【10月12日更新】尾瀬(尾瀬ヶ原・尾瀬沼)の紅葉はこれから最盛期に。本年度の「尾瀬の登山情報&紅葉情報」最終案内! 秋山紅葉情報2023

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5月、ミズバショウの開花から始まる尾瀬の登山シーズンもいよいよ今月末で終わる。例年より紅葉の進み具合が遅れているという今年の尾瀬は、いま彩りのピークを迎えようとしている。

構成=山と溪谷オンライン

至仏山から見下ろす秋の尾瀬ヶ原(写真=あずさ / PIXTA)
至仏山から見下ろす秋の尾瀬ヶ原(写真=あずさ / PIXTA)

シャトルバスの運行は鳩待峠が11月5日まで、沼山峠は10月31日まで

尾瀬国立公園は福島県、栃木県、群馬県、新潟県にまたがり、尾瀬ヶ原や尾瀬沼だけでなく会津駒ヶ岳、田代山、帝釈山も国立公園の指定エリアに含まれる。ここでは、登山シーズン終盤となる尾瀬ヶ原と尾瀬沼の登山情報、紅葉情報をまとめた。

まず、尾瀬へのアプローチだが、尾瀬ヶ原(山ノ鼻エリア)は鳩待峠(群馬県片品村)から、尾瀬沼は沼山峠(福島県檜枝岐村)から入山するのが一般的だ。また、入山口となる鳩待峠、沼山峠へのシャトルバスは、戸倉〜鳩待峠間が11月5日までの運行、尾瀬御池〜沼山峠間が10月31日までの運行となる。このシャトルバスの運行終了と合わせて山ノ鼻と尾瀬沼にあるそれぞれのビジターセンターや公衆トイレの利用も終了となるので注意したい。

次に尾瀬エリアの各山小屋の営業状況だが、10月下旬まで営業している山小屋でも10月21日土曜日が最終営業日となるので注意しよう。また、早いところでは10月23日から尾瀬ヶ原のなかの各橋の橋板の撤去が始まり、10月16日には三条ノ滝展望台の手すりの撤去なども行なわれる。

以下に列挙した尾瀬保護財団のウェブサイトの情報を参考に、シーズン最後の尾瀬登山を楽しんでほしい。

尾瀬の紅葉は10月中旬がピークに。気温は急降下し、最低気温は氷点下を記録

全国各地で「紅葉のピーク」の遅れが報告された今年、尾瀬の落葉広葉樹の色づきも遅れているようだ。例年、10月10日前後にはピークを迎える尾瀬の紅葉も、今年は尾瀬ヶ原、尾瀬沼ともにこれから数日で最盛期を迎えるとのこと。尾瀬ヶ原より標高が高い尾瀬沼周辺でも紅葉のピークは少し先になりそうで、この数日でブナやダケカンバの樹々の色づきが一気に進みそうだ。

紅葉の色づきが進むにつれて尾瀬の気温もグッと下がってきている。尾瀬ヶ原ビジターセンターによると、夏日が続いた今年はまるで「秋がなくなった」かのようで、10月に入ってからは一気に気温が低下し、10月6には燧ヶ岳と至仏山で初冠雪を記録。10月7日は最低気温が氷点下となり、尾瀬ヶ原一帯は降霜となった。

長蔵小屋付近から見る尾瀬沼と燧ヶ岳(NISH / PIXTA)
長蔵小屋付近から見る尾瀬沼と燧ヶ岳(NISH / PIXTA)

燧ヶ岳、至仏山で初冠雪。山の季節は冬へ、安易な入山は控えたい

今後、気温の低下とともに気象状況によって燧ヶ岳や至仏山では積雪の可能性があり、天候によっては秋山を通り越して冬山の状況となることがある。尾瀬のビジターセンターでは、燧ヶ岳と至仏山の登山道の一部で積雪が残っている可能性もあるとして、雪山装備を持たず、雪山登山技術のない登山者は安易に入山しないよう呼びかけている。多くの山小屋が営業を終了する10月末まで、尾瀬ヶ原や尾瀬沼周辺の日帰りハイキングで今年最後の輝く尾瀬を楽しみたい。

防寒対策はしっかりと

登山装備も十分な検討・準備が必要だ。尾瀬ヶ原ビジターセンターによると、10月11日の尾瀬ヶ原・山ノ鼻の最高気温は12度、最低気温は−0.2度。尾瀬ヶ原のハイキングでも、低温にさらされる休憩時には十分な防寒着がないと厳しい。また、木道に霜が降りると滑りやすくなるので、靴底のしっかりした登山靴で歩いてほしい。

