道迷いや日没などのアクシデントに備えて、携帯電話やヘッドライト、防寒着等の携行を 島崎三歩の「山岳通信」 第321号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2023年11月1日に配信された第321号では、期間中に起きた道迷い遭難について言及。アクシデントに備えて、携帯電話やヘッドランプ、防寒着などの装備品の携行を強く促している。

 

11月1日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第321号では、期間中に起きた3件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 10月23日、飯田市南信濃南和田の山林で、同僚と2人で山林内へ入山した74歳の男性が、なんらかの原因により滑落。死亡が確認された。

  • 10月25日、伊那市長谷黒河の山林内で、きのこ採りのために3人パーティで入山した88歳、63歳、27歳の男性が、道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。3人は無事に救出された。

  • 10月27日、鍋倉山で、単独で入山した69歳の男性が、桂池から入山して鍋倉山方面へトレイルランニング中、木の根に足を取られて転倒、負傷する山岳遭難が発生した。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス 

10月4週は、1件の死亡遭難を含む、3件の山岳遭難が発生しました。3週に続き、きのこ採りによる遭難も1件発生しています。

4週発生したきのこ採り遭難は、複数人で入山したものの、別行動をした結果、3人とも道に迷い日没となってしまったものです。翌朝、わずかですが携帯電話が通じたため遭難者の位置がある程度判明したことで無事救助することができました。万一、電波が通じなけば、捜索に日数を要し、数日間ビバークをせざるを得ない状況も考えられました。
きのこ採りも登山と同様、道迷いや日没などのアクシデントに備えて、携帯電話やヘッドランプ、防寒着などの装備品を必ず携行しましょう。

きのこ採りは、林道や登山道を外れて山林内に分け入るために道迷いとなるリスクが高く、さらに足場のわるい斜面に入り込んで行なうため滑落のリスクも高いなど、多くの危険を伴います。実際に4週の事案も3人のうち2人は崖のような斜面で身動きが取れなくなっていました。
きのこ採りに行く際は、行き先を家族などに伝えるとともに、仲間と声や目の届く範囲で行動し、単独行動は控えてください。そして、きのこ採り中は、こまめに現在地を確認し、足場のわるい急斜面での滑落には充分に注意しましょう。

登山においても今の時期は、秋の紅葉と雪山の景色がとてもきれいなためSNS上では写真などがさかんに投稿されていますが、そのような情報からは、秋山や冬山のよい面しかわかりません。インターネットやSNS情報などは気軽に閲覧できますが、そのような情報だけを頼りにして山域を選択するのではなく、自身の体力や技量に見合った山域を選択しましょう。

県内の低山で降雪が見られ、朝晩の冷え込みにより凍結している場所もありますので、事前にルート状況を把握して登山当日の1週間前から天気予報を確認し、晴れていても突然天候が崩れることも予測した行動を心掛けましょう。

 

~登山者向け ドコモ携帯電話ご利用のご案内について~

NTTドコモでは、一部の登山道や山小屋において、4月下旬から11月中旬ごろまで「登山シーズン限定基地局」を開設し、期間限定で携帯電話のエリア化を行なっています。

北アルプス南部エリアは、11月中旬ごろまでに2023年度登山シーズン限定基地局を閉設して、電波停止となりますのでご注意ください。

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プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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