スマホのGPSって登山に使えるの? 道迷いのリスクをグッと減らせる強い味方になるかも!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

かつては高価で、なかなか手の届かなかった登山用GPS機器も、スマートフォンと登山用アプリの登場で、誰もが利用できるようになった。GPS機器を使いこなせれば、道迷いのリスクをグッと小さくできる。そこで登山用アプリ『ジオグラフィカ』を開発・リリースしている松本圭司氏に、山でスマートフォン&登山アプリを最大限に利用する方法を伝授してもらおう。

 

こんにちは、『ジオグラフィカ』というスマホ用のGPSアプリを開発している松本といいます。どうぞよろしくお願いいたします。

★ジオグラフィカ iPhone版
★ジオグラフィカ Android版

スマホ用のGPSアプリを開発している関係から、連載を通してGPSやスマートフォンの話題を提供していけたらと思っています。そこでまずは、スマホのGPSは登山に使えるのか? というお話をします。

 

スマホのGPSと登山用アプリでGPSにしよう!

近年発売されているスマートフォン(以下、略してスマホ)は、ほとんどの機種にGPS機能が搭載されています。逆にGPSを使えないスマホを、最近は見たことがありません。

数年前まで、GPS機器といえばカーナビやハンディ機などの高価なもので、これらを購入しなければ利用できない敷居の高い機器でした。しかし今ではスマホに搭載されているので誰でも手軽に使うことができるようになっています。

そんなスマホに登山用アプリをインストールするだけで、登山用のGPS端末に早変わりするのです。

「Google Map」などの一般的な地図アプリは、地図データをインターネット上からダウンロードします。そのため地図を表示するにはインターネットへの接続が必要となり、圏外の山奥では利用できません。

一方の拙作『ジオグラフィカ』などの登山用のアプリは、地図をインターネットからダウンロードするところまでは一緒ですが、「キャッシュ」という仕組みを使って地図をスマホ内に保存できるのが大きな違いです。そのため、オフライン(インターネットが繋がらない場所)でも見られるというわけです。

なお、『ジオグラフィカ』の場合は表示される地図は国土地理院の地形図です。もちろん登山に利用できる地図です。ジオグラフィカ以外にも、無料のアプリはあるので気軽に試せるのも魅力です。

実際に登山用のアプリ(ジオグラフィカ)を圏外で使用している様子。

 

「圏外」でもGPSは使えるので、山奥でもGPSと登山用アプリは動作する!

時々、登山用アプリについて「山奥では使えない」と誤解している人を見ます。もう一度確認すると、地図アプリはNGですが、登山アプリはOKです。

地図データを事前にキャッシュしておけば、インターネットに接続できなくても使えます。そして、GPSは携帯の電波が届かない場所でも使えます。

GPSの信号は、頭上2万kmを飛んでいる人工衛星から降ってくるので、山奥でも太平洋のど真ん中でも受信できます。圏外でも機内モードにした場合でも動作していて、正確な位置を教えてくれます(※)。

※例外としてiOS8.2以前のiPhoneや、古いAndroidスマホのごく一部などでは、機内モードにするとGPSが動作しない機種があります。

 

安心してください、山奥でもGPSと登山用アプリは動作します。

 

スマホGPSの精度は十分? 使ってみてわかったこと

スマホのGPSは精度(正確性)が機種によって違いがあります。いろいろな機種を試してみてわかったことは、iPhoneは全体的に高精度で、山奥でもピンポイントで現在地が分かります。実際、2011年発売の「iPhone 4S」でも、最近のAndroid OSのスマホより高精度な場合もあります。

一方、AndroidスマホのGPS精度は、価格と発売時期次第で大きく変わるようです。傾向としては、新しくて高いほど高精度です。あまり安い機種はGPS精度が低かったり、谷やビル街で測位できなかったりするので、登山用のGPSにはお勧めできません。

そのため、中古の機種を買う場合は、2015年以降に発売されたもので定価は5万円以上のを選ぶのが賢明です。例えば、SONY製のXPERIAシリーズは堅牢性も高く、GPS精度も一定以上あるので選択肢の1つとなるでしょう。

最新のiPhoneX(右)と2009年発売のiPhone3GS(左)。新しい方が高精度です。

 

1回目は、スマホGPSと登山アプリについて簡潔に説明しました。以下に、今回のまとめについて改めて書き出しましたので、「スマホGPSと登山アプリ」について、誤解のないようにご理解いただけると幸いです。

 

 今回のまとめ

  • ほとんどのスマホがGPSを使える。
  • 登山用のアプリは表示した地形図を自動保存するので圏外でも使える。
  • スマホのGPSは圏外や機内モードでも動作する。
  • 測位精度はスマホの機種によって違う。

 

プロフィール

松本 圭司

アプリ作家、ライター、料理研究家などマルチに活躍する山好き。江戸川区在住。

アプリの代表作「ジオグラフィカ」は多くの登山者に利用され、GPSアプリに関する講演・講習なども行う。

ほか、国土マップR、アルパカナビ、速攻乗換案内、雨かしら?雨時雨などもリリースする。クリーン&ビルド株式会社所属。

山で便利・安心! 登山用アプリ&GPS徹底使いこなし術

かつては高価で手の届かなかったGPS機器は、スマートフォンの普及・登場以来、誰もが使えるものになった――。初心者向けのノウハウから、GPSの裏技まで、登山アプリとスマホGPSを120%使いこなし術を解説します!

編集部おすすめ記事