へ

帰り道も美しい池塘に見惚れながら「もう少し紅葉が進んだらどんな眺めになるんだろう」と思ったりも。

高谷池ヒュッテで1泊して翌日朝には下山します。次はきっと紅葉シーズンや、高山植物の美しい夏の始まりごろに来てみたいものです。

和室でごろごろして登山の疲れを癒やす

笹ヶ峰からバスで妙高高原駅に戻り、妙高市営バス赤倉線に乗り換えて15分ほどの「赤倉中央通り」バス停で下車。バス停からすぐの場所に本日の宿「ほてる千家」はあります。

宿泊料金はリーズナブルなのに食事はたっぷりで大変おいしく、冬はスキー客でにぎわう宿ですが、私は夏から秋にかけて何度も泊まっています。妙高山への登山に便利な「妙高高原スカイケーブル」からも徒歩圏内にあり、妙高山登山の際にも便のよい宿です。

和室でごろごろして登山の疲れを癒やす

部屋はシンプルな和室で、エアコン完備で真夏も快適ですし、Wi-Fiも利用可能です。

チェックイン時から布団が敷いてあるので、お風呂上がりには昼寝して、登山の疲れを癒やします。

和室でごろごろして登山の疲れを癒やす

お部屋に置いてあるお茶菓子が温泉饅頭なのもうれしいですね。

客室内には冷蔵庫はありませんが、廊下にある共同のものを利用できるので、特に不便は感じませんでした。

赤倉温泉のすばらしいお湯に夜通し浸かれる

浴室は2階に男女別の内湯があり、深夜早朝も入浴可能です。ただし、深夜の時間帯はシャワーのお湯は出ないそうなので、そのつもりでいたほうがいいでしょう。

赤倉温泉のすばらしいお湯に夜通し浸かれる

浴槽が1つとシャワー付きの洗い場のあるシンプルな浴室です。

妙高山の「北地獄谷」と呼ばれる場所から湧き出る高温の源泉が、山麓の赤倉温泉まで運ばれるまでにちょうどよく冷めるため、加水や加温などされていないそのままの源泉をかけ流しで楽しむことができます。

赤倉温泉のすばらしいお湯に夜通し浸かれる

湯口には源泉の成分が結晶化していました。

泉質は「カルシウム・マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉」で、とろみを感じさせるすばらしいお湯でした。

この値段でこんなに?と驚くほどの量と味

今回は「お料理まんぷく温泉満足プラン」というプランで予約しました。

この値段でこんなに?と驚くほどの量と味

食事は朝夕共に個室に用意していただきましたが、本当にたっぷりの量で、しかもすべて味もいいのです。

この値段でこんなに?と驚くほどの量と味

「鮎正宗 本醸造生貯蔵酒 初鮎」なる、妙高市内の酒造のお酒を注文しました。きりっと冷やしてあり、ほんのり甘みがある飲みやすいお酒です。

この値段でこんなに?と驚くほどの量と味
この値段でこんなに?と驚くほどの量と味

鮭のルイベをはじめとした前菜や、卓上で焼く帆立など、お酒の進む料理がこれでもかと並びます。

この値段でこんなに?と驚くほどの量と味
この値段でこんなに?と驚くほどの量と味

お刺身は4種盛りで海老が青い卵を抱えていました。

この値段でこんなに?と驚くほどの量と味

朝食は焼き鮭、ハムのサラダ、目玉焼きなど、ご飯をおいしくいただけるおかずがそろっていて、朝からお腹いっぱいになりました。

*紹介した食事、サービスの情報は2020年9月取材時の内容です。

ほてる千家

ほてる千家
料金 1泊2食付き/1名利用8,800円~※プラン、時期によって変動
住所 新潟県妙高市赤倉469-10
電話 0255-87-3012
公式サイトを見る

この記事に登場する山

新潟県 / 妙高山とその周辺

火打山 標高 2,462m

 妙高戸隠連山国立公園に属している「頸城三山」の最高峰である。活火山の焼山とコニーデ型の妙高山に挟まれているので、山名が示すように、かつては同系の火山と思われていたが、山体の基盤は新第3紀層の堆積岩と迸入したひん岩で、海生動物類の化石も発見されている。  江戸時代の『越後野志』に、「難波山の南、妙高山の北にて両山の中間に在り、数峰の嶮巌並び列れり、宛も燧石を並べ立つるが如し、故に名付くと云う」との記述がある。昭和30年代に山頂の三角点標石を立て替えた際に、鎌倉時代の作と見られる銅製の十一面観音懸仏が2体発掘されたというから、遠い昔には信仰登山が行われていたのであろう。  妙高山の賑わいに比べると登山者は少ないが、ヒュッテがある高谷池(こうやいけ)周辺の標高2000mを超える高層湿原は植生が多彩で、北アルプスの白馬岳周辺を除けば新潟県内で唯一のライチョウ生息地でもある。  笹ヶ峰の国民休暇村から富士見平経由の南面コース(笹ヶ峰から4時間30分で山頂)が一般に利用されているが、北東面の矢代川流域や、能生谷の渓谷遡行、積雪期のルート開拓などを地元の山岳会が行っている。

プロフィール

月山もも

山と温泉を愛する女一人旅ブロガー。山麓の温泉宿を一人で巡るうちに「歩いてしか行けない温泉宿」に憧れを抱き、2011年から登山を始める。ゆるハイクから雪山登山まで、テントも一人で担ぐ単独登山女子。 ブログ「山と温泉のきろく」https://www.yamaonsen.com/に、温泉と登山のすばらしさについて綴っている。山と温泉に魅せられる人を増やすことが、人生のよろこび。著書に『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』(KADOKAWA)。

ひとり温泉登山

山と温泉を愛する月山ももさんによる月1連載。登山前後に入りたい極上の温泉宿をご紹介します。

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