登山用ガスバーナー主要4ブランド&13アイテムを大紹介!
登山用バーナー(ストーブ)はいつか手に入れたい山道具のひとつ。いろいろな商品がありますが、実はウェアや登山靴ほどバリエーションが多くなく、それぞれの特徴を把握すれば選びやすいアイテムでもあります。そこで今回は、ガスバーナーの主要4ブランドの定番13アイテムをまとめて紹介。登山用ガスバーナーを選ぶときの参考にしてください!
文=吉澤英晃、写真=福田 諭
目次
登山用バーナーの定番といえば、ガスバーナー
ガスバーナーにも種類はありますが、大別すると3種類しかありません。まず、ガスカートリッジ(ガスボンベやガス缶とも)の上に直接バーナー本体を取り付ける直結型。次に、ホースを介してガスカートリッジにバーナーを取り付ける分離型。そして、熱の吸収率を高めたクッカーがセットになっている高効率バーナーの3つです。
一般的に、直結型はソロの山行、分離型はグループ山行に、高効率バーナーは調理時間の短縮や燃料をなるべく節約したい方におすすめといわれていて、ユーザーの山行スタイルやニーズによって選び方が変わってきます。
標準的なガスバーナーは「エントリーモデル」と「高火力モデル」の2つで考えよう!
高効率バーナーを除く標準的な登山用のガスバーナーを手がけているブランドのラインナップは、直結型に「エントリーモデル」と「高火力モデル」があり、さらに分離型を用意している場合が一般的です。
エントリーモデルは価格を抑えたものが多く、重量も比較的軽いものがそろっています。そこから出力を高めた高火力モデルは、価格こそ高くなりますが機能も充実し、まさにブランドを代表するフラッグシップモデルと呼ぶことができます。
重量や火力も検討し、最後は財布とご相談
登山用のガスバーナーを選ぶときは、まずは山行スタイルやニーズに合わせて、直結型と分離型、もしくは高効率バーナーから選択し、次に、重量や火力、価格を天秤にかけて、理想の一台を見定めます。
今回は登山用ガスバーナーを選ぶときの参考として、国内で展開する4つの主要ブランド、「SOTO」「プリムス」「EPIgas」「ジェットボイル」から、計13台のガスバーナーをまとめて紹介。各アイテムの特徴も同時にチェックしてください!
レギュレーター機構を世に広めた国内ブランド「SOTO」
SOTOは、工業用のバーナーを手がける新富士バーナーが1992年に立ち上げたアウトドアブランドです。後発ブランドの強みを生かし、他社製品と違う特徴を明確に打ち出すことでシェアを拡大。登山シーンにも欠かすことのできないブランドへと急成長しました。
アミカス【直結型】【エントリー】
エントリーユーザー向けに価格を抑えて開発されたのがこちらのバーナー。横風の影響を軽減するすり鉢状の火口で耐風性が高く、故障を減らすために点火装置のコードをバーナー本体に内蔵する作りが特徴です。4本のゴトクを備え、低価格ですが最大火力は2,600kcal/hもあり、性能面でもほかのバーナーに劣りません。
SOTO
アミカス
価格 | 5,995円(税込) |
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重量 | 81g |
最大火力 | 2,600kcal/h |
マイクロレギュレーターストーブウインドマスター【直結型】【高火力】
SOTOがラインナップする直結型のガスバーナーで、最大火力が最も高くいちばん軽い最上位機種。耐風性に優れるすり鉢状の火口や耐久性の高い点火装置に加えて、搭載するマイクロレギュレーター機構により低温下や長時間の使用時でも火力を一定に保つ特殊な特徴を備えています。3本のゴトクは取り外すことができ、使用するクッカーの大きさに合わせて別売の4本ゴトクに替えることが可能です。
SOTO
マイクロレギュレーターストーブウインドマスター
価格 | 8,965円(税込) |
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重量 | 67g(バーナー+3本ゴトク) |
最大火力 | 2,800kcal/h |
マイクロレギュレーターストーブフュージョントレック【分離型】
最大火力はSOTOが展開するガスバーナーで最も高い3,000ckal/h。マイクロレギュレーター機構を搭載し、すり鉢型の火口で高い耐風性も備えています。火口が広いため調理中に熱ムラが生じにくく、ホースがしなやかなので地面に置いたとき凹凸の影響を受けにくい点も特徴です。点火装置は付かないので別途ライターなどを使い点火させます。
SOTO
マイクロレギュレーターストーブフュージョントレック
価格 | 9,955円(税込) |
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重量 | 182g |
最大火力 | 3,000kcal/h |
レギュレーターストーブトライトレイル【CB缶】
