残雪歩きでは予想以上に体力を消耗、余裕のある行動計画とレベルに適した登山を 島崎三歩の「山岳通信」 第259号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2022年4月21日に配信された第259号では、春山遭難の特徴の1つに、残雪歩きによる体力消耗を指摘。余裕のある登山計画と適切なレベルのコースの選定を促している。

 

4月21日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第259号では、期間中に起きた3件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 4月17日、八ヶ岳の赤岳で、2人パーティで入山した59歳の男性が、赤岳から地蔵尾根を下山中にバランスを崩して転倒して負傷する山岳遭難が発生。茅野警察署山岳遭難救助隊員及び諏訪地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して男性を救助した。

  • 4月17日、鍋倉山で、2人パーティで入山した53歳の女性が山頂から下山中にバランスを崩して転倒し、約20メートル滑落して負傷する山岳遭難が発生。岳北広域消防署員が出動して女性を救助した。

  • 4月17日、中央アルプスの東川岳で、単独で空木岳に向けて入山した61歳の男性が、東川岳から下山中に誤って道を外れ、沢に滑落して負傷する山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して男性を救助した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

4月3週は、3件の山岳遭難が発生し、いずれも下山中に発生しています。下山は、登りと比べ疲労が蓄積し、集中力も切れやすく注意力が散漫になりやすいので、こまめに休憩を取り、足下やルート状況を十分に確認しならがら行動をしましょう。

これから、いよいよ本格的な春山シーズンとなりますが、春山遭難の特徴として、残雪による体力の消耗や道迷い、凍結斜面での滑落などがあります。入山する際は、雪崩、道迷い、滑落、天候の急変等のリスクを念頭に、これらのリスクを回避・対応できる技術や知識を身に付け、必要な装備を準備しましょう。また、余裕のある日程と自分や仲間のレベルに応じた山域を選定することも大切です。

登山は、登頂がゴールではなく、無事に帰宅するまでが登山です。最後まで気を抜かず、無理のない安全な行動を心がけていきましょう。

 

長野県内入山注意報発表中

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため添付の「入山注意報(2月7日付)」を発表しています。以下の資料の通り、入山を控えていただくエリアと、入山注意区域を発表しています。「入山注意」山域へ入山する際は、「登山者への5つのお願い(PDF)」を守ってください。

 

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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