雪山低山の注意点。気温の低さや日没の早さへの対策が重要

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日帰りでも美しい雪景色が楽しめる「雪山低山」。低山とはいえ、積雪のある冬に山を歩くリスクを知り、対策を立てて山に向かいたい。

文=西野淑子

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雪が積もった道は歩きにくい

遠目に見ると真っ白く美しい雪山ですが、いざ歩いてみると歩きにくいものです。降雪直後の雪は踏むと潜ります。膝下ぐらいの雪でも、足を上げ、雪を踏みつけながら歩いていくと思うように進まず、体力を消耗します。人が踏んだ状態の雪なら歩きやすいでしょうか? 必ずしもそうとは言えません。何度も踏みつけられて固くなった雪は、氷化してかえって滑りやすくなっていることがあり、とくに下り道の急斜面では歩くのに不安を感じることもあります。

夏山のコースタイムの1.2倍を目安に計画

潜る雪に足をとられたり、滑りそうな斜面をおっかなびっくり歩いていると、時間はあっという間に過ぎていきます。雪山を歩くのに慣れていない人なら、無雪期のコースタイムの1.2倍程度の時間の見積もりをしたいものです。積雪が非常に多く歩きづらかったり、普段なら難なく通過できる岩場が凍って滑りやすくなっていたら、もっと時間がかかることもあります。

昼過ぎでも薄暗い? 日没の早さに要注意

冬は日照時間が短く、14時頃でも樹林帯に入ると少し薄暗いと感じます。1年のうちで一番日が短い12月や1月は、16時を過ぎるとかなり暗くなり、17時ではもう真っ暗です。雪が積もった道の歩きにくさを考慮すれば、歩行時間の短い山であっても、早めスタートが鉄則。15時には下山(バス停や最寄り駅に到着)できる行動計画を立てます。

計画より行動が遅れている場合、この時間を過ぎたら登頂していなくても来た道を引き返す、あるいはエスケープルートで山麓を目指す「下山開始時間」を決めておくとよいでしょう。

POINT

  • 行動行動終了時間は15時を過ぎないように計画
  • 下山開始時間を決めておく

夏に利用したバス、冬も運行してますか?

登山道へ向かう山岳路線バスは、冬にダイヤの変更をして本数を減らしたり、運休する場合があります。昨年(あるいはその前の冬)に利用したバスも、時刻の変更はもちろん、路線そのものがなくなったり、特定日運行となるケースがあるので要注意です。利用したことがあるから大丈夫と思わず、必ず最新の時刻表をバス会社の公式サイトで確認しましょう。

また、積雪や道路の凍結により運休……という場合もあるので、前日までの天気予報なども確認しましょう。不安があればバス会社へ直接問合せをしてもよいと思います。

POINT

  • 春〜秋と冬でダイヤが異なる路線がある。
  • 路線が廃止、特定日運行になっている場合がある。
  • 悪天候により運休の可能性がある。

冬の雨は冷たい、雨予報に要注意!

2月に奥多摩に行ったときのこと。雨予報だったので雪になるかもと喜んで山に入ったら、気温が少し高かったようで、雨に降られたことがあります。みぞれまじりの雨はとても冷たく、雨具が濡れて体がしんしんと冷えてきました。完全防水でない手袋はびっしょり濡れ、手がかじかんでしまいました。積もっていた雪は水を含んでかえって滑りやすくなり、とくに急な下りは不安で慎重に下り、時間がかかりました。

春や夏なら多少の雨でも楽しめますが、冬は天候判断を慎重に。現地に到着して雨が降っているようなら、あるいは歩き始めてすぐに雨が降り出すようなら、周辺観光や温泉めぐりなどに振り替えてもよいかもしれません。雨の日より、雨(雪)の翌日の晴れた日を狙って山に行きたいものです。

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プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

雪山低山の歩き方

雪の斜面を踏みしめ、山頂から真っ白く染まった山々を眺める。神々しい景観が広がる雪山登山。冬、いつもの日帰り登山の山で、雪山低山を楽しんでみませんか。

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