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雪を求めて縞枯山。スノーブーツの実力をチェック キーン/デュランドポーラーWP[KEEN Footwear]

高橋庄太郎の山MONO語り
道具・装備 2015年12月25日

今月のPICK UP キーン/デュランドポーラーWP [KEEN Footwear]

価格:3万1000円+税
重量:725.7g (27cm/片足)
カラー:2色
※女性モデルあり。

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雪歩きシューズは山で使えるのか?

今冬は12月になっても、いっこうに雪が積もらず、全国のスキー場で閑古鳥が鳴いている。だが僕は天候がわずかに悪化するタイミングを逃さず、小雪が降る北八ヶ岳へ向かった。キーンの新型スノーシューズ「デュランドポーラーWP」を試すためだ。

積雪期の登山で使用する一般的なアルパインブーツはソールが非常に硬く、形状もフラットである。このほうが硬く凍りついた雪面では、体のバランスがとりやすい。だがこのシューズのソールは柔らかめで、上の写真を見るとわかるようにソールの前後が湾曲している。比較的平たんな場所で、前方への体重移動が楽になるデザインなのである。

つま先は同社の製品に特徴的な、丸みを帯びた形状。氷のような雪面を蹴りこんで進むのには向いていないが、前方に蹴りだす際につま先の接地面積が広くなり、疲れが少なくなるという長所を持っている。

ソールのパターンも独特だ。積雪期用アルパインブーツのソールのミゾにはシンプルなものが多いが、デュランドポーラーWPは無雪期に使用するブーツのようにいくぶん複雑である。前後左右への滑りを軽減する工夫だろう。そして素材には、雪面で滑りにくい「スノー&アイスグリップラバー」が使われている。

また、つま先とかかとには横方向に溝がついている。これもやはり前方移動の際に推進力を生みだすことを考慮した結果だ。どの特徴を見ても「前方移動の容易さ」を重視したデザインであり、簡単にいえば、凍てついた高山ではなく、緩やかに起伏する低山でのスノーハイク向けである。

デュランドポーラーWPは保温力を重視している。ブーツの内側にはフリースが張られ、その内部には同社独自の「KEEN.WARM」という素材が400gも使用されている。厳冬期用のアルパインブーツにも保温材が用いられているが、これほどの量は珍しい。

さらに足裏には暖かなサーマルヒートシールドフットベッド(インソール)が採用されている。弾力性もなかなかのものだ。

雪を求めて北八ヶ岳。スノーハイクでチェック

北八ヶ岳ロープウェイで標高2230mの山頂駅へ上った僕は、ここから歩き始めた。向かうは縞枯山。山頂は樹木で覆われ、登山道の傾斜も緩い。

同じ八ヶ岳でも傾斜がきつく、森林限界を越えた場所も多い南部ならば、本格的なアイゼンが取り付けられるアルパインブーツの出番である。だが縞枯山を中心とした北八ヶ岳ならば、このデュランドポーラーWPが使いやすいのではないかと考えていた。念のため、軽アイゼンも持参した。

風が強い山頂駅周辺にはほとんど雪が残っていなかった。だが樹林帯に入るとそれなりの積雪が見られる。

とはいえ、このあたりはせいぜい5cm程度だ。もう少し雪の量があったほうがよりテストがしやすいのだが……。

気温が高いため、足元の雪は湿り気を帯びており、ブーツのソールにくっつきやすい状況だ。しかしデュランドポーラーWPのソールに付着はなく、雪上についた足跡も明確そのもの。これは履きはじめだけかもしれないとも考えたが、この日、行動を終えるまでソールへの雪の付着は見られなかった。素材が良好なうえに、柔らかなソールは歩いているうちに屈曲し、自然に雪の塊は脱落していくのである。

足元の感覚を確かめながら歩いていると、すぐに縞枯山荘に到着した。人気の山小屋ながら、平日のこの日は無人。少々寂しい雰囲気だ。

なかなかの実力だが、注意点も

ここから縞枯山に向かって登り始めた。足跡を見ると、僕以外にも縞枯山に向かった登山者は、この日もひとりはいるようである。積雪量は登山道を進んでいくとさらに増えていく。