ご存知のとおり尾瀬一帯はツキノワグマの生息地で、毎年多くの目撃情報がビジターセンターに寄せられている。とくにツキノワグマの活動が活発化する早朝と夕方は注意が必要だ。よく音の鳴る鈴などを付けたうえで早朝夕方の歩行はなるべく避け、単独行動は慎みたい。

楽しい秋の尾瀬ハイキングでは熊対策もしっかりしたい
楽しい秋の尾瀬ハイキングでは熊対策もしっかりしたい

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この記事に登場する山

福島県 / 南会津・尾瀬

燧ヶ岳・柴安嵓 標高 2,356m

福島県南会津郡桧枝岐村に位置し、日光火山群の一峰である。福島県の最高峰であり、これより北にはこれ以上高い山はない。しかし、東北の山というよりは尾瀬のシンボル的な山である。  山頂は、最高峰(西峰)である柴安嵓(しばやすぐら)(2356m)、三角点の置かれた爼嵓(まないたぐら)(2346m)、ミノブチ岳(2220m)、赤ナグレ岳(2249m)、御池(みいけ)岳(2280m)の五峰が居並ぶ。山は円錐形で、輝石安山岩からなる。日本最大の高層湿原である尾瀬の成立には、この燧ヶ岳火山が大きく関わっている。すなわち、只見川はこの燧ヶ岳の火山活動によって堰止められ、尾瀬が出現したと考えられている。ヒウチの名は火打ちで、火山に由来していると思われる。一説には、会津駒ヶ岳側から望むと「火打ちばさみ」の雪形が見られるためともいわれる。  燧ヶ岳を開山したのは、尾瀬沼のほとりに建つ長蔵(ちようぞう)小屋の初代平野長蔵であった。当時桧枝岐に住んでいた長蔵は、沼畔に小屋を仮設して燧ヶ岳登山の足掛かりにした。長蔵は燧ヶ岳を信仰の対象として開山したのであった。燧ヶ岳の祭神は「燧大権現」でカツラギヒトコヌシ神という。爼嵓山頂にその石祠が祭られている。  尾瀬のシンボルというだけあって、その展望の主役は尾瀬ガ原と尾瀬沼である。向こうにもう1つのシンボル至仏岳の姿が美しい。展望は日光連山も主役である。最高峰である白根山をはじめ、金精山、温泉ヶ岳、男体山などの峰々から、また那須連峰、上信越の山々、越後三山、会越の山々から飯豊連峰まで、関東と東北の山がずらりと並び圧巻である。山頂付近の火口ガレ場地帯にはコマクサの花が咲くが、株が極端に少ないため、現在一般の立ち入りが禁止されている。  登山道は5コースある。長英新道とも呼ばれる燧新道は、平野長蔵と長英が親子2代にわたって切り開いた道で、長蔵小屋から3時間15分。尾瀬沼畔である沼尻からの沼尻コースは、最も古いコースで、ナデッ窪の急な斜面を一気に登り、所要2時間30分で、ミノブチ岳の途中で長英新道と合流する。湿原地帯を抜ける変化に富んだ御池コースは、熊沢田代や広沢田代を経て所要3時間30分。以上3コースは、燧ヶ岳山頂に直接登るものだ。  一方、下田代や温泉小屋からのコースは、いずれも柴安嵓に登るコース。下田代からのコースは見晴新道と呼ばれ、温泉コースとともに樹林帯を登る静かなコースである。どちらも2時間30分で山頂に達する。この2コースはいずれも急登の連続である。

群馬県 / 南会津・尾瀬

至仏山 標高 2,228m

 尾瀬ガ原の西端に位置し、東の燧ヶ岳とともに尾瀬を代表する名山である。ミズバショウの花咲く湿原のかなたに残雪の至仏山、といった写真はよく目にすることだろう。  山頂から眼下に見る尾瀬ガ原はすばらしい。西には奥利根、谷川の山並みを望む。足元には蛇紋岩地特有のホソバヒナウスユキソウやオゼソウなど、貴重な高山植物が多い。山名の故か、百名山登頂の最後にこの山を登る人たちもあると聞く。山名は、仏教には関係なく、ムジナッ沢(つあわ)の別名「渋ッ沢」に由来するという。  山ノ鼻から直登するコースは植生保護のための通行禁止が平成9年に解除された。ただし状況によっては再び通行禁止となる場合もある。山ノ鼻から頂上まで所要2時間30分。鳩待峠からは緩やかで展望のよいコースがある。鳩待峠から頂上まで所要2時間40分。  鳩待峠は、その昔片品村の男たちが、厳冬期に入山し、木地師として木工品を作っていたころの仕事場であった。鳩は寒中はふもとの村にいて、暖かくなると山奥へ移る習性がある。峠の近くで鳩が鳴けば、男たちは久々に里へ下り、田植えを始める。雪深い山中で、鳩が来る春の日を待ち続けたことから、鳩待峠と呼ばれた。

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