火力を一定に保つレギュレータ機構を搭載しつつ、一般的な登山用ガスバーナーと一線を画すCB缶を使用する新商品。CB缶は大量生産が可能なためOD缶よりもリーズナブルに購入でき、手に入れたあとのランニングコストを抑えられる点がこちらのバーナーの魅力です。バーナーの発売に併せて、耐圧性を高めることで既存のOD缶と同じガスの配合を実現した登山向けのCB缶(CBタフシリーズ)もリリースされます。
SOTO
レギュレーターストーブトライトレイル
価格 | 9,900円(税込) |
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重量 | 135g |
最大火力 | 2,200kcal/h |
スウェーデン発祥の老舗ブランド「プリムス」
プリムスは、1892年にスウェーデンで創業した100年以上の歴史をもつブランドです。灯油の一種であるパラフィンを気化させて煤や煙を出にくくさせた世界初のバーナー(ストーブ)、パラフィンストーブを開発したことでも有名で、エベレストの初登頂時にもプリムスのバーナーが使われるなど、優れた性能で登山史に名を残す多くの偉業を支えてきました。
116 フェムトストーブⅡ 【直結型】【エントリー】
2,100kcal/hの最大出力を誇りながら、重量が64gしかなく、今回紹介する13台のガスバーナーのなかで、最も軽いモデルです。3本のゴトクは折りたたむことができ、使用するクッカーの大きさ合わせて長さを変更可能。点火装置を搭載し、火力調整も行なえます。
プリムス
116 フェムトストーブⅡ
価格 | 8,800円(税込) |
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重量 | 64g |
最大出力 | 2,100kcal/h (Tガス使用時) |
153ウルトラバーナー 【直結型】【高火力】
最大火力が3,600kcal/hもあるフラッグシップモデルで、多くの登山者に選ばれている人気の高い一台です。長さを変えられる4本のゴトクは安定性が高く、横風の影響を防ぐ風防の役目も果たします。点火装置を搭載し、火力調整を行なえる点は116 フェムトストーブと同じです。
プリムス
153ウルトラバーナー
価格 | 11,000円(税込) |
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重量 | 116g |
最大出力 | 3,600kcal/h(Tガス使用時) |
エクスプレス・スパイダーストーブⅡ【分離型】
プリムスが展開する登山向けの分離型バーナーのなかで、最も手頃なモデルです。火口の真上に位置する真鍮製のプレヒートパイプが熱せられることで、そこを通るガスの気化が促進されて安定した燃焼を提供する仕組み。火力調整は行なえますが、点火装置が付かないので別途ライターなどで点火する必要があります。
プリムス
エクスプレス・スパイダーストーブⅡ
価格 | 14,300円(税込) |
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重量 | 195g |
最大出力 | 2,400kcal/h(Tガス使用時) |
ウルトラ・スパイダーストーブⅢ【分離型】
最大火力は3,000kcal/h。大人数の料理を大きなクッカーで素早く調理したい方にはこちらのバーナーがおすすめです。バーナー部分は直結型の153ウルトラバーナーとほぼ同じ設計で、安定性の高い4本のゴトクは長さを変えることができ、風防の役目を果たす仕組みで作られています。火力調整は可能ですが点火装置は付いていません。
プリムス
ウルトラ・スパイダーストーブ Ⅲ
価格 | 15,400円(税込) |
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重量 | 192g |
最大出力 | 3,000kcal/h(Tガス使用時) |
イギリス発祥の国産バーナー「EPIgas(イーピーアイガス)」
EPIgasは、EPI(イーピーアイ)の愛称で親しまれている1961年に創業したイギリス発祥のブランドです。1973年に現在のガスバーナーの原型ともいえる、ガスカートリッジに直接バーナーを取り付けられる仕組みを発表し、1994年からは日本国内での製造を開始。いまは高性能で高機能なMade in Japanのバーナーとして知られています。
クオストーブ【直結型】【エントリー】
EPIが展開する登山用ガスバーナーで、最も手頃なモデルがこちら。最大火力は2,600kcal/h。小型ながら安定性に優れる4本のゴトクを備え、点火装置も搭載しています。トロ火にまで対応し、さまざまな調理に役立つ火力調整の幅の広さが特徴です。
EPI
クオストーブ
価格 | 7,700円(税込) |
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重量 | 98g |
最大火力 | 2,600kcal/h(230P+カートリッジ使用時) |