だが多少傾斜が強い場所や、雪をかぶった岩の上でも、ソールはほとんど滑らない。これは想像以上。歩行は非常に順調だ。

標高2403mの縞枯山に到着。風はかなり強いが、降雪量はそれほどでもない。とはいえ、自分がつけた足跡は少しずつ雪で消されていく。吹きだまりの積雪量は20~30cmくらいになっていた。

休憩しながら、改めてシューズの状態を確認する。歩き始めてからしばらくの間はつま先付近の屈曲部が硬いように思えた。しかし、いつのまにか違和感は消えていた。出発前に「履きならし」は行なっていなかったが、短時間で僕の足になじんでくれたようだ。

デュランドポーラーWPのアッパーは深雪を歩くことを想定し、丈が長く作られている。素材自体はかなり柔らかだ。そのため、ヒモを上までしっかりと締めあげても足首は柔軟に動き、歩きやすさは損なわれない。
そしてなにより、暖かい。この日の気温は-3℃ほどだったが、薄着にしていた上半身は寒さを感じていても、足元はいつもポカポカしている。これならば、もっと寒い時期でも充分に足を守ってくれるだろう。

山頂からは展望台に向かった。しかし小雪とあって、一切の眺望はなし。だが、凍りついた樹木はとても美しく、小雪まじりの天候も悪くはない。

その後、西側の五辻へと下りていくと、この気温にもかかわらず、水たまりを発見した。そこで思い切ってシューズを水中に突っ込んでみる。

待つこと数分。新品のブーツとあって、もちろん水漏れはなく、足先にも冷たさが伝わらない。防水性、防寒性は問題ないようだ。

五辻から北八ヶ岳ロープウェイに向かう道の大半は木道である。このような木道は、土や雪の地面よりもスリップしやすく、歩行中は気をつけなければならない。

木道にソールをフラットに接地させ、強く蹴りださないように注意すれば、デュランドポーラーWPのソールは充分なグリップ力を発揮してくれた。ただし、登り道の場合だ。下り道では少々滑りやすいようにも感じる。どんなブーツでも下り道で体重を支えるのは難しいが、このデュランドポーラーWPはソールのかかと部分が丸みを帯びているため、一度滑り始めるととくに止めにくくなる感じがした。

無事にロープウェイ駅に戻り、今回の山行は終了。

4時間ほどの短い歩行だったが、デュランドポーラーWPの特徴はおおむね把握できた。

保温性は申し分ない。おそらく-10℃でも充分に温かいはずだ。雪面に対するグリップ力も優れている。木道ではさすがに滑ったとはいえ、それ以外の雪の上では支障なく歩けそうだ。もっと雪が深くても大きな問題はないだろう。
しかし、これはあくまでも雪が硬く凍った場所が少ない低山でのスノーハイクの場合。今回のように積雪が少ない場合は北八ヶ岳でも有用だが、実際には標高2000mを越える場所でもあり、厳冬期の使用は状況次第だ。
だが、アルパインブーツに比べるとかなり華奢に見えるシューズながら、なかなかの実力派なのである。標高1500m程度の低山でも雪で覆われていくこれからの時期、スノーシューと合わせて楽しんでもよさそうだ。

さて、最後にひとつ、駐車場に戻ってから問題点を発見した。

シューズの後ろにつけられたこのループ。シューズを脱ぐときに指を引っかけると力が入るのだが、小さすぎてグローブをはめたままでは使用しにくい。グローブを外しても平面的な作りのために、指が入らないのだ。もう少しだけループの径を大きくし、平たくつぶれにくい素材にしてもらえれば、より使いやすいだろう。

登山靴 記録・ルポ 雪山・冬山
教えてくれた人

高橋 庄太郎

宮城県仙台市出身。山岳・アウトドアライター。 山、海、川を旅し、山岳・アウトドア専門誌で執筆。特に好きなのは、ソロで行う長距離&長期間の山の縦走、海や川のカヤック・ツーリングなど。こだわりは「できるだけ日帰りではなく、一泊だけでもテントで眠る」。『山登りABC テント泊登山の基本』(山と溪谷社)、『トレッキング実践学 改訂版』(枻出版)ほか著書多数。

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