百花繚乱の花にアサギマダラ舞う霧ヶ峰高原 夏の疲れを癒やしてくれる高原ハイキング

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八ヶ岳の西に広がる高原、霧ヶ峰。花と展望が楽しめるこの場所は、アサギマダラも飛来します。

 

 車山山頂より見る八ヶ岳と富士山

アサギマダラは渡りをする蝶として知られています。春に日本の南方から北へ移動するアサギマダラは、7月から9月にかけて、その途上で、好みの食草であるヨツバヒヨドリなどが群生する霧ヶ峰高原の八島ヶ原湿原や車山湿原などに飛来します。夏の縦走の疲れを癒やし、涼やかな風とアサギマダラと出会いに霧ヶ峰高原にやってきました。

モデルコース:車山肩~車山~八島ヶ原湿原~蝶々深山~車山肩

霧ヶ峰地図

コースタイム:約4時間30分

⇒霧ヶ峰周辺の地図

 

車山肩の駐車場より出発、まずは気象レーダーを目標に車山山頂をめざします。車山山頂からは360度の大展望。八ヶ岳の後方に富士山、南側に南アルプス、反対側は北アルプスの稜線がくっきりと浮かびます。そこから車山湿原に向かって下りていきます。

 車山山頂標識と北アルプスの山並み

車山湿原にそって、蝶々深山の南斜面を進みます。斜面はヨツバヒヨドリの群生地になっています。そのときでした。アサギマダラの浅黄色の翅がひらめいたのを見逃すわけにはいきません。1羽がヨツバヒヨドリの花の周りをとびまわって、またどこかへ飛び去っていきます。蝶の撮影は忍耐が必要です。追いかけてはいけません。再びアサギマダラが飛来するのを待ちます。数十分でしょうか。しばらく待つと、やはり戻ってきました、今度は2、3羽連れ立っています。花に止まり、翅を広げる瞬間をじっと待ちます。撮影成功です。

 ヨツバヒヨドリの蜜を吸う?アサギマダラ

次に、旧御射山神社をへて八島ヶ原湿原に向かいます。

 亜高山帯植物の宝庫、国の天然記念物でもある霧ヶ峰三大湿原の一つ

次の出会いは池を見下ろす木立の中の遊歩道沿いでした。ヨツバヒヨドリが群生する林の中に、アサギマダラの群れが飛び交っています。落ち着くのを待ってじっとしていると、数羽がなんとストックの先や、やがて私の指にとまってしまいました。これにはさすがに驚きました。

ストックの先に止まったアサギマダラ

アサギマダラとの楽しいひとときを十分に過ごしたあと、花々の咲く、ゆるやかな草原を蝶々深山に登りかえし、爽やかな風の吹く車山肩に戻りました。

ツリガネニンジン

クサフジ

ハクサンフウロ

コオニユリ

プロフィール

奥谷晶

30代から40代にかけてアルパイン中心の社会人山岳会で本格的登山を学び、山と溪谷社などの山岳ガイドブックの装丁や地図製作にたずさわるとともに、しばらく遠ざかっていた本格的登山を60代から再開。青春時代に残した課題、剱岳源次郎尾根登攀・長治郎谷下降など広い分野で主にソロでの登山活動を続けている。2013年から2019年、週刊ヤマケイの表紙写真などを担当。2019年日本山岳写真協会公募展入選。現在、日本山岳写真協会会員。

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