レボ−3700 ストーブ【直結型】【高火力】
今回紹介するガスバーナーのなかで、最も高い、4,200kcal/hもある最大火力が魅力の一台。金属繊維を緻密に編み込んだメッシュ状の特殊な火口をもち、安定した火力を発揮して優れた耐風性を備えます。長い4本ゴトクは安定性に優れ、点火装置を搭載し火力調整も可能です。
EPIgas
レボ-3700 ストーブ
価格 | 12,100円(税込) |
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重量 | 111g |
最大火力 | 4,200kcal/h(230P+カートリッジ使用時) |
エーピーエスエー−Ⅲ ストーブ【分離型】
重量は425gと少々重たいですが、レボ−3700ストーブに次ぐ4,000kcal/hという高い最大火力を発揮。3本のゴトクは丈夫で安定感が高く、風の影響を軽減する風防が付き、炎が拡散する仕様でクッカー底部に熱ムラが起こりにくい点も特徴です。今回紹介する分離型バーナーのなかでは唯一、点火装置を備えています。
EPIgas
エーピーエスエー-Ⅲ ストーブ
価格 | 15,950円(税込) |
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重量 | 425g |
最大火力 | 4,000kcal/h(230P+カートリッジ使用時) |
少ない燃料でお湯が早く沸く高効率バーナー「ジェットボイル」
ジェットボイルは2004年に創業したアメリカのブランドです。バーナーと専用クッカーがひとつになった商品パッケージが特徴で、クッカー底部に取り付けられているヒダ状のパーツが熱を効率よく吸収し、結果、短い時間と少ない燃料でお湯を沸かすことができます。クッカーの内側にバーナーと付属のパーツを収められる収納性の高さも人気のポイントです。
フラッシュ【高効率バーナー】
ジェットボイルのランナップ中、500mlの水を最も短い時間の約1分40秒で沸かせるフラッグシップモデル。調理時間をとにかく短く済ませたい人にはこちらのモデルがおすすめです。点火装置が付き、最高火力が2,269kcal/hと高く、付属のゴトクを使うことで一般的なクッカーでも調理しやすいのですが、火力調整は得意ではありません。
ジェットボイル
フラッシュ
価格 | 19,250円(税込) |
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重量 | 約371g(付属スタビライザー27g、ゴトク35g除く) |
最大火力 | 2,269kcal/h |
マイクロモ【高効率バーナー】
最大火力は1,404kcal/hで、500mlの水を約2分20秒で沸かします。フラッシュと異なり、独自のサーモレギュレートテクノロジーによって低温下や長時間の使用時でも火力を一定に保つ機能を搭載。特に雪山など気温が低い環境で威力を発揮するモデルです。高火力からトロ火まで火力を細かく調整でき、弱火で調理する煮込み料理などにも対応します。
ジェットボイル
マイクロモ
価格 | 24,200円(税込) |
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重量 | 約340g(付属スタビライザー27g、ゴトク35g除く) |
最大火力 | 1,404kcal/h |
まとめ
紹介してきた13個のガスバーナーをわかりやすくリストアップしたのが以下の表です。今後のバーナー選びの参考に活用してください!
※下の表は横にスクロールできます
ブランド名 | 直結型 ✕ エントリー |
直結型 ✕ 高火力 |
分離型 | CB缶対応モデル | |
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プリムス |
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EPIgas |
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SOTO |
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ブランド名 | 高効率バーナー (火力調整△) |
高効率バーナー (火力調整◎) |
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ジェットボイル |
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プロフィール
吉澤 英晃
1986年生まれ。群馬県出身。大学の探検サークルで登山と出会い、卒業後、山道具を扱う企業の営業マンを約7年勤めた後、ライターとして独立。道具にまつわる記事を中心に登山系メディアで活動する。
はじめての登山装備。基礎知識と選び方
登山装備の基礎知識と選び方を、わかりやすく、やさしく解説します!