戦国の世に思いをはせて歩く天王山 駅前のカフェで心と身体に染みるランチを味わう

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羽柴秀吉と明智光秀が雌雄を決した戦の舞台となった天王山。歴史を噛み締める山歩きのあと、電車を待ちながら駅前のカフェに立ち寄った。

写真・文=西野淑子

 

勝負の分かれ目、運命の分岐点を表わす「天王山(てんのうざん)」という言葉。本能寺で織田信長が明智光秀に討たれたあと、羽柴秀吉と明智光秀が戦った「山崎の合戦」の舞台となったのが現在の京都府大山崎町周辺で、戦に勝利した秀吉は、天王山に山崎城を築城したという。
現在は、JR山崎駅または阪急電鉄大山崎駅からハイキングコースが整備されている。コース上に秀吉の軌跡、山崎の合戦を描いた大きな陶板画が設置され、歴史をたどりながら歩くことができる。

初めて乗る電車、初めての山域。ちょっと緊張してJR東海道線山崎駅に降り立った。めざすは天王山の頂上。アサヒビール大山崎山荘美術館の脇を通り、登山道へ。うっそうとした樹林を進んでいく。軍の志気を高めるため、秀吉が旗印を立てたという旗立松のすぐそばには展望台があり、合戦の陣形図の看板があった。山頂は木々に覆われて見晴らしがなかったが、かつてはここに城が建ち、秀吉の天下統一の起点となったのだと思うと感慨深い。

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天王山の山頂。立てられた旗が戦国の趣

帰りは来た道をたどり、山麓の宝積寺で無事下山のお礼参り。山崎城の御城印をいただいた。

モデルコース: 天王山

 

コースタイム:阪急電鉄大山崎駅宝積寺(30分)天王山(40分)大山崎駅 合計1時間30分

アクセス:JR東海道本線山崎駅下車、または阪急大山崎駅下車

がっつりチキン南蛮と、やさしい味わいの惣菜

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山崎駅の目の前に建つ店

山崎駅に戻ってきたのは昼過ぎ。
なにか食べて帰りたいけど、遠方の知らない土地で歩き回って店探しをするのはちょっとハードルが高いなあ…と思っていたら、駅の目の前に店があるではないか。これはありがたい。「cafe tabitabi」と店名の看板がかわいい。店頭に料理の写真が張り出されたボードもある。いそいそと店に入る。

ガラス張りで明るい店内。外にはテラス席があり、若い人たちのグループが楽しそうに食事をしていた。奥のテーブル席に案内される。ウッディで落ち着ける雰囲気、地元の人なのかしら、ひとりで、あるいはふたりで食事をしている人が点々と。

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奥のテーブル席。壁のディスプレイもしゃれている

1100円のランチは、メインを5種類から選ぶシステムで、ぞれぞれにご飯と惣菜、味噌汁が付く。チキン南蛮、豚の角煮、豆腐ハンバーグ…メニューの写真を見るが、どれもおいしそうでまったく決められない。困る。「ご注文はお決まりですか?」とやさしく訪ねてくれるスタッフさんにお店の一番人気を聞くと「チキン南蛮です」と即答された。…では、チキン南蛮でお願いします。

周りの人はなにを食べているのかな、ちらちら見るとみんなそれぞれ。カレーを食べている人もいて、おいしそう。地元の常連さんなのかしら。

さほど待たずに料理が到着。

ワンプレートにチキン南蛮と3種類の惣菜、麦ごはんと、パスタサラダ、味噌汁。今日のお惣菜はにんじん、小松菜の煮物、ひじきの煮物か。彩りがよく、盛りつけもかわいいぞ。チキン南蛮はタルタルソースが別添えになっている。

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本日のランチ1100円、メインはチキン南蛮

まず惣菜から。どれもちょうどいい味。野菜など素材の味が感じられつつ、ご飯の進む味。チキン南蛮を一口。やわらかくてジューシーなチキン、こっくり甘辛の味付けも好きな感じ。これまたご飯が進んでしまうね。麦ごはん、大盛りにしてもよかったかもしれない。タルタルソースはやさしい味わい。食べているとじんわりと体が温まり、幸せな気持ちになってくる。

きれいに全部食べ終えて一息。美味しかったご飯の余韻に浸りたくて、コーヒーを追加でオーダー。すっきりした味わいのコーヒーを飲み、ほっとする。駅前で電車を待ちながら、こんなに心地よい時間が過ごせると思ってなかったな。

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ドリンクセットでコーヒーをオーダー。器もかわいい

5種類のランチは定番ですか?日替わり?と尋ねたら、以前は日替わりランチにしていたけれど、今は定番の5種類にしているのだと言っていた。チキン南蛮も美味しかったけど、いろいろ食べてみたくなる。がっつり肉系でお腹いっぱいになりたい気もするし、豆腐ハンバーグなどヘルシー系もよさそうだ。

いいお店に出合えてよかったな。東京から訪れるにはだいぶ遠いけど、また来よう。

店名:cafe tabitabi

JR山崎駅の駅前に建つカフェ。好きなメインを1品選べるボリューム満点のランチが好評で、名物は10年以上変わらない味のチキン南蛮。

電話:075-957-9180

住所:京都府乙訓群大山崎町大山崎西谷4-6 Hotel Dew大山崎1F

アクセス:JR東海道本線山崎駅から徒歩10秒

プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

下山メシのよろこび

登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。

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