本格的な2000m級雪山体験を楽しめる湯ノ丸山スノーハイキング
長野県東信地方には四阿山など2000m級の本格的な雪山体験を楽しめる山々がそろっています。なかでも湯ノ丸山はアクセスも良く、出発点にスキー場の駐車場を利用できることもあり、雪山初心者にもスノーハイキングを楽しめます。
写真・文=奥谷 晶
週末の冬型気圧配置と降雪のあとの晴天の日をねらって湯ノ丸山へ向かいます。登山のスタート地点に、地蔵峠の湯ノ丸山スキー場の駐車場が利用できるのは便利です。月曜日なのでガラガラです。
スタートは湯ノ丸山の東斜面のリフト沿いから登ることもできますが、この日はまだ圧雪されていないので、スキー場のロッジの横手からキャンプ場方面へ、トレース沿いに中分岐まで進みます。スノーシューが快適です。中分岐より湯ノ丸山方面へむかい、鐘分岐から本格的な登りとなります。樹林帯の中はしっかりトレースが残っており、ところどころオレンジのテープが目印でついているので心強いです。
樹林帯を抜けると一気に風が強まり、トレースも消えかかっています。山頂直下の斜面では、真っ白な雪原が広がっていてシュカブラもできていました。
さらに頂上に近づくにつれ、強風で雪も飛ばされ岩がむき出しの状態になっていますので、アイゼンに履き替え、強風に耐えながら山頂標識まで進みます。
標高2101mの頂上で待っていたのは、広がる雄大な雲海と、その先に連なる北アルプス、八ヶ岳連峰の山々の大パノラマでした。烏帽子岳の背後には、はるか槍ヶ岳の穂先もはっきり捉えられます。
強風のため、あまり長居もできず、頂上から烏帽子岳との鞍部に向かって下降します。
湯ノ丸山の西斜面は雪の吹きだまりとなっているようで、新雪が深く、トレースもほぼ埋もれています。スノーシューをはいていても踏み抜きが多発して脱出に苦労させられます。スノーシューを脱いでつぼ足で転げるように下りて、トラバース道にであうところまで下降していきます。
余力があれば、烏帽子岳を往復することもできますが、今日は自重してトラバース道のトレースをたどり、中分岐をへてスキー場の駐車場へと戻ります。
晴天の日をねらったため、快適なスノーハイキングを楽しめましたが、荒天時には厳しい冬山へと一転します。十分な技術・装備と経験が必要です。
MAP
コースタイム:約4時間 ※積雪状況による
湯ノ丸山データ
プロフィール
奥谷晶
30代から40代にかけてアルパイン中心の社会人山岳会で本格的登山を学び、山と溪谷社などの山岳ガイドブックの装丁や地図製作にたずさわるとともに、しばらく遠ざかっていた本格的登山を60代から再開。青春時代に残した課題、剱岳源次郎尾根登攀・長治郎谷下降など広い分野で主にソロでの登山活動を続けている。2013年から2019年、週刊ヤマケイの表紙写真などを担当。2019年日本山岳写真協会公募展入選。現在、日本山岳写真協会会員。
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